5狩り目
それから外に出た私はビックリした。そこにいたのは北原野家の唯夏お嬢様だったからだ。彼女とは今のところ話した事はない。
私が唖然としていると彼女は叫んだ。
「貴女、もしかして西園寺家の桜の妖精姫!?」
はぁ!?そんなあだ名があるの!何処まで広まっているのかな?ヤバイ、恥ずかし!
……てか、何笑ってんですか?この野郎。
貴女のあだ名も結構なものだよね。
「そういう貴女は、北原乃家の美声の人魚姫じゃないですか」
それを言った瞬間に彼女は動揺したらしい。目を白黒させている。さっきの私の気分がわかっただろう。
って、そんな事言いたいんじゃなくて。
「あの、私のあだ名って何か由来みたいなものがあるんですか?」
ハッ!!つい聞いてしまった。そういう事が言いたかったんでもなかったんだがね。
……いや、でもだって気になるじゃん!
「……すいません。忘れてくだ「えっと、貴女の見た目と言動からだったと思う」
最後まで言わせろよ!
「ちなみに私のあだ名の由来は?」
「ええっと、貴女のその声と水泳の実力だったかな?」
いきなりでつい答えちゃった。なんていうか、
「よく人からマイペースって言われてない?」
多分、言われてるんだろうな。その真ん丸にした目を見れば分かる。
「よく分かったねぇ」
そう言って、心底驚いたみたいな彼女の顔に、何故だろうか。前世の友達が重なった。
「……由紀」
つい、ポロッと出たよく呼んだ名前。
それに彼女が反応をするなんて思わなかった。
ハッとしたようにこちらを見て、そして
「……み、美紀?」
私の、前世の名前を呼んだ。
【あだ名の由来】
・桜の妖精姫⇒桜色の小物をよく好んでいるら。誕生日に両親が送った桜の木の下によくいるところを使用人が目撃しているらしい(ちなみに毛虫対策もバッチリである)。そんな桜好きと見た目の儚げな笑みで女王やプリンセス等ではなく、桜の妖精姫になった。