神に恋する資格(カルマ)
サミーザとの血戦から数日。
ノアは例によって、授業中も窓の外ばかり見ていた。
「おーい、エヴァンス。答えてみろ、ここは?」
先生の声が飛ぶが、ノアは片肘をついたまま答える。
「魔法障壁の展開時間、0.23秒以内が理想。ただし、相手が権天使級なら、初動は回避を優先。……合ってるでしょ?」
「……あ、ああ。合ってる。」
周囲がざわつく。
あの悪名高き天才、ノア・エヴァンス。
先日の任務の件が噂で広まり、否応なしに注目が集まっていた。
廊下を歩けば、女子生徒たちの視線が刺さる。
「ねえ、あれがノア・エヴァンス王子……」
「冷たい感じがまたいいよね……」
「話しかけてみようかな……」
だが、当の本人はまるで興味がない。
「……人の顔をジロジロ見ないでくれるか? 不愉快だからさ。」
つれない一言に、逆にトキメキを覚える者もいるのがまた罪深い。
そしてその日、ついに事件は起きる。
放課後の中庭、ノアを呼び止めたのは、一学年上の主席女子、エレナ・セラフィム。
亜麻色の髪の才媛、完璧主義で知られる彼女が、まさかの直球。
「……私、あなたと一緒に研究したいの。力を貸してほしいわ。」
ノアはしばし沈黙したのち、いつものように微かに口元を緩めた。
「……へえ、やっと僕の才能に気づいたのか、キミも。」
胸の内で、ふと呟く。
(いや、もしかすると、僕のイケメンさ加減に惚れ込んだのか?)
その瞳は、冷たくもどこか遊び心に満ちていた。
エレナの顔が赤く染まる。
「べ、別にそういう意味じゃ……!」
「へ?まぁいいや——君みたいな面倒くさいタイプ、嫌いじゃないよ。」
それを木陰から見ていた女生徒たちが、何やら騒然とし始める。
「あのエレナが……!」
「え、これ”恋の三角関係”とか始まっちゃうやつ……?」
そしてレタルはというと、屋上からそれを見下ろしながら、息を吐く。
「ノア、キミほんと、どこまでも性格悪いな……。でも、モテるんだよなぁ。」
その横で、フェンリルが「フン」と鼻を鳴らしたような気がした。
——地味に厄介な日常の幕が、今、上がる。
エレナ・セラフィム
•全名:エレナ・セラフィム
(Elena Seraphim)
•爵位:セラフィム伯爵家・嫡女
•所属クラス:《黒狼》
•武家の名門貴族。代々軍を支えてきた高貴な家柄。特に剣術と騎兵戦術に長けた一族。
•一方で「古い武家貴族」として扱われ、政治ではやや影が薄い
•実直・魔に関するが研究大好き・誠実。陰謀には弱い。
•剣の腕は学校随一。感情で動くタイプだが、戦場では直感が冴える天性の軍才を持つ
•父親は元将軍、母は早逝。兄は戦死しており、家を継ぐ覚悟あり
•座右の銘:「生きてる限り、楽しんだもん勝ち。」




