第3話「デルンダーとエロイダー」
さてと今日もグレートな魔法少女ヒカリちゃんが佐々木原市の平和を守るぞー!
その日は雨だったので傘を差して水溜まりの水を跳ね除けながら徒歩でゆっくり探索する。
うーん居ないわねー。今日は坊主かな。デルンダ―にも何の反応も無い。
帰ろっかなーとヒカリが思った時。
突如人の姿を察知した。
「何?デルンダーには何の反応も無かったはずよ!」
長身の水色の髪をした20歳くらいの男だ。
「これはこれは……。何と女性、しかもこんな年端のいかない者だとは」
男は驚いた様子だ。
エロイダーで戦闘数値を計る。「ボカーン!」エロイダーがぶっ壊れた。
まさか…… 計測不能?
「貴方、悪魔?」
男は「そうとも言えるし違うとも言え……」
言い終わる前に変身し先手を打ったヒカリ。
サンダーソード!ヒカリは雷系の武具を出す。
「あんたさぁ、ホントは雷苦手でしょ?構成物質は人間とほぼ同じ。つまり水属性。ならば貴方は電気に弱くてこの土砂降りの雨の中じゃ不利だって事よ」
「えい!」サンダーソードを一振りしてその男の周囲に電撃を流す。
「くっ!」男は苦悶の表情を浮かべた、かと思ったが空中に浮かび上がり逃れる。
接近戦はあまり好まないタイプと見た。
それらの推理は当たっていたのか当たっていないのか定かでは無かった。そして空を依然として飛びながらその男は魔法を詠唱した。「ファンガーの名に於いて命ずる。ブリザー!」男がそう唱えると夏なのに土砂降りの雨が雪へと変わった。「うわうわ……」全く動けなくなってしまった。それどころかヒカリの背丈を越えて降る物だから全身が雪の中に埋もれ呼吸も出来なくなってしまった。
「なるほど。こんな物か。あの方が何故こんな小娘に目をかけるのやら……」
「ふごご。ぷはー。ちょっとあんた何者よ!ちょっとカッコいいってだけで私のバージンはあげないわよ!」
「何を勘違いしているのか知らんが見苦しいぞ。今の時点では全く戦いにならんわ!私の名前を聞けただけで冥途の土産となる有り難い経験なのだが。次会う時は命の心配をしておけ」
そう言ってファンガ―と名乗った男は黒い翼を広げて暗い空の上に飛んで行ってしまった。
「ちょっとー!誰かお助けー!」叫ぶヒカリ。
さだべぇから通信が入る。「ヒカリ何やってるんだい?」怒気が込められている。
「すいません。返す言葉もありません」
「まぁ良いよ。あの男がこの時点で偵察要員として送り込まれたと言う事はヒカリの魔法少女適正が非常に高いと悪魔達に認められたと言う事だから。じゃあね。後は自分で這い出してくれ」
プツン。ツーツー。通信が切れた。「どうすればいいのよー!」
時間と共に雪は解けて動ける様になったが、もう朝だった。「今日は学校休もう……ハックション」