目覚めと寝落ち
「おぎゃぁぁああ、おぎゃぁぁああ」
目を覚ますと赤ん坊の声がすごくうるさかった。ってこれおれか、本当に転生したんだな、、、目を開けると金髪美人の女性がいた。どうやらこの人がお母さんのようだ。それにしても若いなぁ。そして……ツノが生えてる。うん?
「あなた!見て!産まれたわ、この子が私たちの可愛い息子よ。抱いてあげて。」
「よくがんばったぞエリス。おぉ、なんと可愛い子だろう。しかも、見ろ。ツノが二つに両目が魔眼、それに羽が4枚もあるぞ。こいつは将来が楽しみだぜ。ふははは、よしよしパパだぞー。」
そう言いながらおれを抱き抱えたのは全長2mはあると思われる大男だった。お母さんよりも大きなツノが二本、そして背中には漆黒の翼が二枚生えている。いやこわ!お母さんからうすうす気が付いてたけどこの人たち人間じゃないよ!そしてどーやらおれも人外らしい。
「おぎゃぁぁあああ、おぎゃぁぁあああ」
だめだ、泣き声しか出ないし意識しても止まらない。そりゃそうか、赤ちゃんだもんな。
「おいおい、どうした?そんなに暴れて、怖くないぞー?」
いや顔ちか!怖すぎるから、ちびっちゃうよ!
「そりゃあなたの顔をそんな間近で見たら泣いちゃうわよ。怖いもん。ほら、貸して、はいはい怖かったでちゅよね、もう大丈夫でちゅよー」
あぁ、お母さんの抱っこ超落ち着くなぁ。なんだか眠くなってきた、よしこれからのことは起きてから考えよう。二度目の人生だ、悔いのないよう全力で生きよう。そう誓って意識を手放した。
あれから1カ月が経った。まだまだ赤ん坊のおれには到底情報集めなどできないが身の回りの状況だけはなんとなく、わかった。
「シンちゃん?もうご飯は終わりでちゅか?それにしてもこの子全然泣かないのよね。大丈夫かしら?」
…ごほん、このツノが1本生えている金髪美人の女性がおれのママ上だ。名前はエリス、そしておれの名前はシンだ。前世と同じなので神様が図ってくれたのかな。名前が同じなのは助かるなぁ慣れてるしね。
「なーに、大丈夫だ。こいつは俺らの子だぞ?それにおれが子供の頃もそんなんだったさ。それじゃあ俺は魔王円卓会議に行ってくるぞ」
そして、何度見ても慣れないこの人がおれのパパ上だ。聞いての通り魔王らしい。意味がわからない。つまりおれは魔王の息子、魔王子になるわけだ。よく考えれば環境としては最高なのではないか?もう種族なんて関係ないや楽しもう。
魔王円卓会議というぐらいだからきっと他にも魔王が何人かいて政治について話し合ったりしているのだろうか…なにそれ怖い、赤ん坊の俺には想像するしかできないけど。
「わかったわあなた。気をつけていってらっしゃい。リリー、シンちゃんを見ててちょうだい。」
「かしこまりました奥様、シン様今日もとても可愛いですね。」
今僕を抱き抱えたこれまた金髪でとても可愛いお姉さんがリリーさん。おれの専属メイドを勤めてる人だ。めちゃくちゃ美人でやばい。あ、そろそろ眠気がやばい。赤ちゃんのこの体では絶対に眠気に逆らえないから今日はもうおやすみなさい。