第5話「VSケルベロス戦!」
そこにデルンダ―に反応があった。すぐ近くだ。「くっそこんな時に」ヒカリは畳部屋に飾ってある長船を持って外に出た。そこには獣魔がいた。「ケルベロス?ヤバいな……」エロイダーで戦闘数値を計る。950。生身の身体で戦うにはあまりにも強すぎる。
長船で斬り付ける。凄いスピードだが、手ごたえはあった。だが双頭になってダメージは殆ど回避されているようだ。ケルベロスはヒカリ目掛けて牙を剥き出しにして迫ってきた! 私もこれで終わりかな……。目を瞑って、しばらく。何も起こらない。
目を開くと少年がケルベロスとヒカリの間に立っていた。「……銭?」
「銭!何やってるの?逃げて!」
「こいつは俺が殺る」
「殺るってこいつ戦闘力950だよ。人間が敵う訳ないじゃな……」
変身アンチ……。 銭の制服が破れ、筋肉質な身体が露わになったかと思うと赤いジャケットに赤のパンツルック。血の匂いがするかのような鮮やかな赤色だ。
変身完了ブルーム……。
静かに燃えるような赤目の男がそこに居た。
「ヒカリ俺の手に触れ。お前のエンブレム返すから」
2人が手を触れるとヒカリは変身チェルボムした。
「すまん。諸事情でオート変身チェルボムモードになってる。魔力を感じると自動で変身するから」 銭は言った。
「ちょっとあんたー!私の裸見たでしょ!」ヒカリは何か困ったような顔で銭に怒る。
「仕方ないだろ!変身する時はタイムラグが有って、その、見てないよ」
気のせいか銭の顔が赤いような。
「よく事情が飲み込めないけど貴方は魔法少年になったって事?」
「まぁそうだと言えばそうだな。ちょっと違うけど。お喋りはいいだろ。まずはこいつを倒そう」
2人はケルベロスに対峙した。悪魔にはヒエラルキーがある。魔典で調べた限りでは、使い魔、低級悪魔、中級悪魔、統治悪魔、この間現れたファンガ―は恐らく統治悪魔だろう。その上は分からない。何段階かはまだ不明だがケルベロスは中級悪魔の類。だが今のヒカリだと中級悪魔とほぼ互角くらいの力だろう。
「お前長船で戦うの?」
「接近戦専用よ。まだ魔力を込めて貰ってないからお爺様に頼むわ」
「お互い大変な事情があるみたいだな」
「後で事の顛末を聞かせて頂戴」
銭はアイアンフィストに力を込める。
「行くわよ!遅れないでね」ヒカリが言った。
ケルベロスは頭がどんどん分裂して魔力係数が高まっていた。
ケルベロスは段々と巨大化して行く。
「銭、急がないと勝ち目が無くなるわよ!」
銭はアイアンフィストに力を限界まで溜め込んでいた。
「その前にっと。良心的呵責)」
銭にケルベロスの声が聞こえてくる。流れ込んでくると言った方が正解か。
「どうして僕等戦わなくちゃならないんだろう。争いなんて嫌いなのに。」
「仕方ないよ。僕等は皆創られた物。そして全ての魔法少女を消滅させるようにあの方が仰るのだから」
「そうだね仕方ないね。戦わないと消去されちゃうから」
ヒカリに銭は言った。「こいつは俺にやらせてくれ」
「え?何で?1人で勝てるの?自信家ね。レディを守ってくれるのかしら」
「ま、そんなとこ」
カッコつけちゃって。私のバージンを奪う前に私が死んじゃったら困る物ね。男って馬鹿ね。お前に私のバージンなどやるもんかっつーの
ヒカリは1人でうんうんと肯いている。
ケルベロスが咆哮する。「ワオー!」
銭は一気に間合いを詰める。頭の一つが炎を放ってきたが、アイアンフィストの前に閃光の盾を張って弾き飛ばす。
そして下から上に向かって殴り付ける。ケルベロスが浮いた所に飛び蹴りを喰らわせて地面に叩き付けて瀕死のケルベロスの心臓部目掛けて拳を捻じ込んだ。
「グオー」と断末魔の叫びをあげてケルベロスは大人しくなった。だが、まだ生きている。
銭が様子を見ていると勝ち目が無いと悟ったのか、よろよろとよろめきながら闇の門の向こうに姿を消した。
「銭!凄い、強いじゃないの」
「いや俺なんかはそんな大して強い訳じゃないんだ。お互い新米同士だし、これからも仲良くやろうぜ、学校でもな」と言って苦笑いした。だがヒカリはこいつ私のバージン校内で奪うつもりね、何たる破廉恥な! と勘違いして思った。