48話 開幕! 鉄芯華錆万装舞踏!
「さあ本日はお日柄も生憎の晴れ、皮肉にもこの演舞の開催には大変良い気候となりました」
この国の現国王陛下が直々に仰っているのは、この日の祭典がとても大きな祭であることを表しているかのようだ。いやというほど照らされた大地は乾き、しかし湿度の高いのはこの会場の湧き上がる観客の汗の蒸発したが故だろう。
「それでは始めましょう」
陛下は一度息を飲まれると、力強く言葉を発された。
「第16回、鉄芯華錆万装舞踏の開催を宣言する!」
その鬨の声と共に会場に入ってきたのは人型の機械たち。そして、それは人間が乗っているけれど、どちらかというと人間の手足の延長のような乗り方をしていて、なにやら2人で行う組体操みたいだ。例えが下手かな。
このような機体は見たことがある。この大会に招待してくれた空実さんに見せてもらったものだ。洋訳はロボターゲン、和訳は、この大会の名の通り、錆万装。あえて効率より逆行し、人間との調和を意識した機械、だそうだ。
その錆万装は、会場に入場するやいなや、縦横無尽に地面を駆け巡る。砂埃が目下に見え、互いに当たることもなく走る。2体の錆万装が正面に立ったと思いきや、手元から剣を取り出し、鍔迫り合いをしてみせた。そして、かち合った剣をお互いに離すと、反動を生かしまた走り始める。
会場は大いに湧き、大きな拍手と歓声に迎えられ、この大会は始まった。
*
遠く、会場を見下ろすように小高い丘が一つ、その頂上まで登り切るのには1時間と満たない。つまりここは街を見下ろす拠点として非常に優秀な場所だ。事実、軍も防衛拠点、とくに監視用のものをここにも構えている。
その中腹に人影が2つ、大会の会場を見下ろしていた。
「なあ、あれだけ人が集まった会場、めちゃくちゃにしたら、面白いと思わない?」
綺麗に髪を巻いた彼女は、もう一人の子に問いかける。その女子の振り向いたその顔は、どうにも虚に見える。
すると、巻き髪の彼女、エウリュディケ・ウェストウッドは何かに吊られたように浮き上がった。体を襲う違和感に驚いた彼女がふと手鏡で真上を反射を使い見ると、そこにはプロペラが存在していた。それはウェストウッド家の会社、ウェストヒッポが表向きで開発していた移動ドローンだった。
「おい、なんだこれは。聞こえてんだろ? シド!」
シドニー・ウェストウッドは、何も言わずに丘を降りだした。そんなことをしている間にも、ドローンは移動を続ける。空に飛び上がり、その先はウェストウッド家の本拠地であるゼノン支部に出戻りするように。
「おい! ふざけんな! 協力作戦だろーが!」
もう丘よりも高い大空で、せっかく着てきたワンピースの裾を風に靡かないよう抑えるエウリュディケ・ウェストウッドをよそに、シドニーはふらふらと去っていった。
*
「ついに始まった! いやぁ、あんなもの見せられちゃあワクワクが止まらないなあ!」
最初はわたしも招待されたから、程度の気持ちで見ていた。けど、あんなに躍動し、駆け巡る錆万装を見せられたら、心と体が打ち震える。
「そ、そうだね……」
キエロはいつものように恥ずかしげに魔女のような帽子を深く被った。
「全く、せっかくの休みにこんなのなんてあんまりじゃなーい♪ キエロもそう言いたいんでしょー?」
「全く、子供料金のパイパーの分は自腹なんだぞ!」
パイパーは興味がないのか、真ん中の舞台を見向きもしない。やっぱり、こういう機械って好き嫌いはあるけど、これでワクワクできないのはちょっと寂しいとは思うな。
「キーリーちゃん、連れてきてもらったのはいいんデスけど、こういうのって疎くて……」
ゆかりさんが心配そうにわたしに耳打ちする。
「いや大丈夫だよ、わたしもそんなにわかってないしさ」
とは言っても、わたしはパパの農機具の機械をしばしば見てきたり、戦場で大きな装甲車にあったりしたから、こういった大型機械は全くわかってないってわけじゃないけど。なんなら少しうるさいかもしれない。
わたしはふと隣を見ると、見覚えのある影がない。ゆかりさんもそれに気がついたらしい。
「あれ、ところでアイスミッドちゃんとモーンレッドちゃんはどうしたんデス?」
「……まあどうせナンパでもしてるんだろう」
アイシャの女性への軟派癖はいつものことだ、説明するまでもない。
壇上には、この国の姉王こと果音さんがマイクを片手に語り始めた。いつになく真面目に。
「それでは、この大会のためにわざわざお越しいただいた来賓の方々を紹介します。まず、最近益々ご隆盛を誇るンディリ王国より、国王ンドロード・テンバラード様」
「名誉あるこの大会を観戦できること、感謝するよ」
声をかけられ手を振ったその王は、威厳荘厳な髭を蓄え、黒き肌を輝かせている。体は鍛えられてはいるが、力仕事を本業としている原住の民と比べると、やや線の細い雰囲気がある。年齢は老人ではないが、さすがに陛下より年を重ねているように見える。見る人が見ればナイスミドルなのだろう。
「続いて、吹雪く国メテルツベツェクより参られましたサムソン・ベイリント様!」
その声をかけられた男は陶器のように白い肌だ。名前的にも、わたしのような元はヨーロッパ系だろうか。
「しかし、外界というものはやけに暑いですね」
この男はそう辛そうに言いながらも、手に持ったスプレーをしきりに吹きかけている。日焼け止めか、それとも冷却スプレーだろうか。とにかく、暑そうに肌にそれをなじませている。
「そして! 小世界の外からわざわざお越し頂いた大物ゲストを紹介します!」
会場は息を呑んだ、そのベイリント氏の隣にいた男の存在感の強さに緊張が走ったのだ。その男は筋骨隆々と言った見た目で、いかつく目を走らせている。わたしも、その男の名前を忘れるわけはないだろう。それくらいの大物だ。そして、何かを見つけたか、とある向きで固まるといかつかった顔が緩みだした。そして、果音さんが大きく手をその男に向ける。
「世界栄鎮、鉄家の期待の跡継ぎ! 鉄英雄様です!」
「英二ー! 元気してるかーい!? チュッチュ!」
英雄は、立ち上がると片手を口に添え投げキッスをかました。それは、あまりに見た目にそぐわず、何も知らない人が見たら違和感を覚えるだろう。しかし、ほとんどの人は知らないことはないので、この光景は受け入れられている。
「来賓の紹介は以上です」
すると果音さんはテンションを大きく変え、明るく振る舞い始めた。
「さてさて、長らくお待たせしました! 皆さーん! ここまでいろいろありましたけど、やっぱり皆さん、気になっているんじゃあないですか? 今回出場する選手と機体を! さあ、順不同で、紹介していきましょう! 選手入場ー!」
まず、会場入りしたのは、大きな機体だ。その大柄なボディにも関わらず、走り出した足腰の関節はとても素早く動く。そして、その機体の上に乗っている人物に、わたしは衝撃を受けた。
「え、英二さん?」
「世界栄鎮・鉄家の一人! その一撃は神の如く、その走りは韋駄天の如く! 搭乗者の磨かれた圧倒的センスは天啓二物三物それ以上! 鉄英二、機体名はハール2nd fe-47ここに降臨!」
果音さんは舌が乗ってきたか、この長台詞すら一切つっかえなかった。そして、その奥では、かの鉄家の長子が手を振り身をくねらせていた。
「わー! 英二ー! 世界一かわいいよ!」
その感想はどうにもずれてる気もしたけど。
英二さんはアピールと言わんばかりか、腰に持ったいつもの串槍を大きくしたような、けど素材は鉄と言った感じの大槍を構えると、素早く真っ直ぐ駆け抜けた。それはあまりに一瞬で、軌跡は動体視力に自信がないと見ることすらままならないだろう。
そして、興奮していた英雄は弟のアピールが終わると何かが抜けたようにスンっと感情が顔から消えた。そして、暇そうに髪をかき出した。
「英二さん、錆万装扱えたんだ……」
そして、次の選手が会場入りする。黒光りする肌は眩しい、筋肉を見せつけるようなデニムのノースリーブベストを着たサングラスを頭にかけたスキンヘッドだった。
「家族経営大黒柱! 今回の大会は家族に食わせるため。食わせ者になってやるよとばかりの雑草魂! 堅実堅牢のオルバ・ムニ・マニ! 機体名はケリケロ! 猪豚の如くこの会場を食らい尽くす!」
「おうよ、小娘! おれがまとめてぶっ飛ばしてやるぜ!」
これを聞いて、果音さんは少しムッと頬を膨らました。そして、オルバと呼ばれた選手の錆万装、ケリケロは蹴り上げると頭を地面につき、ぐるぐると足を回す。いわゆるブレイクダンスだ。
「へぇ、あの人、やるじゃないですか」
後ろの観客がそれにやたら下に見て感心していた。彼らはどうやら2人組のようだった。一人は太い縁の黒メガネを真面目そうな青年、もう一人は少し太ってはいるが、その分愛想の良さそうな笑顔の青年だった。その太った青年がいかにも話したかったかのように語り出す。
「けど、それじゃあ、うちのミナモは狩れないよ〜! あの機体は凝ってるからね〜!」
ミナモ。誰だろうか、わたしは何となくパンフレットを広げてみた。すると、確かに鈴木美奈萌という名前が見られた。
「空に射す一筋のテイル!」
この紹介が始まった瞬間、後ろの2人は一気に湧いた。なにやらこの2人と関係のある人物らしい。
「空を泳ぐ彗星は何を思う! 錆ノ坂本工業大学より、鈴木美奈萌のコメッツ・バスタードナイト、静寂を斬り裂く!」
乗っていたのは学生くらいに見える女性だった。しかし、驚いたのはそこだけじゃない。乗っただけで折れ曲がってしまいそうな針金のようなその機体。筒状の大きなものを背に背負っている。わたしにはそれが何か、ちょっと分からなかった。今回の武器としてか、刀のようなものを背負っていることはわかった。
そして、入場した次の瞬間、その機体はまるで滑空するかのように宙を舞ったのだ。まさか、いや、そんなはずはない。いくらなんでも人型の鉄の塊が飛べるはずは……。
「いやぁ、やっぱりすごいねぇ、ミナモの機体は」
「でもまぁ、本当に好きなのはさ」
後ろの2人は顔を見合わせ一斉に発す。
「壊れにくく量産できる機体!」
「装甲の厚い重装機体だよ〜!」
その瞬間、違う意見にむっとした表情の2人だったが、すぐに口元は笑った。
「ならば、その答えは結果で表すしかないね〜本田。今回のミナモのように、機体の名を上げれば、自ずと評価されるはずだよ〜」
「ミナモは今回は珍しい女子錆万装使いとして目立つはずだったんだけどな……まさかね」
何やら話しているようだが、わたしには関係ないことだ。
「大カラクリ機構ここに召喚に応ず! これはもはや人と機械の一体化ではない、機械による機械の機械のための機械! ルールスレスレを悠々歩む毎年の恒例行事! 田中巻人プロデュース里見式絡繰人形乙三式!」
見るからに卓越した技術を持った巧な翁がそこにはいた。しかし、あくまでも異様にふらふらとうろつく錆万装の傍にいるだけだ。錆万装は決して良い動きはしていない。むしろ本当に錆びた機械のようにぎこちなく見えた。
「なんだぁー♡ 乙三式ってつまり2かける3で6体ってことでしょ? それしか作れてないのー? あんなオンボロを♡」
それにひそかに眉を動かしたのは本田と言われた後ろの眼鏡の青年だ。
「にわかにはそう見えるんだろうな。巻人さんの乙三式というのは少し違う。甲乙と順につけていったが、1周した後にさらに作ることになりめんどくさくなったらしく後ろに数字をつけた。つまり3周目の乙という意味だ。つまり、十干をすでに2周終えているんだ」
「しかもあれあくまで里見式で23体目だからねぇ〜。他の機体も相当な数作っているし、年に最低10機は手作りで作る。まるであの人自身が機械みたいだよね〜」
本田は、ブリッジを持ち眼鏡のズレを直した。
「それに、巻人さんの機体は他と違う、控えめに言っておかしいとしか言えない点がある。今年も楽しみだなぁ」
どういう事だ、あのオンボロさ、それがヒントなのか?
「旅する救世主が来てくれた! 土肥やしや水問題の解決だけではない、この錆万装の技術も伝え続ける! 小世界の偉人、ミドラッシュ・トムソンだー! 機体名はボーンインザパープル7rd Edition!」
次に見えたのは所謂ヨーロッパ系の男だった。頭の前は大きく開けたデコッパチだが、汚らしさはなく、むしろ丸眼鏡の似合う知的な雰囲気を醸す。
機体は紫色で、高貴に見える。しかし、その錆万装が新品でなく、使い込まれた錆び方をしているのはわたしにもわかった。そして、機体は高貴な印象に反し、ユンボに乗せられたスクープのように厳ついシャベルを手に所持していた。
そして、次に見えたのは小さな影、身長は前のミナモと言われた女性の背がそのものが高いのもあるが、彼女と比べてもあまりに小さい。
「錆万装舞踏常連! バランス派に美しさがないなど誰が言った! 積み上げた鍛錬今ここで魅せる! 白岩空実! 機体はイッツローファイ・ホワイトロックモデル!」
そうか、あの機体はイッツローファイって言ったんだな。当時は驚いたものだけど、今見てみると確かに派手な他の機体と比べると見劣りするかもしれない。しかし、その錆万装から感じる確かな強かさは、動きにより舞う砂埃からも伝わった。
「我の国でもあの機体は所持しているぞ! もっとも、あそこまで精密な改造はされてないがな!」
ンドロードはその機体をそう評した。やっぱり、わたしが知らなかっただけで身近な機体なのか。そんな機体だからか、後ろの本田も目を光らせている。
「錆万装は実践で使えてこそ! 鉄脈重工で鍛えた技術はもはや一つの芸術だ! 無限軌道はただひたすらに進む! 種市幕利のバイエン・D、燃焼!」
その機体は安定感のある足型のクローラーをつけた錆万装だった。足を乗せないでも使える下半身の安定感に反し、上半身は身軽そうに肉抜きされて見えた。しかし、その上半身は色付きのカバーで隠され、顔を窺い知れなくなっている。それはまるでシャープな空の戦闘機のように見えた。
特等席からはこの様子を陛下がご満悦に見られ、笑顔をこぼされた。
「あいつは、俺とは趣味が合いそうだ」
今までの真剣そのものと言ってよい顔と比べると、随分と和やかでおられる。
「そして最後は……」
わたしは参加選手の名前を改めて一瞥した。しかし、これ以上の選手名の記入はない。テレビで協賛した企業を読み上げる際のご覧のスポンサー、かのように『略』と書かれて省かれてしまっている。まさか、まだ選手がいるのか?
逆光に照らされ、大きな機体が入場した。軋む金属、唸る油圧、巨大な止めネジがプロテクターのようなその錆万装は、正しく王道の機構だった。しかし、わたしは目を疑った。明かりの中暗く見える、頭にコブのような塊をつけた小さなその操縦士の姿、何処かで見た気が……いや、そんなわけないだろう。
「錆万装舞踏にまさかの殴り込み! つい先日まで彼女の参戦は予定されていませんでした! 稲妻のごとく現れ、雷のごとく衝撃を与えた、無銘の怪物!」
いや、間違いない。陰りがなくなり、姿が見えるにつれ確信に変わる。頭についたネジ、サメのような歯、あれは、間違いなく!
「ゼノン支部に眠れる獅子! レア・ジェンキンスがついに参戦するー!」
「さあ、全員かかってこーい!」
機体に乗った彼女は選手らの中心まで走りきて、シャドーボクシングをしてアピールした。その拳をあっちへこっちへ回りながら打っている。
そう、彼女はレア・ジェンキンス。幼い頃からウェストウッド家の雇われ技術者にして、ミラたち三銃士の同い年の学友。かの怪物映画のように、頭にネジを引っ付けた、見た目も中身も子供っぽい奇天烈な子だ。
「以上を持ちまして……あれ?」
しかし、どうにもおかしい。未だに彼女は拳を振り続ける。レア、もしかしてだけど……。
「あの、ジェンキンス選手? まだ試合は始まってませんよ?」
これにハッとしたレア。機械の手は彼女に連動して口元まで添えられる。そして恥ずかしげにそそくさと端の方へと去っていった。
整列をした錆万装たち。その光景は心の奥をくすぐるような壮観さがあった。
「以上を持ちまして、選手紹介を終わります!」
湧き上がる会場は、大きな熱狂で皆を歓待した。拳を突き上げる観客や、タオルを回す観客もいた。
「すごい……盛り上がりだね……ちょっと……ゴニョゴニョ」
キエロは杖を握ると、こちらの顔を伺うように見えるも、すぐに目を逸らした。合わせられないのだろうか。マルファも口下手だけどむしろ目はしっかりと合わせるタイプだったから……ああ、だめだ感傷に耽っちゃ。今わたしは、今を生きているんだ。
「ところで、ミス・カノン。お聞きしたいのだが」
「はい、なんでしょうか?」
ふと、スプレーを塗りたくるサムソンと言う男が何かを尋ねた。
「私の聞いた限り、他の来賓の方はこの競技のファンと聞いたよ。けど、私はあまり詳しくはないもので……拳と足のものを言う格闘技とかかな?」
「そうデス! ゆかりさんもちょっと気になってたんですよキーリーちゃん!」
どうやらゆかりさんの意見はあのサムソン氏と一致するらしい。わたしも、実はあんまりわかってない。しかし、わたしは見逃さなかった。ある機体は太刀を背負い、またある機体は砲を持ち、英二さんの串槍だって例外じゃない。わずかなヒントに、この競技の恐ろしさがひたひたとしたる。
「ちょっと甘いですかね。この戦いには自らのプライド以外に誇りなぞありやしませんよ」
果音さんはいつものハツラツとした雰囲気に違うように不敵に口角を上げた。
「この競技は操縦妨害装置以外のルールはないも同然! 捕物の使用に制限なし! ただし観客の迷惑にはならないことが条件! そうして、相手が操縦不可になるか抵抗できなくなるまで争うことが目的の無差別級戦闘技、これが……」
一時のタメ、そして姉王は大きく宣言する。
「鉄芯華錆万装舞踏なのです!」
悦びの叫びは同調とともにさらに増した。わたしも正直昂るのを感じる。ゆかりさんはそれを聞き慌て出した。
「ちょっと! そんな競技だったなんて! もしかして過去死人とかも出ているん……」
「おおーっと、聞こえましたよ初めての方! 過去に命に関わる事故とかも起きているじゃないかって。まぁ3回に1人くらいは……ね?」
放り込まれたゆかりさんは未だ現実を受け入れられず、怯えた表情を見せた。けど、今やそれはここでは少数派だ。もはや会場は一つのサバトと化していた。
「オイ! オイ! オイオイ!」
と声を上げながら。




