福は内(200文字小説)
節分なので、彼氏と一緒に恵方巻きを食べる。
付き合ってまだ一か月だ。それでも私は彼が大好きだし、彼も私を好いてくれている。
ちなみに馴れ初めは正月の早朝である。
※
無言のまま、二人並んで食べきった。
彼は私を見てニコリと笑う。
「福が来るといいな」
何を言っているのだこの人は。
私は彼に抱きついてやった。
「おいおい、どうしたいきなり」
「・・・・大好き」
既にたくさんの福が、私の内にある。
もう十分すぎる程幸せだよ。
前日談があります。→「笑う門には」