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バージン絶対防衛 魔法少女ヒカリ  作者: 敬愛
第1章 バージンは絶対渡さない編
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第6話「さだべぇ登場!」

 ここは火星。誰もいないと思うだろう?

 だが実は知的生命体が文明を作って生き延びている。


 「全く…… 一体あの男は何者なのだろう。魔法少女に悪魔を倒させる事にこの宇宙の生贄になるしかるべき理由があると言うのに」

 さだべぇがゴチる。


 ここは魔法少女特別研究機関レーゼ。


 「どうなっているのかね?さだべぇ君。魔法少女以外に悪魔を滅させる事はこの宇宙に取って何の利益ももたらさないぞ」

 「分かっていますが、僕にも皆目見当が付かず…… 此度の件はイレギュラーで」

 「まさか地球の平和を守る英雄となる為の魔法少女ではあるまい」

 「そうですが、地球は莫大なエネルギーを持っておりますし破滅させるのは勿体無いと思われます」

 「君が地球へと向かい新たなる魔法少女へとの契約を促進させればいいのだ。君など我等からすればただの広報に過ぎん。居なくなっても何の問題も無いのだよ」


 「そう仰られますが、僕は直接的な方法で無くても魔法少女と遠隔で契約できますのでここに居たいのですが」

 「それが生温いのだ。実際会って素質を見抜いてこそ優れた魔法少女となるべき者が分かるのだ。血統書付きのエリートがね。今の様にランダムに契約しているようでは……」 

「分かりました。分かりました。優れた魔法少女でこそより強い悪魔と対峙出来る事は事実です。ただヒカリだけは特別なのです。僕は彼女と直接契約を交わした覚えが無いのですが。まぁいいです。宇宙航行ポッドを用意して頂けますか。地球へと向かい状況を調査しますので」

 「一番早いのを用意しよう」

 「ありがとうございます」 

 

 くっ!老人たちめ。耄碌しているのだろうか?僕を小間使いの様に扱うなど万死に値するな。

 

 乗り込んだポッドは狭くて暑い。地球まで一週間と言う所だろう。それまでの我慢だが、不愉快であるのは間違いない。「さらば僕の故郷よ。もう戻る事もないのかな」さだべぇは知らぬ間に眠ってしまった。


 タイキケントツニュウマデアト10プン! アラームが鳴った。

 「あれが地球か。青い星だな」と感銘を受けたさだべぇ。何か良い事があるといいのだが。

 さだべぇはヒカリに会った事は無いのでイメージばかりが膨らんで少しワクワクしていた。


登校途中。




 「よぉ、ヒカリおはよう」


 銭が声をかけて来た。私、全力で無視。




 「つれないなぁ、お仕置き」


 銭が拳に軽く魔力を込めると、変身チェルボム! ヒカリは数秒間一糸纏わぬ姿になった。


 「いやーっ!何やってんのよ、あんたー!殺す!」




 「ははは」


 銭が笑っている。その直後銭はお空の星となった。


 「ゴメンゴメン」


 パンパンに腫れ上がった顔で謝罪する銭。




 「遊びでやっているんじゃないからね、気を付けてよ。後オート変身チェルボム解いて」


 「ああ、時間が立てば治るよ。ナイトメアの口づけの副作用だから」


 「何それ?」


 「その内分かるけどまぁ臨界段階の魔法少女の暴走オーバードライブを防止するキス」




 何だと? キスだと? 私は誰かにキスされたのか? そんな隙がある筈が無いがもしや?




 「ねぇその口づけって誰が私に施したの?」


 銭はちょっと頬を赤らめながら「うんと…… 俺」


 その瞬間「死ねー」とヒカリは叫びながら銭をまた殴ってお空の星にした。




 「で、どの位まで出来たの?」




 銭が尋ねる。こいつせっかちだな。ただのアホな男だと思ってたけれど。




 私は自然と笑みがこぼれている事に気付いて頭を思いっきり振った。








 「一応私が元々使ってた雷属性に追加して氷属性・炎属性だけ。後はお爺様でも魂を込める事は出来ないって」




 銭は机に突っ伏して眠たそうに聞いて居た。退屈な放課後。教室には私と銭しかいない。








 ヤバいシチュエーションだ……。こいつは寝ている私に対して、無防備の私に対して事もあろうに口付けをする男だ。もしかしたらバージンも狙っているかも知らん……。








 「ま、長船程度ではそれが限界だろうね。政宗ならもっと込められるけれど200年前から所在不明だし」




 「そうなんだぁ」








 こいつやけに詳しいわね。変だな。魔法少年なのに変身する時以外魔力の波動を感じないし。でもただのパンチでも無い様子ではあるし、謎だな。 








「今後それだけじゃ対応できない悪魔も増えるよ。俺の足手まといにはならないでくれよ」 




 「なっ?」








 まるで自分の方が強いって言ってるみたいじゃん! ムカつくわねー。








 「ねぇあんたの契約者マスターって誰なのよ?」




 「お前の契約者は?」








 先に質問したのは私なんですけど。








 「さだべぇって奴よ。多分」




 「多分って何?」








 それが分かれば苦労はしないのだ。紋章エンブレムは私が生まれた時からこの胸に刻まれていて、さだべぇとは会った記憶も無い。








 ドカーン! 校庭に何かが落下した。プスプスと煙を上げているその物体はどうやら宇宙船みたいな、船と言うには小さいポッドだった。








 「あ、超ヤバーい!メンタルネックレスOFFにするの忘れてたー」




 「ヒカリかい?そいつが魔法少年?」




 「さだべぇ聞いてた?」




 うんとこどっこいしょ…… ポッドから何か変な形した動物みたいなのが降りてきた様子だ。








 「聞いてたよ」




 「ビクーッ」




 すぐ後ろから声が聞こえた。え、何このモフモフした人形は?








 「だからメンタルネックレスOFFにしとかないと魔法少女解任もあるかもってヒカリ言ってたのに」




 「喋った!」




 「僕さだべぇ。火星から来ました。よろしくね!魔法少女と、えーと魔法少年さん」








 こいつが私の契約者マスター…… おっとメンタルネックレスオーフ!








 「もう遅いよ。それで必ずしもそうは言えないねぇ。二重契約に君はなってる。元々は魔法が使えなかった。けど生まれ付き君は魔法少女だったんだ」








 話が長そうだ。


 ちょっと長くなるけれどとさだべぇは前置きして話し出した。




 「君のご両親は亡くなっているね」




 「う、うん私が産まれて物心つく前に」




 「理由は知ってる?」




 「道場破りに殺されたってお爺様が……」




 「それは嘘だよ」








 ヒカリは困惑した表情を見せた。




 「それと私が二重契約になっている事と関係があるの?」








 さだべぇは捨てられた子猫を見つめるような憐みの眼差しを私に向けた。




 「君には産まれ付き紋章エンブレムが付いていた、いや継承した理由はね、君のお母さんは火星人だったんだよ。そして地球に来て魔法少女として悪魔退治を請け負ってもらってたんだ。そして君のお父さんは天ヶ崎家の長男。武芸に秀でていて悪魔と生身の身体で戦っていた。2人は結ばれてヒカリ、君が産まれた。それが産まれ付き魔法が使えないのに紋章エンブレムが付いていた理由。君は火星人と地球人のハーフなんだ」








 ヒカリはかなりビックリした、と言うかこの家の宿命を知り動揺を隠せなかった。今まで何も考えず1人で悪魔と戦っていた自分の死んだ両親にそんなエピソードがあったとは……。








 さだべぇは続ける。「でもある日悪魔大戦が始まってその圧倒的な力に二人で敵う訳は無かった。だからヒカリ、君のお母さんのカナデは僕にヒカリを魔法少女にしてくれと頼んできた。だから遠隔契約をしたのさ!」








 そんな…… 私の記憶と全然違う……。








 「君は優秀な魔法少女だった。僕等がビックリするくらいのね。どうも異星人間に産まれた子供は魔力係数が異常に高くなるらしい。まぁケースとしては君のご両親の場合の1件しかないんだけどね」








 「それで悪魔大戦はどうなったの?」ヒカリは聞いた。




 「君のご両親は善戦虚しく倒れていった。凄く強かったんだよ。だけど最終的にはヒカリ、君がこの地球担当の統治悪魔を倒してこの街佐々木原市を守ったんだ。おめでとう!君は本当に優秀な魔法少女だよ!」








 ヒカリはポロポロ泣きだした。そんな残酷な運命に両親が巻き込まれて死んで、しかも自分がそんな強い魔法少女、しかも記憶は無い。デリートされたと言う線も考えられる。お父さんとお母さん悪魔に殺されたなんて、悪魔に対する憎悪が高まった。

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