9狩り目
短いです。
決めたら即実行という訳で、
「唯夏!お願いがあるのよ!」
「……ん?」
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はい、こちらは西園寺美優です!私は今ある教室の前に唯夏と来ています。
「ねぇ、本当にするの?」
唯夏は何か心配してるようだが私は本気だ。
さっき唯夏に話した事を実行する!
私が話した事、それは……彼、東山真司君に直接会いに行く事!会うきっかけがないならばこっちがつくるまでの事よ!!
「さぁ、行くわよ~!」
「ちょっ!待ってよ!」
きっかけはつくりたいけどやっぱ一人はねぇ。という訳で唯夏は道連れ、だって唯夏と一緒だと勇気が出るし。
私達が教室に入って行くと周りの生徒がザワザワとこちらを見ながら囁きあった。
私達はこのお金持ちばかりの学園でトップの部類に入る金持ち具合で、さらに一応容姿も整っている、らしい。まぁ、両親が整っているからね。とにかく、私達は目立つのだ。
一人の時にも目立つが二人だともっと目立つ。そんな私達がまたこの学園のトップの部類の東山君に近付く。大目立ちの大注目なのは当たり前とも言える事だった。
あぁ、しかし……こんなに近くで東山君を見たのはゲーム以来久しぶりだ。彼は無表情で私達を、私を、見上げてくる。
ヤバイ、ドキドキする。いろんな意味で。
そんな緊張度マックスな私が唯夏の制服の裾をギュっと握りながら初めて彼に掛けた言葉は、
「と、ととと友達になってくだしゃい!!」
かみかみの友達から宣言だった……。
……うん、失敗でしたね。こんな事じゃあ東山君も、そう思っていたのに私の耳に聞こえてきたのは東山君の
「あぁ、良い」
と言う、簡潔な内容の低い良い声でして。
………………えっと、ウソ?本当に?えっ、マジであれ?んん?
「ええと、良い……の、ですか?」
私が確認を取ると彼は無表情を崩さずに、でも確かに、コクリと頷いた。