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1、現状把握と初めての異世界

「うん、間違いないな」



透き通るような青い空。

その空を大きな翼を持ったトカゲが誇らしげに飛んでいる。


優雅な光景だった。


その大きな足に牛の様な動物がしっかりと握られている事を覗けば。だが。



「あの姿。うん、間違いない」



あれは竜だ。


牛のようなデカい動物を足で固定し、大きな翼を持ち、優雅に空を駆けるトカゲ。

そんな生物、少なくても地球上には存在しない。


そう。だから僕は今、この瞬間をもって確信した。



「ここは、異世界だーー!!」



これが、叫ばずにいられるか!

夢にまで見た、異世界。

剣と魔法に満ち溢れた世界!!


ゲームや本を読む度、何度こういう世界に行けたらな!って妄想したことか!

寝る前に、毎回目が覚めたらそこは異世界だ!と、念じ、朝絶望したことか!


ただ、その絶望はもう無い!

異世界に転移する奇跡が僕にも訪れたのだ!!



「やったーーー!」



拳を空に突き上げ、もう一度絶叫する。


何度も願い。ついに叶った異世界転移。

ここに来たら絶対にやらなきゃいけないことがある!

そう、それは自身のステータスを確認する事だ。



「ステータスオープン」



僕は叫ぶ。

その直後、ボトっという音と共に目の前に何かが落ちてきた。


・・・・・・鳥のフンだ。


ま、まぁちょっと声が……うん。

声がちょっと小さかっただけかもしれない。

もう、一回全力で叫んでみる。



「ステータスオープン!!」



風がサーっと通り過ぎていく。

何も変化もない。鳥のフンすら落ちてこない。



「……さて、おなか減ったし、喉もカラカラだ」



僕は冷静になる。

今の行為は無かったことにしよう。

ステータスが確認できない異世界だってあるはずだ。

それよりも、今差し迫った問題を解決する方が大事だ。



僕はお腹が減ったのだ。

それも、生きるのに差し支えるレベルで。


もう、まる2日は何も口にしていない。


今の状況を整理しよう。


僕は私立の中学に通う普通の中学生。

部活はバク転が出来ればモテる!そんな安直な理由で入った体操部。

クラスの副委員長をこなし、成績だって中。いや、上の下くらいはある……と思う。


学生生活はイジメられることもなく順風満帆に過ごしていた。

そりゃあちょっとは嫌な事があったけど毎日が楽しかった。


そんな生活を送っていた中、修学旅行で沖縄に行く事になり僕は生まれて初めて飛行機へ乗った。

ただ、結論から言えばその飛行機は墜落した。


海の上。


周りに島の一つも見えない場所で、エンジンが爆発し機体の一部が吹き飛んでいた。

その飛行機には、同級生のほかに一般のお客さんも乗っていた。

墜落する瞬間まで、諦めない人。

絶叫し、椅子や壁を叩く人。

ただただ、寡黙に祈る人。


様々な人がいた。


僕は、その姿をただ客観的に見ていた。

現実離れし過ぎて、理解出来なかったんだと思う。


機体は段々高度を落とし、突然”何か”にぶつかり大きな衝撃と光が僕を襲った。

その後の記憶は無い。

気が付いたら僕はこの場所にいた。


僕だけがここにいたのだ。

同級生も、他の一般のお客さんも誰もいない。


初めは無人島に流されたのかな?とも、思ったけど制服は濡れてないし

携帯の電波はない。


周りには草原が広がり、飛行機から見ていた海なんて何処にも無かった。

幸い誰のか知らないが水と携帯食の入った小さな手荷物が近くに転がっていたので、多少の水と食料は確保出来ていた。

ただ、その幸運もさっき使い切ってしまったけど。



「異世界への転移って、もっとこうさ……なんかあるんじゃないの?」



思わず愚痴が出る。

アニメやゲームでは、こういう特殊な場所に落とされたら、神様の加護とか特殊な能力とか……

なんかこう、絶対的な力やこの世界の説明みたいな事して貰えたはずだ。


今の所、僕には何もない。

これじゃただの遭難者だからね?



「神様にあったら、絶対文句言ってやる」



僕は、そう心に誓う。

たぶん、後で慌ててドジッ娘の神様がやってくるに決まってる!

そして、加護やら何やら付け忘れてましたって謝ってくるに違いない。



「あっ!」



僕の視線の先には太陽の光に照らされた白色の馬車の団体がいた。

その周りには、沢山の馬や初めて見る異世界人がいる。



(そうそう、こういうのだよ!)



あの人達に助けを求めれば、きっと助けてくれる。

それで身の上とか話せば僕の異世界の物語が始まる。


例え始まらなくても同情してくれるはずだ!

子供が一人でこんな何もない平原を歩いていたら、きっと驚いて保護してくれるはずだもの。

不用心だって怒られるかもしれないけど、それは仕方ない。



「おーい!!」



僕はそう確信し、大声を上げ駆けていく。

白い馬車、そして初めての異世界の人間との会話に心躍らせながら。


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