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録音機に入った雑音

 届いているか分かりませんが、また話させてください。私は進と悟を苦しめるつもりでした。漠然とした嫉妬を彼らに感じたからです。私になかったものを彼らは二十年間も持っていたからでしょうね。そして神社にお参りしに行こうと言い出したのは私です。当時は健康祈願と就活の成功を願う目的でしたが、今考えると、私は自殺のために言い出したのでしょうね。

 私が殺された日に。何故でしょうか。私は彼らと別れようとしました。それが最も手っ取り早く、彼ら二人を苦しめる方法と考えたからでしょうか。バンドの練習を終えた後に、私は別れを伝えようとしました。でも、日課となったお参りへ行く途中に、私がここで死ねば、進と悟は一生苦しむだろうと思ったのです。安直ですよね。別れる以外の方法も考えました。彼らを苦しめるだけで十分でしたから、悪い噂を広めることや、下剤を入れて遊ぶことも考えました。しかし、それらは私の一瞬の衝動にかき消されたのです。私はとても死にたくなりました。

 悟が私を押したのではありません。私が落ちようとしたときに、二人を呼んだのです。ちゃんと私が死ぬ瞬間を記憶して欲しかったからです。多分、悟は私が倒れそうな状態に気づいて、私を助けようとしたのです。そして、私が倒れた後に、悟は意図的に進を落とそうと、体をねじったわけではありません。急いて私を助けようとして、バランスを崩したのです。不運にもその体が私を押しつぶしたのです。私は全く後悔していません。だってこれで進と悟を、一生苦しめられると確信しましたから。二人は私の死に自責の念を抱きながら、一生を過ごすでしょう。

 今振り返れば、私の死の衝動は、その場で湧き上がったものではありません。進と悟に会った日にも、同じ衝動を感じました。上手く言い表せませんが、私の人生にささやかな華が見えたのです。その華が永遠に刻まれる気がしたのです。おかしな話ですよね。でも、そうとしか言い表せません。

 ただ、両親には申し訳なく思います。無断で家に帰らなかったことや、何も言わずに死んだことは、きっとお父さんとお母さんを苦しめてしまったのです。もし、私の声がちゃんと録音されていたら、必ず私の両親に聞かせてください。そしてこれを隠さずに世間に知らせて欲しいです。そうでなければ死にきれません。これが私への罰だと考えるのであれば仕方がありません。ただ私の両親に罪はありません。今城一家も同じです。彼らが不必要に自責の念に苦しめられるのは、あまりにも酷い話です。この録音を公開してくださいますね。記者さん。


拝読いただき感謝感謝。

今城という苗字はconjoinedから取りました。

ご感想をください!!!読者のみなさんが大好きです!!!

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