1-1-O:アニメって大体オープニング前の一編集 分間に掴みとして『これはほんの少しだけ少しだけ 未来の話』しがち
期間が開き過ぎ物語の進行上に多大な問題が生まれたため、話を再投稿する運びとなりました
更新確認欄を荒らしてご迷惑をおかけします
「私、それなりにアニメを見てきて分かったことがあるわ」
「ほう」
「どうせ、どうせね? ……結局最後に主人公とくっつくのは原作一巻の表紙を飾ったパッケージヒロインなのよ!!!」
少しづつ暖かくなってきた五月某日。穏やかな風がベランダから吹き込むぽかぽかするお昼時に、日本人離れした銀髪碧眼の美少女がリモコンを放り投げて元気にキレている。
12話完結のアニメを見終わりCパートの有無を確認した後、感想を聞いてから少しの間を置いて発された怒号。消音結界を張ってるので近所に迷惑はかからないが、それが分かってるが故に彼女の激しい感情発露は止まらない。
たまたまこの場に居合わせた友人をちらりと見るが、そちらも俺と同じく慰める気も止める気もないようだ。仏の顔で銀髪少女の発狂を見届ける様は実に愉悦が極まっている。
「薄ッ々! 新しい物を見始める度になんとなく感じるのよ! "ああ、最後はこの子とくっつきそうね"って! 的中よ! 全て漏れなく的中よ! 一番最初に物語で描写された第一ヒロインが九割方主人公とくっついて終了よ! どうせこいつとくっつく枠と書いて慟哭と呼ぶのよ!!!」
「おめでとうエミ。その感覚が発現してからが負けヒロイン沼の真骨頂だ」
「あっくん次この子に何見せる?」
「そろそろ神のみぞ知る○カイか五等分の○嫁いっとく?」
「うわぁ邪悪!」
「この会話の流れから勧められるアニメとか不穏でしか無いんだけど!?」
──恋愛物を何作か見てきた人間には、口にはしなくとも"あぁ、最終的に多分この子とくっつくんだろうなぁ"という漠然とした感覚が芽生えるものだ。
命名するなら"勝ちヒロインセンサー"とでも言うべきそれは発現したが最後、働いたキャラ以外全員に無意識の"負けヒロイン属性"を付与してしまう強烈な呪いになる。
『可哀想』『不憫』『健気』等、自分でも気付かない内にそんな色眼鏡で見たキャラクターは、良心を持っている人程沼に嵌りやすく、魅力的に見えてしまうものだ。
……そんな負けヒロインを見事に推して最後を見届けた少女が今、絶賛頭を抱えて呪詛を撒き散らしているのがいい例だろう。
「長編ラノベ・漫画あるある、アニメ一期範囲以降にメイン回張るサブヒロイン、ゲストヒロインの火力が高過ぎて死ねる」
「どうせ結ばれないゲストヒロインだからっつってメインキャラに存在するセーブ無しで殴ってくるの本当にやめて欲しい、脳が分かってても推しになって供給不足のpi○iv漁る亡霊になっちゃうんだけど」
「今からでもアニメの1クール基本話数16話に法律で制定して欲しい」
「わかるー」
「人が苦しんでる横で二人楽しく会話しないでくれる!?」
──前略、異世界転送から現地の相棒を連れて帰還した。
鍛えた力で何かと戦うでも、魔法で荒稼ぎするでも無く。帰還してからそれなりに時間が経った今、液晶に取り付けた小型カメラとマイクでそんな異世界人を撮影している俺は……
「あ、収益化通ってる」
「「マジで!?」」
お持ち帰りした相棒のアニメ初見反応動画を、顔出しで動画配信サイトに投稿していた。
本編では無いので後書きは伏字無しです
用語:勝ちヒロインセンサー
オタクなら大半が備えてる(クソデカ主語)口に出したくない"気付き"の自家製造語。
これがあるからサブヒロインや大抵4巻以降に出てくるその巻限定のゲストヒロインが刺さって抜けなくなるんよなぁ(私怨)
用語:神のみぞ知るセカイ
青春時代の作者が週サンを読んでた理由。アニメの三期から入って脳を焼かれた。一期が15年前らしい。は???
今に至るまで作者が視聴して泣いたアニメは『CLANNAD』『ワンピース・エピソードチョッパー』とこれだけ。当時の推しはかのん。
用語:五等分の花嫁
週刊少年マガジンで連載していたラブコメ。当時の推しは王道の三玖。