2-6. 『銃器生成』、自分の能力を知る。(後編)
約2,500字でお届けします。
楽しんでもらえますと幸いです。
「いや、ロケランじゃねえか……」
「大きい武器ですね!」
「ロケラン……あれは……無反動砲と呼んだ方がいいんだっけ……」
メルの生成したロケットランチャーに、アーレスは大きさで驚いているが、ケンとファードは別の意味でも驚いていた。
「ろけらん?」
ロケットランチャーを片手で持っているメルが言葉に反応して、ファードを射線に入れる。
「こっち向けるんじゃねえ! 後、撃つなよ!? ロケットランチャーって言って、そのバカでかいロケット弾をぶち込む銃……いや、銃か、それ……? ともかく、武器だよ……重くねえのか?」
メルの逞しいと言い難い身体つきでは、いくら歩兵用ロケットランチャーとはいえ簡単に動き回れるものではないだろう。しかし、彼は片手でひょいと持ち上げてジャンプまでしてみせる。
「持っている間は全然重くないですけど、手から外そうとすると急に重くなっちゃいます……だから投げつけられないです」
メルがロケットランチャーを地面にポイっと投げると、ロケット弾がいつの間にか消え去り、発射筒のみが地面に金属音を立てて横たわる。
「銃器は投げつけるもんじゃないからな……そのほかは?」
「神様に見せてもらったのがこの2つで……」
メルは拳銃とロケットランチャーを再び自分の手に出す。片手でロケットランチャーを持つ華奢な人間の異様な見た目に、ケンとファードは違和感しかなかった。
「あー、たとえば、他の形の銃も見たら出せそうか?」
「おそらく……この中がどうなっているのか分からなくても出せるようになったので。後、この拳銃? のデザインはボクが考えた見た目なので、ある程度は加工できるようです!」
「そうか。分かった。ケン! 銃器はどんだけ出せるんだ?」
ファードは、物は試しと言わんばかりに、ケンの方を向いて銃火器の見本を見せろと言い始める。
「うーん、どうだろうね。銃器というか、罠以外は専門外なんだけどね」
「罠以外は、専門外?」
「ん? アーレスどうしたの?」
「いえ、なんでもありません」
「……? そうか」
アーレスは以前、無数の刀剣類で敵を包囲する罠を見たことがあり、ケンの専門外とは一体何を指すのかがよく分からなかった。
「いいから、つべこべ言わずに出してみろよ」
「……はいはい。メルー、ファードから離れてー」
「は、はい!」
ファードのぞんざいな言い方に少しカチンときたのか、ケンの声が少し低くなり、メルにファードから離れるように指示をする。ファードは最初ピンと来なかったが、やがて、その言葉の意味に気付いた。
「おい、まさか……」
「罠発動!」
不思議な光景である。様々な形をした銃火器が宙を浮き、ファードを中心にして球状に彼を囲むように配置されていた。もちろん、すべての銃口が彼に向けられており、今か今かと弾を吐き出す時を待っている。
「……嘘だよな? 嘘だろ? 嘘だと言ってくれ」
ファードの再三の確認に対して、ケンはニコッと笑っている。アーレスは笑顔が引きつり、メルはあわあわとこれから何が起こるのかを少しだけ想像して慌てている。
「……ほら、実際に銃火器の動作も見た方がいいだろうし、その銃火器からの攻撃をどう受け流すかの動きを見た方がいいでしょ? 師匠は率先して行動しないと、ね」
「ケン、てめええええええっ!」
「…………」
「…………」
もはやアーレスとメルは、二人のやり取りに口を挟める状況になく、ただただ事の成り行きを黙って見守ろうと思った。あと、いくら仲良くなっても、ケンに軽口や無理強いをしないようにしようと心に固く誓っていた。
「ファイア!」
「くっそおおおおおおおおっ!」
ケンの掛け声とともに、一斉に銃弾が放たれる。ファードは身体にびっしりと生えている鱗で無数の銃弾を弾きつつ、どうにも弾き返せそうにない砲弾クラスは手でしっかりと受け止めていた。
いつしか轟音が鳴り止み、罠で出現していた銃火器が全弾を撃ち尽くしたために霧散していった。
「……ったく、仲間を殺す気か?」
「…………」
「…………」
そこには服装がボロボロになりつつもほぼ無傷のファードが立っていた。彼の言う通り、明らかにケンの攻撃の殺傷力が高すぎる。
「死なないと信じているからね」
「…………」
「…………」
ケンは悪びれた様子もなく平然と言い切ってしまう。この程度の能力をいずれ求められるのだろうかと思うと、アーレスもメルも少し胃が痛くなってきた。
「そりゃ、どーも。だからって、疲れさすんじゃねえ! そもそも、俺やミィレじゃなきゃ、瀕死になりそうなくらいの攻撃をしやがって……避け方の参考になるわけねえだろ!」
「はいはい。で、メル、どう?」
「いや、雑かよ……」
「……メル?」
「ぴゃ、ぴゃい!」
ファードの文句を軽くいなしつつ、ケンはメルに使えそうな銃火器があったのかを確認する。突如話を振られたメルの口から普段出そうにない声が出てきた。
「えーっと、えーっと、待ってください! お願いですから、ちょっと生成するために時間ください! お願いですから、遅いからって撃たないでください!」
メルはわたわたと焦りながら、先ほど見た銃火器をいくつかイメージし始めている。
「いや、撃たない、というか攻撃なんかしないよ……」
「いえ、今のはケンさんが悪いです。怒られたらどうなるか分からないって印象ができますよ……もちろん、私もそう感じています……」
「えー……アーレスには優しくしているし、怒ったことないはずだけど……メルにだって、そんなことしないよ……」
「それでも、怒られたら怖いって印象ができたんです……」
ケンとアーレスのやり取りを横目に、メルが唸り続け、やがて、目を見開いた。
「えーっと、はい、イメージできました! これ……これ……これ……これ……これ……これ……ですかね? もっとたくさんあったとは思いますけど、とりあえず、6つは出せました!」
メルが次々に、ライフル銃、サブマシンガン、ショットガンなどの銃器を生成した。予想以上の成果にファードとケンが思わず息を漏らした。
「予想以上に、こいつ規格外のスキルを持たされているな……」
「あはは……あれも既にチートだよ。アーレス、君もがんばらないといけないね。僕に怒られないためにも、ね」
「ううっ……脅さないでください……がんばります……」
ケンは意趣返しと言わんばかりに軽口でアーレスを軽めに脅してみせた。
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