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何も考えたくない馬鹿の考えること

作者: 木場アサト

 月曜日は嫌いだ。仕事があるから。在宅の仕事ならまだしも、俺はそうではない。つまり外に出なくてはならないのだ。それがとても憂鬱だ。死にたいと思ってしまうほどに。

 早く終わればいいのに、色々と。生きている、または働いている理由が老後にニート生活を送るためという俺にとっては、今の時期は苦痛以外の何物でもない。早く一日が終わればいい、早く一週間が終わればいい、早く一年が終わればいい、早く一生が終わればいい。そんなことばかり頭に浮かぶ。


 今の生活が辛くて辛くてどうしようもないとき、できるだけ好きなものや楽しみなことを考える。

 あの漫画の続きが読みたい、あの作家の新刊を読みたい……自分で思っていた以上に好きなものが少ない。本関係以外の楽しみが思いつかない。

 昔から人と関わるのが苦手だった俺には友達も少ない。というかいないんじゃないだろうか。頻繁に連絡を取る人間は家族くらいしかいない。着信履歴とメールの履歴はほとんど「母」か「自宅」。我ながら寂しい人生だと思う。

 そんなことはどうでもいい。どうでもいいが、そんなことを考えて気をまぎらわす。すると少しだけ楽になれる。ただの現実逃避でも、これが一番手っ取り早くて効果的なのだ。


 何がこんなに辛いのかと考える。仕事? 人付き合い?

 たしかに仕事は辛いが、自分でやりたいと思って選んだ仕事だ、文句は言えない。

 人付き合いは、仕事上の関係でどうしても発生する。でも、それ含めての仕事だ。これにも文句など言えるはずもない。

 なら、何が辛いのか。……特に無いのかもしれない。強いて言えば、この面倒くさがりな性格が原因なのだろう。今の生活を送るのが面倒くさい、というか生きるのが面倒くさい。

 俺は今すぐ死んでしまっても後悔はない。その理由は常に悔いのない人生を送っているからではなくて、悔いの残るほどの思い入れを人生に対して持っていないからだ。

 例えば通り魔に襲われて死んでしまったとしても、むしろ感謝をしたい。自分から死ぬ勇気も気力もないから惰性で生きている俺を殺してくれるのだ、感謝しかない。


 昔、一度だけ自殺未遂をしたことがある。思春期真っ盛りの中学生の頃。あの時はクラスが学級崩壊を起こしていたように記憶している。それに耐えきれなくてそんな馬鹿なことをした、わけではない。

 中一が終わり、中二になる直前。春休みに突然「そうだ、生きるの止めよう」と思い立ったのだ。

 学級崩壊? クラス替えをするのだからそんなものは関係ない。理由は、長期休暇後の無気力だ。学校に行くのがあまりにも面倒くさすぎて、ついついやってしまったのだ。

 反省はしている、後悔もしている。家族に心配させるのは失敗だった。おかげでその後数日間、家族との距離感が分からなくなってしまった。

 それ以来、自殺はしないと決めた。家族に心配かけたくないし、なによりも痛かったから。自分からは死なないから、誰かに殺して欲しい。なんて自分勝手なのだろうか。クズだと自分でも思う。


 そのうち、こんなことを考えるのも面倒くさくなってくる。何もしないでボーッとする時間が増えた。睡眠時間も増えた。寝ているときが一番幸せかもしれない。何もしなくて済む。そのまま眠るように死んでしまいたい。

 生きるために生きているのではなく、死ぬために生きているのかもしれない、などと意味の分からないことを思う。

 というか何でこんなことを考えているのだろうか。とりとめが無くて、くだらない、毒にも薬にもならないこと。こんなことで脳を圧迫したくない。俺は必要ないデータはすぐに消去する人間だろうが。なら、こんなことは考えるな。これ以上何も考えたくない。


 俺は考えることを放棄した。


フィンション:ノンフィクション=6:4

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― 新着の感想 ―
 なんでこんなの書いたのよ?  通報されても知らないよ? 『いじめ、自傷行為、殺傷行為の描写』という禁止項目が『小説家になろう』にはあるんだから。……って描写はされてないんだっけ。  取り敢えず毎日に…
[良い点] 共感できた。 [気になる点] 展開がない。 [一言] 何か新しいことをはじめてみたら、案外悪くないかもしれない。
[良い点] 人生に対する絶望的な気分がひしひしとつたわってきました
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