第14話「ところ変わって」
ところ変わって……
「くっそーいきなりラミゴラスかよ!性質が悪いな天使は。ケピュラスの月も迫って来てるって言うのにさ。ギブソン最強の武器出してよ」
「お嬢、急に言われましても」
ギブソンと呼ばれた男は困り顔でキルブックのページを早捲りする。
「あんたトロイね。それでもミーの契約者?さっさと蹴散らす!アンダスターン?」
「お嬢、今の所最強の武器はクリティカルランチャーしかないです」
「それでいいよ。出して」
いきなりですか、困ったな。そんな顔でキルブックに手をかざすギブソン。そして何か唱えた。
「我、太陽の影、闇と同期する者。天界の使徒を滅する者なり。出でよキルウェポン!」
ドドーン! 武器が現れた。滅茶苦茶な大きさだ。縦幅5メートル横幅1メートルはあろうかと言うアメリカの地兵隊でも絶対抱えられない、とにかくデカい。重さも100キロ所じゃないだろう。どうやらクリティカルランチャーと呼ばれる固定式のバズーカ―のようだが、チャーミ―と言う女の子は 「ヘイ!カモン!ぶっ殺す!変身!」と全く色気の無い青のツナギに、青色の所々泥で茶色く汚れたジャケットを羽織った軍服姿に変身してクリティカルランチャーを担ぎ1発弾丸を放った。その弾丸はラミゴラスに直撃した。所々造形が崩れた。大したダメージでは無いようだが。だがキュオーンと言う断末魔に聴こえるような声を響かせた後、転移した様だ。
「ふう、たっすかったー。ギブソンオッツーゲッツーピーナッツ!」そう言ってギブソンと言う男を褒めた? のだろうか? 変なダジャレみたいな台詞でギブソンをねぎらった。
「ナインティナイン、とりあえずケピュラスの月の動き止めといて」
「チャーミー、私がそんな事出来るとでも?」
「何言ってんのよ。お前に出来ない事なんて無いだろ。地球に来てお前が地球守れ」そう言ってチャーミ―と言う少女は腹を抱えて笑いながらナインティナインにメンタルネックレスを通して言った。
「チャーミ―冗談!水星のマナを喰っているだけでももうこの星も滅びそうなのに地球に私が行ったら世界が3日で砂漠化するよ」
「あんたホント性質悪いわね。宇宙人は何考えてるのかしら。まぁ良いよ。早くして!」
「はいよ!吸収!」
ケピュラスの月はどうやら宇宙空間まで移行し位地固定化されたようだ。ホワイトホールとブラックホールの間で震えている様子をヘキサゴン長官ゲハイルは確認してチャーミ―に言った。「3か月は大丈夫だろう。どうやら日本に向かう予定の様だったがね」
「ホントあんた怖いわ」チャーミーは大袈裟に両手を上げて降参と言う感じだ。
戦いが取りあえず終わってチャーミ―はペットボトルの紅茶を飲みながら
「ギブソン、キルブックリスト強化しといてよね」とイライラした様子で催促する。「お嬢は無茶ばかり仰られる…… 全くとんでもない人の契約者になった物です」 そう言ってギブソンは笑った。