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冬が寒いわけ

作者: 金子 由依


この作品は野いちごと言うサイトでも書いています。


友達にも大好評でとてもいいと言ってもらえました。



読んでいただけたら幸いです。


Tell me mom.


It is one in which it is why cold in winter?




Because, it is since it is a season which feels people's warmth in winter.





ねぇ、まま。


何で冬は寒いの?



それはね、冬は人の暖かさを


感じる季節だからよ。



私は水木そら。


見た目は普通の女子高生。



けれど、私には愛する


旦那と子どもがいる。



確かに、世間から見れば


私たちは子どもができたから結婚をした



けれど、私たちは本当に


愛し合っていたから結婚をしたの。






今日はひなたとゆうひの好きな


ハンバーグにしようかなー。



ひき肉と玉ねぎと、、、



「ままぁー、お菓子買ってー」



「ダメよー。ゆうひ、

この間も買ってあげたでしょ?」



「やだやだぁー、買うのー!

おーかーしー!!!!!!!!!!」



また始まった、、、



ゆうひのだだっ子。



恥ずかしいからやめて欲しい、、、



「ゆうひ、ほら。行くよ。」



私は強めにゆうひの手をつかんで


だだをこねるゆうひを


カートについているシートに座らせた。



「おかしー」



いつもならシートに座らせれば

けろっと変わってしまうゆうひだけど、

今日はなぜか泣き止まなかった。






家に帰っても泣き止まないゆうひ。



ゆうひの好きなアニメを見せたけど、


ゆうひはまだ泣き止まない。




勝手にしてろと言わんばかりに


私は家事を始めた。




お米をといで炊いている間に


洗濯物を洗って干す。



その後、掃除機をかけて雑巾がけ、


トイレや洗面台など水回りの掃除。


そして、お夕飯作り。



やることがいっぱいありすぎて


頭が爆発してしまいそうだった。



全ての家事を終えて、


疲れ切った私はゆうひのいる


リビングに向かった。



きっとゆうひは疲れて寝ているだろう。


そう思い、私がリビングに入ると


ゆうひはまだ泣いていた。



部屋にはテレビの音と


その音をかき消すような


甲高いゆうひの鳴き声が


響き続けていた。




私は何が何だかわからなくなって



「ゆうひっ!

ちゃんと言葉にして言わなきゃ

わからないでしょっ‼」



そう言いながら私は


ゆうひの頭を叩いた。




気づくとゆうひも泣き止んで

ベランダから見える空は

美しい茜色になっていた。



私はゆうひの頭に

あざができているのに気づいた。





ガチャンッ………


「ただいまー」



ひなたが帰ってきた。



ひなたは私の旦那だ。





「お帰りなさい。」


いつものように

私はたいようを出迎えた。



「ゆうひー?ゆうひはどこだ?」



「ゆうひは今疲れて寝てるよ。」



「今日、疲れるようなことしたのか?」



「転んで泣いたんですよ。」



こんな嘘しか返せなかった。




夕飯を食べ終え、

ひなたがお風呂に入っていると

ゆうひが目を覚ました。



ふあーーー


大きくあくびをするゆうひ。



するとひなたがお風呂から出てきた。




「ゆうひー、起きたかー?」


「ぱぱー」


そう言いながらたいようは

ゆうひを抱き上げて頭をそっとなでた。


「……ん?…」



ゆうひの頭に違和感を感じた

ひなたはゆうひの頭を触った。





「そら…」


「ん?なにー?」


ドキッとした。

だけど私は平然とした顔で受け答えた。


「ゆうひの頭に……

こぶみたいなのがあるんだけど…

あざもできてるし。」



なんて答えればいいのか

わからなかった。





「あぁ、そのあざ?

そ、そのあざはね。

今日、転んだときにできたのっ

だから、大丈夫だよ。」



「ふぅーん、そっかぁ…」


「うん……」


そう言うとひなたはゆうひと遊んだ。




ゆうひが疲れ切って寝た後、


ひなたは私が寝ている布団の中に入ってきた。



「なぁ、そら…」


「……ん?」


「あのさ、ゆうひの頭にあった

たんこぶのことなんだけど…」


「…う、ぅん……」


「あれってさ、何があったんだ?

本当のこと、行ってくれないかな?」


「だから、あれは転んで

ぶつけたんだって。」


「それは、本当か?」


「……うん、本当だよ?」


「そっか、じゃあゆうひの腕にあった

握ったような跡はなんだ?」


「………」


「おれはそらが事実を打ち明けるまで

そらを信じるよ」


「……うん…」


「おやすみ」


「おや…っ」


「「ちゅっ…」」


私がおやすみを言う前に

ひなたはキスを落とした。




翌朝、私は事実を言おうか、

言うまいか迷っていた。



ふとテレビを見ると

ニュースで虐待についてやっていた。


画面には大きく

「幼児虐待死。母親失格」

と書かれていた。


その瞬間、

私の頭の中は真っ白になった。



虐待死、、、


母親失格、、、



そうだ。私は母親失格だ。



ますます私は悩んだ。





本当のことを言ったら

ひなたはどんな顔をするだろうか、、、



怒る、、、よね?



当たり前か。



離婚とか絶対にしたくない。



ひたなとも、ゆうひとも

ずっと一緒にいたい。





だからこそ、

私を信じてくれているひなたを

裏切りたくない。



私はひなたに

事実を打ち明けることを決心した。





お夕飯を買った帰り。



深いあい色に染まった夜空。



重たい荷物を片手に

左手は冷たいゆうひの手を握って

私は歩いていた。



ぼーっと歩いていると

急に右手が軽くなった。


「重かったろ。」


そう言って重い袋を

私から取り上げたひなたは

にっこり笑った。




本当のことを言うのは今しかない。



「ねぇ、ひなた。」


「ん?」


「ゆうひのあざのことなんだけどね…」


「うん。」


「ごめんなさい。

私、嘘ついてた。

私、ゆうひを叩いたの。

ごめんなさい。」


「…そっか……」


「ごめんなさい。ごめんなさい…ごめんなさ…」


「でも、それわ俺に謝ることじゃないだろ。謝るのはゆうひにだろ?」


そう言いながらひなたは

私の冷えた頬につたる大粒の涙を

ぬぐいながらくしゃっと頭を撫でた。





私はしゃがんで

ゆうひの目線にあわせる。


「ゆうひ。」


「なぁに?」


大きな瞳をキラキラと輝かせて

可愛らしい声と顔で私に言う。


「この間、ゆうひのこと

叩いてごめんね?

でもね。ママ、

ゆうひのこと大好きだよ。」


私はただ、ゆうひの目を見続ける。


「ゆうひもね。ママ大好き。」


「…ゆうひ…ゆうひ……」


堪えていた涙がこぼれ始めた。


ゆうひに少しでも多く

私の愛が伝わって欲しい。


「ずっとずっと、大好きだよ…」




すると、ひなたは

後ろから私たちを抱きしめて

「俺は?」

と言った。



「言うまでもないよ。」


そう言うとひなたは

私に優しくキスをした。



今までで一番甘いキス。


深い、深い黒に染まった冬の夜空と

冷たい空気の中、

私は小さいようで

とてつもなく大きな幸せと愛と

暖かさを感じた。




真冬の真っ赤な夕日に照らされる中、

私とゆうひとひなた。


3人手をつないで一緒に歩く。



ふと、ゆうひの顔を見ると

ゆうひは不思議そうな顔で

こっちを見ている。





「どうしたの?ゆうひ。」




「ねぇ、ママ。冬はどうして寒いの?」


私は迷わず答えた。


「それはね、

人の暖かさを感じる季節だからよ。」


「そっかぁ………」


ゆうひは難しそうな顔を

しながら考えていた。




あと何回、私とゆうひとひなたと。

3人で手をつないで

この道を歩くことが

できるのだろうか、、、



小さな、小さな何気ないこと。


でもこれは私にとって

とても大きな幸せ。



この幸せがどうか、どうかずっと、

ずっと、ずーっと続きますように。




書いているうちに、

自分も人って温かいんだな。

そのために冬が寒いんだな。

とついつい思ってしまいました。



少しでもいいな。と

思っていただけたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 短編でありながらじーんとくるものがありました。 私は今1才の男の子を育てています。 思い通りにいかないことが多く、当たってしまうこともあります。 この話のように人の温かさを忘れないようにし…
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