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ウェストウッド家に栄光あれ!――君に家督を譲りたいっ!  作者: 青瑪瑙ナマリィ
第3章 烏の目からは逃れられないっ!
20/65

20話 餌を食むもの

「さて、今日も一日頑張りますか!」


 現在6時53分。現地人である、リリーフリーフの店主の女性は、伸びをして、下準備の終わった厨房に立つ。昨日は夜の酒場がどんちゃん騒ぎで、散らかっていたものを片付けるのに大変だったのだ。しかも、いつもに厨房の下準備も決して楽なものではない。開店前に気合を入れるのも必然だ。


「おはようございまーす!」

「おっ、バイト君、おはよう」


 バイト君と呼ばれる現地人の坊主にも近いほどの短髪の少年が、勢いよく裏に入ってきた。


「珍しいね、バイト君が遅いなんて」

「へへっ、猫を追ってたら遅れちゃいました」

「どうせ、ただ追ってたんじゃないんでしょ、バイト君、こういうとこだけ正義感が強いんだからさ。それに、ポケットの包帯見えてるよ」

「はは、バレちゃいましたか。こういうのは言わずに行うのが粋かなって思ってたんですが。ほら、うちの地元だと、猫なんて取って食っちまえって場所なんで」


 会計棚の前で、姚が不審げに外を見つめる。


「シャハトさんがまだ来てない。今日はシフトで、あと5分もすれば開店だっていうのに」


 だが、開店前、店前に人影が見えた。


「あ、あれがシャハトさんじゃないですか? ぼく、見てきます!」


 バイト君は返事を聞く間もなく全力で走って行ってしまった。残された店員は、やれやれと口から出てしまいそうだった。


 開店2分前、バイト君は、かの人影と同じ速度でゆっくり、ゆっくりと歩いてきた。その影は大人にしては小さく、背の高いシャハトにしては絶対ありえない大きさに見えた。


「あ! あの人は! 子供じゃないか!」


 そう、店主の反応はまさに事実。その影の正体はかの生意気な子供、パイパー・ウェストウッドだったのだ。


「ねえ、君。シャハトのことを知ってるかい? ならどこにいるか教えて欲しいんだけど」

「残ねーん。リクリッサは休むっていってどっか行っちゃいましたー♡」


 その場の全員が白目剥くほどに驚き、


「な」


としか反応できなかった。そして、次の一言のため、店主とバイト君は、顔を見合わせた。


「あ、あ、あ、あいつ! バックれやがった!」


 開店1分という時に、慌て回ったけれど、レジにいた姚は、彼女に近づき、あまり背の差はないとはいえ、少しでも差を近づけるためにかがむ。それは、気になったことの追求のためだった。


「ねえ、君、名前は」

「あんたに教えてあげる名前なんてありませーん♡ 不審者さーん♡」


 この時点で怒らなかった姚は偉いだろう。ならばと、


「じゃあ、君のままでいい? 君、学校はどうしたの? もうすぐ、登校の時間じゃない? それに、リクがいなくて平気?」


一言切り込み、反論の隙を与えずに話し切った。


 パイパーはさきほどと比べてしおらしく俯き、


「学校は行ってない。今日は、ここに預かってもらってっていわれた。なんとかウェストウッド家に帰りたいんけど、電話番号はわかんないし、歩いて帰るのは危険、だから、この腐れ街にいる。ああ、ゼノン支部の学校に戻りたいよ」


 パイパーは、年にしては弁がたつようだ。それを聞いて、姚は、何かを感じたのだろう。


「じゃあさ、君、この街の学校に通わない? 転校の手続きとかしてもらってさ。しばらくここにいるなら、その方が、何もしないよりいいと思うんだ」


「えーっ、色付き人種なんかと一緒に勉強とか気がちるー♡」


 一転生意気な反応。隙ができたら逃さない。そんな態度に姚は、


「は、はは、こ、こいつぅ」


とひきつった笑いをしながら、呟かずにはいられなかった。



「ひゃっふー、風が気持ちいいなぁ!」

「はっはっは、桐の字もそう思うか!」


 わたしは今、手をオフロード車の窓から出し、風を纏う。本当は顔も出したいくらいだけど、それは流石に危ないだろう。仕方ないから、流れてくる風で我慢してやった。このあたりはあまりに過酷な環境なので、バスは使えない、だからオフロード車に乗り、烏窟城を目指している。


 乗りに乗ってきた英二さんは、饒舌にもなってきた。


「この時間はまだ涼しいけどよ、昼は熱風がブワッて吹いて車の中まで蒸されちまうぜ?」

「わーってるさ、これでも軍人だぜ?」


 たまたまだけど相手と同じ語尾で返してやった。なんというか、空実さんよりも英二さんの方が立場は上なのに、どこか馴染める感じがする。現に、今もこういう喋りを許してもらってるんだ。


「ああ、鉄家の方とお会いできるなんてなんと光栄なことデス! ワタクシ、一ゆかりと申します。いやはや、なんたる迫力。世界栄鎮はやはり違うデス!」


 へこへこしながら、ゆかりさんがいつものようにおだてる。その褒め方は当たっててもちょっと違うと思うけどな。看板を背負うってのは思った以上に辛いものだしね。しかし、そんなゆかりさんを見て、英二さんは心配していた。


「しかしさ、ゆかりさん、だっけ? 勝手に連れてきてよかったのか?」

「その点については心配むよーう! わたしが許可する!」


 どこからか声が聞こえる。その声は女性的だけど、わたしとゆかりさん以外に女性は乗っていないはずだ。まさか裏声……。


 と、思った瞬間、窓の手に何かが触れた。少し凹凸があって、ある程度骨張っていて、近くには繊維のような……、


「わわわ、何よこれ! 前が全然見えないのだけど」

「自業自得よ」


ああ! これは間違いない、顔だ! それも、窓から垂れ下がっていたのは2人、王族、深華家の果音さんとリクで間違いない! 


「うわぁ、運転手! 止めろ止めろ!」


 英二さんは、後ろからサングラスをかけた運転手を揺らし、それとともに車も右往左往、酔いどれタイヤになった。


「ほんと、うちの姉王は」


 英二さんのこの合図の次にはこの言葉しかありえなかった。


「ぶっ飛んでやがるー!」


 横転しそうになりながらも、なんとか車を止めると、英二さんは、怒るに怒れない、呆れたような態度を取った。


「果音さん、あなたがいると、この仕事は護衛に変わっちまう。どうしてついてきたんですか?」

「何って、わたしは真剣よ。さまざまな文化に触れること、それも近い国のこととなれば、それは、国を支えるものとして知っておきたいことだもの。それに、ゆかりさんのことも気になるしさ。だから、ぜひご一緒させて欲しい。いや、ご一緒するわ、結論!」

「あんた、ほんと、オレより年上とは思えないほど、アグレッシブだよ」


 英二さんの額は冷や汗をかいていた。それと、わたしもわざわざ細かい千鳥格子のワンピースなんか着ておしゃれな長身の彼女を問いたださなくてはならない。


「リク! なんでついてきちゃったのさ! わたしのことを思うなら、留守番しててよ! パイパーはどうしたの!」

「逆にケリィ、あなたはあたしがいないで大丈夫だと思っているのかしら? この無法の場で姿の見えない敵と戦い続けるのよ」

「それくらい慣れている!」

「困るわ、怪我でもされたら。誰も治せなかったらあたしが悲しむ。そんな時、あたしがそばにいれば、応急処置で完治するのよ。自分の怪我も即死じゃなければなんとかなるわ」

「いや、頼りになるならないじゃなくてさ……」

「いい加減にして。あたしのこと嫌いになったの?」


 うっ、出たよ、いつもの。けど、今回ばかりは冷たく引き離さなくては。


「そりゃあ、今のリクは嫌いだ。人の都合を考えちゃいない」

「人の都合を考えてないのはどちらかしら? 本当はあたしから離れてゆっくり休暇を楽しむ気なんでしょう!?」

「いや、確かに休むとは言ったけど、あくまで仕事で」

「御託はいいわ。ケリィ、好きならあたしと一緒にいて。嫌いなら、密閉空間で無理心中よ。あ、手を出そうとしたら、その瞬間、心中するから」


 なんて発言。御託とか、自分勝手なのはどっちなんだよ。まぁ、自分勝手でなくちゃリクじゃないとは思うけど。それにしたって理不尽だ。


「わたた、心中! いやデス、こんなとこで死ぬのは!」


 ゆかりさんは、怯えて、おろおろ、シートベルトをしたままあちらこちらに手を動かしていた。しかし、果音さんは物怖じせず、微笑ましい光景のように眺めていて、英二さんもまるで大胆不敵に構えて応えた。


「ははは、すごい強い娘だ。脆いけど芯のあるダイヤのようなメンタルだな。面白い、連れていこうじゃないか」

「あなたは口を挟まないで、それで、ケリィ、アントウォーテン(答え)は?」

「うーん、仕方ない、かな」


 悩む暇もなかった。こう答えるしかなかった。リクはその答えがさも当然であるかのように居座り、こうして、予想外の任務は幕を開けた。



 車はあれから数時間は走っている。国境もとうに越え、そろそろ着いてもおかしくない頃だろう。ふいに、リクのことが気になり、目を移す。リクは本を読み耽り、動く車内、ブレる左手でメモに取っていた。


「おっ、勉強熱心だね。難しくないか?」

「難しいほうが嬉しいわ。学んだ糧こそが力だもの。それは、能力を使う時も、世の中を生きていく時にも大事な力よ。今は、神経学について勉強中」


 本当に、リクは本、もっと言えば文章が好きだ。彼女はボードゲームにも顔が広いけど、その説明書を読むことも全然苦とせず、なんならバイブルを通読したこともある。彼女が教会で育ったからだろうか。それにしたって、教会に迎え入れられたのは彼女が小学生も卒業する頃からだろう。それまでは、どこかで隠し子として育てられたって聞いた。そこでも、きっと、いやそうに違いない。とにかく、読む力はそういったところからついたのだろう。


「うーん、わたしにはわからないけど、けど! パパが言ってた、若いうちは学ぼうとする意思が大事。勉強と莫逆の友になるのが理想だ。その際、何も机の前だけじゃなく、どこでも、どんなことだって勉強、そう考えた方がいい。って。リクは偉いよ」

「なにそれ、またお父さんのこと? まるでロトコンプレックスね」

「そっ……そんな言葉どこで習ったんだよー!」

「勉強熱心、ですもの。ね?」


 ロトコンプレックス。少し前、流行した言葉だ。その意味は、父親が好きで好きでたまらない子供。


 荒野を走り、岩がたびたび見える頃、ピシリと何かが鳴った。すると、急に車の窓に蜘蛛の巣のような模様が入った。この車は装甲車ではない。しかし、それでも頑丈な作りをしているから、めったなことではこんなことは起きない。


 何事かと思う間も無く、すさまじいまでの勢いで前を走る車が飛ぶように突進し、車は止まってしまった。その突進した車は、上が無理矢理空けられており、車体には棘までついたガチガチの改造車だ。運転手は、ゆっくりバックすれば抜けられると考えたのだと思う。けど、周りを見渡すと、そこには刀を持ったり、銃を持ったりして、バンダナを本当に巻くといったように一周させた男たちが、取り囲んでいた。そう、間違いない。賊だ。


「おうおう、随分と羽振りが良さそうじゃねえか。ちょーっと、積荷を分けてくれませんかねぇ。ざっと十割ほど」


 賊どもは、そういうと、タイヤを刀でパンクさせてしまった。


 そんな様子を見て、黙っていられぬ男が、今乗っている。鉄英二だ。彼は、車の扉を勢いよく開けて、わざわざ危険な外に出ると、


「この車を襲うほどの勇気と行動力は評価する。きっと、オレらの想像もつかぬほど困窮しているのだろう。だが! タダでは施さん! どうしても何か欲しいならまとめてかかってこい!」


串のような槍を構え、くるくると回し、斜めに構えた。臨戦態勢、といったところか。


 賊はジリジリと距離を詰め、銃はすでに構えられ、いかにも発砲音が聞こえそうだ。空気は静かながらも、さざめくようだ。


「ちょっと失礼!」


 うわっと、勢いあまり、みんな転げた。静寂を破ったのは、果音さんの焦りに満ちた早口だった。


「ちょっと、この近くでお花摘みたいんだけど……」


 本当にここにはないお花を摘むわけではないだろう。モノの例えだ。果音さんは、こう言ったことを言っても怪訝な目で見られない程度には清楚な人だろう。


「逃げる気か、そうはいかんぞ」

「ここで漏らせと!?」


 前言撤回。果音さんに清楚ないじらしさはなかったらしい。


「ああ、もういい、めんどくさい。その代わり、他の奴らは絶対逃げるなよ」

「それも、お断りするわ。一人じゃ心配だから、連れて行きたい人がいるの。キーリーさん、ちょっとお願いできるかしら?」

「なにっ」


 わたしは実は少し困惑していた、だって、こんなことしなくたって、長旅には……。


「うわぁ、果音さんちょっと!」


 そう思っているうちに果音さんはパーテーションを用意して担ぎ、わたしは彼女に手を引かれてしまった。砂が暑く、熱が足裏に伝う。


「おいっ、それは許可してないぞ!」

「いいじゃないの、ケチくさい」


 果音さんは、相手の要求に無視を決め込んだようだ。きっと、今の果音さんは殺されてもだれも文句も言えず、自業自得になるだろう。詳しいことは聞き取れなかったけど、英二さんもやれやれあの人には敵わないといった反応だった。ゆかりさんは、放心したように空を見上げていたけれど、反乱軍にいたなら、慣れててもおかしくないでしょうに。


「果音さん、要はトイレですよね? そんなの簡易トイレを使えばいいのではないですか?」

「いや、あれはフェイク。目的は、本当にお花を摘むことよ。そう」


 果音さんは岩陰に隠れた。わたしは、ぐいと引っ張られ、砂に足を取られ、こけてしまいそうだった。


「咲き乱れた犯罪のおはなを摘む!」

 果音さんの手元に触れると、何かがわたしの前腕に当たった。それは、先ほどまでどこにもなかった弓と矢。そう、これは白万の取手矢で間違いない! 


 素早く放たれ、風切る矢は、先ほど刀でタイヤをパンクさせた賊の脇腹を音が鳴るほどの勢いで突き刺した。確かに血が滲み、本物の矢であることをまざまざと見せつけただろう。


「降伏しなさい! いまなら、実行犯だけで許してあげます!」


 賊は、果音さんの行動をを見聞きし、むしろ猛ったか、砂の上でもわかるものすごい足音を鳴らしながら、やっちまえ、と陣形を崩してまでもこちらの岩陰に突っ込んだ。


「なんだぁ、奴ら、姉王をいじめる気満々じゃねぇか。じゃあ、オレらも容赦しちゃいけないよな!」


 英二さんは、岩陰に向かう賊の足並みよりさらに速く、電光石火というのにふさわしい速さで猪突猛進した。そう、本当にブレもしない揺るぎのない走りだった。


 追いついた英二さんは、串槍の先端を近くにいた賊に向けた。銀色に輝くその串はギラリと輝き、ハートをハツ串にしてしまいそうだ。


「ひぃい、お助け!」


 賊も流石に怯えて、腰が抜け、手でゆっくりと下がった。歯は、ガチガチいっている。


 しかし、彼は容赦なかったが、酷ではなかった。その大きな串の持ち手を、先端側に素早く持ち替えると、鈍い音が聞こえた。そう、肩を持ち手側を使い、全力で叩きつけたのだ。刺した訳ではないとはいえ威力は充分。叩かれた彼は、失神し、寝転がるように後ろに倒れてしまった。


 こちらも、ちょっとは戦力にならなくちゃ。そうだ、縛手! 


 スタンガンと同じくらいの大きさの縛手を構え、撃ち込む。バチンと大きな反発するような音を立て、縛手は相手のリーダーと思わしき、指示を出す男に向かう。まっすぐ飛んだ縛手はぐるりと巻きつき賊をお縄につかせた。


 首領の確保、それはプライドを打ち砕くのに十二分だっただろう。


 しかし、奴らは残った。首領を助けようとむやみやたらに突っ込んできたのだ。


「おい! やめないかお前ら!」

「で、できません! このまま見捨てるなんて!」


首領の話を聞かぬ奴らは縛手を使うまでもなく、ばったばったと英二さんに投げられて行く。


「俺一人が捕まればいい話だろう! これは首領命令だ!」


 そう言われて賊たちはようやく、すごすごと下がって行った。


「ふふ、賢い選択だ」


 串を後ろに斜め掛けして、仕舞った英二さんは、子供の成長を見守る親のようなうなづきをして、


「おーい、お前ら! 倒れてる奴らも連れて行かないか!」


と、忘れ物でも教えるかのように呼び声を上げた。


 しかし、逃げる命令には忠実。なりふり構わず逃げ、今、話せるような状況なのは、縛手で捕まった首領だけだ。英二さんは、腕を重ね、鳴らしながら首領に近づいた。


「さーて、どうしてくれようかな」

「なんだ、何をする気だ」

「そろそろ大丈夫かな? キーリーさん」


 こそっと、わたしと果音さんは岩陰を抜け出し、車に近づいた。尋問の様子もしっかり目に入れながら。


 しかし、英二さんもまた、


「ちょっと待ってろ」


というと、車に近づき、玩具箱でも探るように、何かをゴソゴソ漁った。


 車の中を覗いてみると、まだ、リクは本を読むことにふけっていた。


「騒がしい祭りは終わったかしら?」

「大したもんだよなぁ」


 わたしは、彼女の芯の強さがここまでであることに感心してしまった。


 一通り漁り終わった英二さんは、複雑な構造をした機械を取り出した。それは、油圧で動く、エンジンに違いなかった。そうして、彼は先程と比べ気品とエンジンを持ち、ブレずに近づくと、


「スペアエンジンだ。使い道がなくても、売ればそこそこの金になるだろ」


 そう言って、あっさりと、エンジンを投げて渡した。


「なぜだ、なぜそんな気になった」


 首領にも良心のたがは残っていたようだ。


「お前らは、全力で向かってきた。そして、慕われていて、困窮もしているって言うなら、充分合格のラインだ。ただし! 二度目はないぞ」


 首領は、じっとエンジンを見つめた。何か罠ではないか、未だ疑っているのだ。しかし、罠ではないと判断すると、


「恩に着る」


と、言って深々と頭を下げた。


 その首領の後ろ、頭を下げたことにより、何か黒い塊が蠢いているのがわかった。あれは、なんだ、まさか、考えたくもないけど。


 眼前の黒い塊が広がる。それは、波のような形に、それはもはやパンデミックのような純粋な病みを以って首領を覆いつくす。


「おい、そいつを離せよ、お前」


 英二さんはその銀の槍を構え、悩んだような刹那の後、黒い塊のギリギリの端っこに勢いよく突き刺した。黒い塊に、その槍は命中したものの、血も出る様子はなく、垂れたのは紫色の、酸のように黒い蒸気を出す液体だけだった。


 黒い生物はさっと距離を取る。残された首領は、全身があらぬ方向へと曲がっており、皮膚が紫に変色していて、息づかいも感じられなかった。


 間違いない、国の外に出ることは、これ故に危険。世界を蝕む、共通の敵。自然とわたしはその種族名をつぶやいた。


星蝕者キャンサーインザワールド……」



アシェンのひみつ

実は、彼女の能力「ルールの狩人」は、大多数、具体的には現在は3分の1以上に効力のあるルールしか解除できない。

姚「えっ、てことはゆかりさんの話を信じると、この街に攻めに来た時、わざわざ数で有利な状況を捨てて、一人で来たの?」

パイパー「そー! すごいでしょ♪ やっぱ、その方がおしゃれよね♡」

姚「それで負けるとかバカみたいじゃない?」

パイパー「むー!(膨れっ面)」

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