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天国と地上と地獄と  作者: 矢野紫苑
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はじめまして。

「あっ、沙鵺さんじゃないですか!…その人は?」


初めに話し出したのは俺と同じくらいの身長の、女の子だった。


「今日からあなたたちの仲間になる人よ。」


「あっ、神崎、大夢といいます。よろしくお願いします。」


「え、また増えるの…」


自信ないような声でこちらを見つめるそいつに、後ろからバンバンと、背中を叩きながら前に出てきた。


「そんなこと言うなって!大夢くん、だっけ?オレ、神谷(かみや) 雫月(しづき)!で、このひ弱そうな奴が…」


「ひ、ひ弱じゃ…ないよ……あ、僕…えと、神田(かんだ) 淩央(りょう)、です。……その…よろしく…」


ふふっ、

笑い声が漏れた。


さっき話してた女の子だ。


「あ、初めまして。わたしは、神山(かみやま) 光希(みつき)。よろしくね?あっ、そういえば、さっき自分のこと『オレ』って言ってた子は、女の子だけど雫月ちゃんって呼ぶと怒るから、気をつけてね?」


「あ、うん。…その子、めっちゃこっち睨んでるけどね……」


それ言う必要ねーだろっ!という声が聞こえてきたが、スルーしてあげた。





「大夢くん。まずはこの世界の説明をするから、よく聞いてね。」


沙鵺さんは少し微笑んで、それから、

ふっ、と真面目な表情に変わった。口に引かれた紅い線が、真っ直ぐ伸びる。


「ここは、人間にとっては欠かせない場所。なくてはならない場所なの。ここがないと、皆、絶望し、愛を失い、秩序を乱し、そして…」


「そして…?」


「戦争が、始まる。それも、天国と地上だけでなく、私たち地獄とも。」


「戦争って……じゃあ、みんなはその時、戦うんですか?武器を持って。」


「敵も味方も関係なしに、ね。」


………………!!


「この世界の役目は、人間を守ること。でもそれさえも無くなれば…皆、仲間としての意識が途切れて、皆を消そうとしてしまう。…何年か前に、それが起こってしまった。」


「…えっ」


「ある1人の神が、人間を何人も殺したのよ。それに怒った神の仲間が、この世界で内乱を起こしたの。すると、この世界は機能しなくなってしまった。それが…戦争の始まりよ…。」



戦争は、まだこの世にあったのか…?

人々が、絶望する時代はすぐそばにあるなんて……


俺は、その場にずっと立ちすくむことしかできなかった…。

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