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ウェストウッド家に栄光あれ!――君に家督を譲りたいっ!  作者: 青瑪瑙ナマリィ
序章 この辺境の街で暮らしたいっ!
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11話 果たす

「ねーえ、リクリッサぁ、ちょーっと聞きたいんだけどさ♡」


パイパーは強制的にそうならざるを得ないほどの身長差の元、上目にいつもより大荷物のリクを見た。


「何よ」

「なーんで、あたしまでついてこさせられてるのよ! こんな危険そーっな場所にーっ!」

「そうよ、あたしの付き人として、文句ある?」

「ありありだよ!」


 そう、今日は決闘の日。その場所はは整備されていない農道の真ん中。決闘とはいえ、相手はウェストウッド家だ。万が一のために何人もの人が後ろ盾にいる。空実豪士も何か巨大な機械に乗っている。その機械はいわゆるロボットのようにパイロットを覆うわけではなく、巨大な足の上にパイロットが乗るようにした大きさにして2m半といったところの、ロボット界の自転車のような機体だった。パワーローダーというものが昔の映画にあったらしいが、それに似ているかもしれない。取物は棍のようなものを持っているが、その下にアームのようなものもあり、取物はあくまで取り付けてあるだけのようだ。


 この機体に、どうやらリクは興味を示したみたいだ。


「あら、ロボターゲンじゃない。なかなか趣味のいいものを持っているのね」

「ロボターゲン?」


 わたしはあまり聞き馴染みのない言葉に聞き返した。


「そう、ケリィにはあまり話さなかったわね。ターゲンはドイツ語で着るという意味、そう、ロボターゲンはドイツでの技術革新が盛んなのだけど、着るように扱える、そんなロボットという意味が込められているのよ」


 その言葉に、空実豪士は反応するように話す。


「確かに世界的にはそちらの呼び方が主流かもしれない。けど、鉄芯華国では、こういうんだよ」


そうして、空実豪士は機体の腕を人に当たらない程度に振り回して高らかに宣言した。


錆万装さびばんそう!」

「ちょっとケリィ、サビバンソウってどういう意味かしら?」


 そうだった、リクは日本語が、それも聞いて理解することができない。


「ええっと、錆と万と装備」


こう答えると、不敵な笑みを浮かべ、理解したわと答えてくれた。


「そろそろだね、お姉ちゃん」


 パリスのその声に横を向き、顔を合わせて答える。


「ああ、そろそろ約束の時間だと思うけど」


 すると、不意にだいぶ遠く、横にいる空実豪士の少し後ろから、


「美しい」


との一声が聞こえた。


「空実っちゃんの言った通りだぁ。ありゃ横顔と声だけで美少年よぉ」

「今は、集中、だよシンジ」


シンジ?さっきの声はどう考えても女声だったはずだけどな。その女声は続けて話す。


「でもさぁ、結局来なかったわねぇ、先」


空実豪士は無言を貫いた。


 のしりのしりと、多くの雑音がする。それは、わたしたちのものではない、間違いなく別の何十、いや百何人もの足が土を踏みしめる音だった。わたしの目に見えたのは昨日も見たお腹の大きなラミィの姿と、大勢の人、人、人。大小様々な男の姿だった。その先頭には、前に巻髪、瞳に色を感じるわたしの姉妹、そしてわたしと同じウェストウッド家の実子、エウリュディケーがいた。


「おっ、あの娘なんだ、めっちゃめんこいなぁ」


 後ろからはエウリュディケーに見惚れる傭兵の声がする。


「ふーん、やるじゃん。素質はあるんじゃない、でもさっきの美少年ほどじゃないけどねぇ」


わたしはラミィを見つめる。わたしはダムが決壊するように語気を強めた。


「ラミィ、どうやら……」

「約束は違えたようだね!」

「お互いにな!」


 決戦の火蓋は切られた。しかし、この戦いは勝つためのものではない。相手に諦めてもらう、そのためのものだ。だから、この戦いでのわたしの目的は、ラミィに揺さぶりをかけることだ。


「最後に聞いておきたい、わたしの夢はウェストウッド家を滅ぼすことだ。ラミィ、お前は?」


 嘘にまみれたその言葉に、一瞬彼女は首をかしげたけれど、すぐにその口を開いた。


「ウェストウッド家に身も心も捧げること、かな?」


 違う、ラミィはそんなこと言わない。彼女がウェストウッド家の職に就きたいことは分かっていたけれど、それでも、ありえない。もう、あの時の純朴な彼女は、いない。


「なるほどねぇ、どいつもこいつもチンケな獣だこと、だから苦手なんだよ外部は」


 エウリュディケーことリディが愚痴をこぼす。


「やれやれ、まあ、やってやりますか。そらよっ!」


 彼女の目は怪しく光った。彼女の白万をないがしろにしていたと思い出したのは今更になってだった。まずい! 


「ああ、めんこい、本当にめんこい」

「あの娘の言うことなら何でも聞けるぜ」


 ほとんどの兵が蠢き出したと思うと、味方を襲い出した。それも、無差別に。そう、彼女の白万、love to get herは、惚れた相手を自由に操る精神感応能力を持ったおそろしい白万だ。


「あー、だめだ、だめだ。そうじゃなくてよ、あいつだ、あのチビパツキンパンツを捕まえろ!」


 その指先に向かい、多くの兵が鬨の声をあげ、わたしを捕まえに走り出した。完全に、この人数は裏目だ。どうすれば……


 考え込んでいる矢先、突然目の前に来た兵の何人かが目をつぶり、ぐったりと横に倒れた。そして、その後ろから払うような手の形をして、わたしに声をかけたのは、紛れもなくリクリッサ・シャハトだった。


「彼らには眠ってもらうわ。本当はもっと調整して使うべきなのだけど」

「ああ、ありがとう」


 リクは自分の指を首筋に刺しこむような動作をして、


「我流快楽計算!」


と叫ぶ。その意味をわたしは詳しく知っていた。この技、快楽計算は多大な楽により痛覚を麻痺させ苦を乗り越える技。いわば痛みをごまかす荒技だ。これは使いようによってはむしろ大怪我に繋がりかねない技。だからこそ、今は本当に死地、方法を選んでられないのだろう。


 しかし、まだ近づく操られた味方は近づき出す。そんな中横倒りぐったりした兵の一人にリクは触れた。


「ちょっと、その肉体借りるわよ」


 そういうと、その兵は服の上からでもわかるほどの筋が身体中を伝い、リクはそれをあっさりと持ち上げた。そう、それは筋肉の力で持ち上げているんじゃない。その兵自身が彼女の筋肉になったかのようだった。これだけ重い腕を持ってなお、彼女はバランスを崩さない。彼女は腕と化した男を振り回し、近くに来た相手を薙ぎ払った。


 しかし、銃口がリクの方向を向いている、そして、トリガーに手をかけていることに気がついた。


「あっ、危ない、リク!」


銃弾はどうなった? 弾かれてどこかに飛んでった。その撃たれた先には、パリスが肘を上げて立っていた。そう、パリスの体はパリジャンのごとく固い鋼鉄なんだ。


「……お姉ちゃんがすっぱり別れられるようにだからね、シャハト」


 リクはパリスの方を向き勝ちほこったような顔をし、すぐパイパーの方を向いて、命令した。


「命令よ、この場にいるものが致命傷負わせた場合、地面に這いつくばるようにルールを定めなさい」


 命令を聞くと、パイパーは、うつむき、すぐ顔を上げると、


「もうっ、本当にリクリッサは、わがままなんだからぁっ!」


と言い、右手の人差し指と中指を組み、左手を添え、詠唱をした。


「この場にいるもの全てよ、もし致命傷を負わせたならば地面に這いつくばる。これは解除するまで、あたしの周りにいる限り持続」


 その詠唱に答えるように、彼女の鎌を持った白万は、睨みを効かせるように、彼女の陰に佇んでいた。これで、死ぬことはないだろう。しかし、まだ油断はできない。この命令、確保への縛りが何もない。


 ただ、それはこちらも同じ。そう、わたしには縛手がある。縛手とは火薬により勢いよく飛ぶ縄が胴を縛り、捕獲する憲兵特有の武器だ。昔は止まった標的しか縛れなかったけれど、最近は激しく動く相手も縛れるよう進化している。これがある限り、わたしにも対抗策はある。しかし、リクはどうだろう。実際、今おそらくは生きているであろう腕にされた兵士は離してしまった。まだ、麻酔があるとはいえ、不意打ち以外でそう何度も当たるものではない。


「さて、そろそろ帰るとしますか、ヘリコプターの準備はできているよね」


 この混乱の中、よく見ればラミィの後ろにはすでにヘリコプターが到着していた。くっ、結構遠い、まだ、まだ話さなくちゃいけないことはあるのに! その時、ふと空実豪士の機体が立ちすくんでいるのを目にした。それは襲うでも、襲われるでもなく、ただ、まっすぐ立っていた。中の空実豪士を除くと、それは目を回し、混乱しているようだった。


「なぜ、なぜなんだ。恋、恋か、いやでも、何で、興奮できないんだ、私は」


かすかにそんな独り言が聞こえる。それを聞いてか聞かずか、リクはこんなことを、英語で言い出した。


「早くしなさいヴァイサーフェルゼン、いやホワイトロック、ケリィを乗せて、走れよマヌケっ」


 一瞬の沈黙、その後彼は取り乱し、左手で頭をくしゃくしゃとしつつも、


「ああ、もう仕方ない、乗りなさい、ウェストウッド!」


と、わたしに乗る許可を出した。だけど、この錆万装は一人乗りだ。ならば、乗るの意味はおのずと一つ。


 わたしは、彼の機体の足の上に素早く足を乗せ、腕をよじ登り、彼の頭の上の部品に乗った。


 リディはかの命令を知っているからこそ、


「おい、これはチャンスだぞ、まとわりつけ、あのロボットにまとわりつけ!」


と命令した。なるほど、たしかにこれではあのルールは裏目に出ている。


「乗ったな、行くよ、ウェストウッド!」


わたしは、パイパーに向かって大声で伝令をする。


「もし、万が一致命傷を負わすようなことがあれば、あのルールは即破棄で構わない。よろしくな」


 空実豪士はわたしを錆万装の上に乗せ、全力で走り出した。熱風は暑いが、それは機体からも横からも強く吹き付ける。それだけじゃない、まとわりつく人だかりからも熱気は茂る。


 わたしは、先日もらったリクの白万で作った蔓を使って露払いのために振り回した。強さは思ったより調整できているのか、のける程度の威力で人混みを払うことができた。空実豪士は極力吹き飛ばさないよう、慎重に怪我させないよう、しかし走りは止めずに人を足蹴にして振り払う。


 この錆万装は一歩が本当に大きい。大股にすれば、一般人が走った程度じゃ追いつけないかもしれない。その速さあってか、ヘリコプターへはもうあと15歩というところまで来た。


「よし、あと少しっ」


 ここで、思わぬアクシデントが起きた。とある元々は味方していた、ウェストウッド家についた兵士が、忠誠心ゆえか、全力で走ってきたのだ。そうして、錆万装の走っている足に全力で激突した。


「ああっ、まずい」


 嘆いても遅い、その兵士はすごい速度で蹴り上げられ、床に叩きつけられ、全身複雑骨折をしてしまったようだ。これは、おそらく、致命傷。


 後ろを見ると、睨みを効かせていたルールの狩人がこちらを睨んだ。もうすぐ、凄まじい、目にも止まらぬ速度で向かってくることだろう。


 もうだめか、ラミィと話も出来ずに帰してしまうのか、と思った時だった。


「パイパー、これはお願いだよ。ルールを解除したら、ケリィについていって。大丈夫、わたしが守るよ」

「全く、次から次へと、しょうがない人たち♡」


 パイパーが手を合わせると、睨みを効かせた狩人は嫌そうな顔をして去っていった。


 突然の天啓、パリスがこの状況をしっかりと把握してくれていて助かった。パリスは、パイパーとリクを連れ、錆万装へ続くように走っていった。


 あと、4歩、いや3歩という時だった。


「さようなら、キーリー」

「ああっヘリが!」


空実豪士が走りながらも咄嗟に叫んだ。だが、まだ間に合う。


「もういい、あそこで固まってる奴らも、チビパツキンも、両方やっちまえ、お前ら!」


 リディは、あくまで臨機応変を意識した命令をした。慌ててはいるけれど、取り乱してはいなそうだ。


 あの時ずっと夢見てた、バスケットボールをしている時だって、ダンクシュートに、憧れてたんだ。そう、間に合う方法、それは、


「跳べー! 空実!」

「わかった、ウェストウッド!」


全力のジャンプ、しかし、これではおそらくヘリコプターには届かないだろう。さらにわたし自身が跳ぶ、しかし、まだ足りない。わたしは手に持った蔓を全力で振りかぶった。


「届けぇえええ!」


 がしっ、と何かを掴んだ感触が蔓の先から伝わってきた。見上げると、確かに蔓はしっかとヘリコプターの開けっ放しにされていた扉の蝶番を掴んでいた。


「ああっ、馬鹿、パイロット、降ろせ、降ろせ」


 あの時とは違うラミィは慌てている。わたしがこんな命を張ると思っていなかったというような面をしている。


 命張ったわたしは、ゆっくり、ゆっくりとその蔓を登った。手は滑り、落ちるのも時間の問題だろう。だけど、登りきって、ラミィとはしっかり話し合わないといけないんだ。彼女は変わってしまった、だからこそ話さなくちゃならない。


 わたしには夢があった、けどそれは叶わないものだから、心の片隅に追いやっていた、今日までは! 


「約束するよ、ラミィ。わたしは、ウェストウッド家のしがらみからみんなを解放する。わたしも、夢を絶対に叶える。そして、ラミィも絶対、幸せにし……」


 一瞬、全身から冷えていくのを感じた。それは、死を覚悟した時に出る寒気そのもの。掴んでいた蔓は切れ、地上から遥か高き空中に放り出されていた。


 落ちつつも、ラミィが喋ったであろう言葉が強く頭に残った。


「そんな日は……、永遠に来ない!」


 走馬灯のようなものが、ふっと頭に湧いた。それは、あの満天の星の下の約束。


――


「お父さんの農家を継ぐ?」

「そう、けど、ウェストウッド家のしがらみがある限り、自由にはなれないし、難しいな、と思って。いつかは、なれるかな?」

「なれるさ、きっと」


――


 ぼふっ、何かの下に落ちた。地上ではない。地上ならよくて複雑骨折だろう。せいぜい怪我で済んだのは何故か。わたしは支えている何かを見た。それは、リクがやわらかな草を一面に広げ、層を作っている様だった。硬い植物を杭のようにして、空中に浮かせる形で支えている。ヘリコプターは遠くに、わたしの帰らせる場所に飛んでいった。


「あらかじめ草を大量に用意しておいてよかったわ」


見ると、リクのサイドバックはほとんど何も入っていなかった。


「ありがとう、リク」

「そうね、その感謝はしっかりと受け取っておくわ、けど、ケリィ、そんな夢があったのね」


 リクは切なげな立ち姿で俯いた。彼女は何か口を動かしたけど、それは、わたしは気づかなかった、そう言っていた気がした。


 頬に鋭い一撃。なぜかリクからは平手打ちが飛んできた。リクは後ろを向いた。


「何すんだよ!」

「ふふ、教えてくれなかったお返し」

「なんだよ、わかるだろー」


 リクは笑って振り向き、人差し指で顎を触った。けれど、その瞳は涙を浮かべていた。笑いすぎて泣いたとは少し考えづらい。けど、それ以上の理由は考えられなかった。


「しかし、パリス、あなたケリィのことを助けようともしなかったじゃない。やっぱり、愛の違いね」


 リクは流し目で、すぐ隣、助けられそうな位置にいたパリスを見た。パリスは、悲しそうに、絞った声で、


「鋼鉄の体では……、お姉ちゃんを受け止めることなんて、できないよ」


うつむいて、呟いた。それを見て、リクは含み笑いをして、悦に浸っていた。


「守りたいのに守れない、ハリネズミのジレンマー♡」


 パイパーはパリスに対し腰を落とし、顔を前に向けるようにして、離れる彼女について行った。


「ちっ、しゃーない、帰るぞ、お前ら」


ついて行ったのはパイパーだけじゃない。あそこでリディに魅了された大量の兵士、それらはほとんどリディについて行ってしまった。


「これは……国の一大事だ」


 空実豪士は静かに呟き、遠くへ行く部下をただ見ているしか出来ないようだった。


 先程ほとんどと言っただろう。実は魅了されていてもついていかない奴もいた。ほら、そこに吹っ飛ばされて気絶しているあの兵士だった。


「あ、あの人、大丈夫かな。救急を! すぐに!」

空実豪士はそう余った僅かな人員に伝令した。

「立てる?」

「ああ、なんとか」


 ゆっくりと、手足の痛みをこらえながら、立ち上がろうとした時、ふと、前から一人の女性がまっすぐとわたしの倒れる草に向かってきて、そのまま抱きついた。わたしに当たるその髪は茶髪に染めていて、日本人系でありながら、はっきりとした目鼻立ちをしていた。


「美しい、間近に見ると本当に美少年だよ彼女、ウェストウッドって言ったっけ。まさに美少年、中学校に入りたての背の少年をそのまま切り抜いてきたかのようだぁ。もし、わたしがジルドレだったら、彼女をホルマリン漬けにして、一生取っておきたいわねぇ」

「うわぁ、なんだ、なんだ」

「うーん、その少年のような声も素晴らしい。、暴れないの、ね? お姉さんとの約束よ」


 突然のことで、何をされたか、分かっていても理解したくなかった。体中を突然ベタベタと知らない人に触られて気持ちいいなんて、どれだけ人馴れしてもありえないと思っている。まあ、今回の場合は、女性相手なので、まだよしだけど。


「ちょっと、ケリィになんてことするの、離しなさい、盛りのついたケモノ」


 リクは慌てて、彼女を引き離そうとする。


「おお、あなたも随分とイケメンじゃない、その高い背、凛とした顔立ち、低めのコントラルトボイス、すらりとした色気の欠片もないモデル体系! 目移りしちゃうぅ」

「何喋ってるかわからないけど……、気持ち悪いことだけは理解したわ」


 リクは正直引いているように、体をのけぞらせた。その女性は、頬に手を乗せ、喜ぶ、というより悦んでいるように見えた。


 わたしも、そろそろ強く言っておくべきだろう。


「あんまりすると、女でも通報しますよ」


すると、彼女は、


「いやぁ、ごめんね。どうしても触りたくなっちゃってさ。許して」


といって手を合わせ、軽くはあるも簡単に引き下がってくれた。


「まったく……」

「こらっ、真慈しんじ、いくらなんでもやりすぎだ」


 空実豪士は彼女を叱ると、こちらを向き、


「いや、申し訳ない。彼女は私の義妹なんだ。その、なんていうか、彼女には」


そういうと、彼はこほんと咳払いをして、言い直した。


「独特な、趣味があるんだ」

「もっと、ストレートに言ってもいいのに、隠してないんだからさぁ」


 真慈と呼ばれた彼女は、腕を返してそう言い、


「ねえ、あなたも、背の高い彼女も、ちょっと、男装に興味ない?」


そういって、わたしとリクの方向を見て、その両肩に手を乗せた。


序章完

おまけ

3年ほど前

ラミエリ「はいどーもー! キーリーの物語、『正ヒロイン』のラミエリーウェストウッドでーす! キャピッ☆」

ミラ「冗談はそのそばかす面だけにしときなさいよラミィ……」

マルファ「キーリーにヒロインは必要ない(意訳:キーリーは女の子だから、キーリー自身がヒロインじゃないか?)」

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