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異世界転移し続ける『罠師』勇者ケンの英雄譚  作者: 茉莉多 真遊人
第1部4章 『罠師』、この世界を少し理解する。
19/89

1-18. 『罠師』、受付嬢から説明を受ける。(前編)

約3,000字でお届けします。

ギルドのランクや魔物、モンスターのランクの説明回です。


楽しんでもらえますと幸いです。

 登録試験に合格したケン、ソゥラはアーレスが戻ってくるまでの間、受付嬢から冒険者ギルドの説明を受けることにした。


「冒険者ギルドでは、冒険者にランク付けをしており、現在、E,D,C,B,A,Sの6段階で分けてあります」


「6つに分かれているのですね」


「はい。2ランクごとに大きく分かれるイメージです。まず、EやDは、初級の冒険者はもちろんのこと、兼業冒険者もこのランクに多く在籍しております。依頼は受注した各ギルドの比較的近場で、遭遇する魔物や獣も下級を想定しています」


「ふむふむ」

「なるほど」


 ギルドの受付で受付嬢が羊皮紙に書かれている資料を使って、ケンとソゥラに説明をしている。ただし、文字がうまく読めないため、2人は真剣な眼差しでその説明を聞いており、一言一句聞き逃さないといった面持ちだった。


「……あ、そういえば、出身を聞いておりませんでしたが、もしかして他の大陸の出身者ですか? 他大陸の文字表記の資料もありますが、そちらで説明いたしますか? それとも、どこかの村の出身ですか?」


 この世界における各国の識字率は、平民や貴族などの生活レベルに依存せずいずれも高い傾向にある。ただし、それは各国の中に点在する大きな町や城下町に限られており、村単位となると識字率が安定していない。


「あ。まあ、そんな感じです。でも、別の大陸じゃなくて、もうちょっと遠いところから来ているので」


「え? あ、そうなんですか? え?」


 受付嬢は、別の大陸より遠い所と言われて、2人への違和感が増した。


「いえ、何でもありません。話を進めてもらえると助かります」


「あ、はい。EとDには常設の依頼が多く、特にEランクの常設依頼は採取系がほとんどでたまに突発的な雑用のような依頼もあります」


 受付嬢は、羊皮紙をペラっとめくる。


「次にDランクですが、このランクになると、ようやく、魔物や獣の討伐依頼がメインになってくるといった感じですね。しかし、下級は依頼される素材以外に使える部位が少なく、収益はほぼ依頼料のみで少ないです。そして、依頼数だけならこのランクが一番多いですね」


 受付嬢はケンとソゥラに丁寧な説明をしていた。彼女は終始物腰の柔らかそうな2人から敵意を全く感じないものの、その異様さから本能的に怒らせないための対応に努めている。


「続いて、C,Bは、いわゆる熟練冒険者や中級冒険者と呼ばれる冒険者たちが多くいるランクです。試験官のエクサムもそうですが、Cが本業冒険者で一番ボリュームの多いランクです。依頼は、中級の魔物や獣退治が主です」


「あ。説明の途中にすみません。気になってしまったことがありまして、質問してもいいですか?」


 受付嬢はケンの唐突なお願いに少し驚くが、やがて、ゆっくりと口を開いた。


「どうぞ。聞きたいときに聞いていただいた方が理解も早いと思いますから」


 ケンは受付嬢のその言葉に一礼して口を開いた。


「ありがとうございます。魔物や獣について、下級、中級、おそらく、上級もあると思いますが、その目安などはありますか?」


 受付嬢は難しい質問でないことに安堵した。


「はい、そうですね。そうしましたら、ご存知かもしれませんが、魔物と獣の違いから説明しましょうか」


「本当ですか。助かります。そもそも、明確な分類があるのですね?」


「はい、あります。獣は魔力を使えない動物です。使えないというのは、攻撃手段や防御手段として自らの意志で魔力を使えないという意味です」


「魔力を使えない、ですか」


 受付嬢が新しい羊皮紙の左半分に動物の絵らしき4本足の何かを描いた後、その動物の頭上あたりに×を描いた。ケンとソゥラが可愛らしい絵に少し笑みを浮かべる。


「はい。ただし、魔法を使えば容易に獣を倒せるかと言えば、そうではなく、特定の属性もしくは魔力全般への抵抗を持つ種類もいることもあります。また、突然変異で魔力を使える獣が発見されていることなどがありますので、あくまで、基本的には種の大半がそうである、というくらいに覚えておいてください」


「なるほど」


 受付嬢は羊皮紙にいろいろと書き込んだ後、お茶を一口含んで喉を潤して、再び口を開く。


「一方の魔物は、その逆で魔力を自分の意志で攻撃手段や防御手段に使えるものです。つまり、獣のような姿の種であっても、魔法の類を使う種は魔物になります」


 受付嬢は右半分に魔物の絵らしきものを描くがあまり左の動物の絵と変わらない。魔物の絵の頭上に〇がついている。


「また、獣は生殖行為によって個体数を増やすのですが、魔物の場合はその限りではありません。魔物は、生殖行為で増やす場合もあれば、魔力から自然発生する場合もありますし、生殖行為で増える種類も魔力から自然発生することがあります」


 そして、受付嬢は追加で動物や魔物の絵を描いて、ハートマークなどをいろいろと付け足していく。


「生殖行為! お綺麗な方があ、そこまで詳しく説明してくれるんですかあ。感激です! もっと、そこらへんを詳しく知りたいです!」


 ソゥラは目を輝かせながら、受付嬢に丁寧にお礼を述べていた。いつの間にか、彼女は受付嬢の手を握って、嬉しそうに握手をしていた。


「……ソゥラはちょっと静かにしていようね」


「ごめんなさあい」


 受付嬢は、普通の説明のつもりだが、わざわざそこを指摘されてしまうと急に意識してしまい、若干、頬に赤みを帯び始めていた。


「仲間がすみません」


「いえ、コホン。獣と魔物については以上です。さて、話を下級、中級、上級の話に戻しますね。下級の強さは目安として、地上でよく見る魔物や獣であり、下級でも弱い部類であれば、素人や素人同然の駆け出しでもソロで倒すことが可能ですね。強い部類になると装備を整えた駆け出し冒険者がソロで倒しきるレベルだと考えています。もちろん、3~7体のいわゆる複数体や8体以上の群体と呼ばれる頭数ともなれば、話は別です」


「なるほど」


 受付嬢は丁寧な説明をしつつも、目の前の二人には下級の説明が不要と感じている。


「そして、中級の強さは……」


「あのー……」


 ソゥラがそこで受付嬢の言葉を急に遮った。


「はい。何かご質問でしょうか?」


「お話の途中ですみませんがあ、まだ説明に時間が必要そうなら、少し休憩しませんかあ? 少し席を外したいなあ、と」


 受付嬢はソゥラが少しもじもじしていることに気付いて頷いた。


「そうですね。もう少し時間をいただければと思いますから、一度休憩をさせてもらえると私としてもありがたいです」


 ケンもまたソゥラの様子に気付いたようで、受付嬢の方を向いて軽くお辞儀をした。


「分かりました。たくさん説明してもらって助かります。こちらこそもう少しお時間をいただきたいですね。すみません、ちなみに、トイレはどちらにありますか?」


「あ、トイレですね? あちらの方にありますので、どうぞご利用ください。なお、手前が男性、奥が女性ですので、間違えて入らないようにお気をつけてください」


 ケンとソゥラはトイレの方へ向かい、受付嬢も【対応中】と【一時離席中】いう札を受付カウンターに置いて、一旦席を外した。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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