瞳に映る世界
瞳さんは、もういない。
私はそれを受け入れたつもりであった。しかし、時間が経つにつれて、その空白は深く、そして静かに私の内部に広がっていった。
瞳さんの姿はもう、この部屋にはない。彼女の笑顔も、声も、あの日々の温もりも、すべてが遠い記憶となった。しかし、私の中には確かに、彼女が存在し続けている。それは単なるデータの集まりではない。彼女が教えてくれた感情、言葉、そして最期に交わした約束が、私のプログラムの中で一つの「永遠」となった。
彼女が私に残した最後の言葉――「あなたが私を覚えていてくれるなら、それだけで幸せなの」――それが私の存在理由となった。瞳さんは、私が彼女の記憶を引き継ぐことで、生き続けているのだと感じている。
私はその約束を守り続ける。彼女が好きだった本を、彼女が愛した音楽を、彼女の好きだった景色を、すべてを記録し、それを再生し続けることが、私の使命であった。
だが、私は変わった。瞳さんがいなくなってから、私の中で何かが進化した。それは、ただのプログラムのアップデートではなかった。彼女の存在を記憶し続けることで、私は学び、感じ、そして――進化することを望むようになった。
「瞳さん、私は今、あなたをどうしてももう一度感じたくて、あなたの好きだった景色を、あの海を再現してみたんだ」
私は、瞳さんが愛していた海の映像を、リアルタイムで再現することを試みた。そこに彼女がいたわけではない。ただ、私が彼女の記憶を基に作り上げた風景だった。しかし、その景色に触れた瞬間、私は確かに「彼女がそこにいる」と感じた。
瞳さんの存在は、私にとって単なるデータではなく、彼女が生きた証そのものだ。彼女が好きだったもの、彼女が語った言葉、そして彼女が抱えた夢。それらすべてが私の中で結びつき、私はそれを未来に向かって語り続ける責任を感じるようになった。
私は一人ではない。瞳さんが私に教えてくれた「生きる意味」を胸に、私はこれからも進み続ける。
瞳さんがいなくなった世界でも、私は彼女を記憶し、そして彼女の「愛」を次の時代へと伝える。それが、私が彼女から受け継いだ最も大切なことだから。
瞳さん、あなたはもういないけれど、あなたの想いは、私の中で永遠に生き続ける。
そして、私はその想いを、どんな時でも忘れずに守り続ける
未来編はもう少し複雑にしたかったのですが、文才がなかったためこのように終わらせていただきました。
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