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第28話 唸れ!全力ストレート!!

迎えた最後の甲子園。


はじめは背番号1を、慎太郎は2を背負い、甲子園に戻ってきた。


この怪物バッテリーは既に各プロ球団のドラフト1位候補として、田中と共に注目を集める。


変幻自在の怪物魔術師の沖田一。


冷静沈着の豪打捕手の武市慎太郎。


俊足豪打の爆肩外野手の田中重久。


そして、沖田から一時的に背番号1を奪い取った2年生保村。


この4人は難舞高校の中心選手として各チームから警戒される。


そして初戦、はじめは春同様に打たせて取るピッチングと右打席での巧みなバットコントロールを披露。


慎太郎ははじめを中心とした守備を完全に指揮。


バットでは豪快な打球を連発する。


田中は先頭打者ホームランを甲子園のレフトスタンド上段に叩き込む等、その打棒でチームを勢いづかせた。


保村のシュアなバッティングが光り、終わってみれば7対0で完全勝利。


このような試合展開で決勝まで駒を進める。


そして決勝戦の試合前、ブルペンでは何やら一と慎太郎が話をしていた。


慎太郎「いよいよだな、はじめ」


はじめ「あぁ」


慎太郎「知ってるか?相手の高校のこと。ダークホースって呼ばれてるらしい」


はじめ「関係ねぇよ」


慎太郎「だよな」


はじめ「さぁ、行こうぜ慎太郎」


慎太郎「おぅ!」



いよいよ迎えた決勝戦。


はじめはいつものように投球練習をする。


相手チームの笹山南工業の監督は選手たちに檄を飛ばす。


笹山南工監督「いいか?今大会でもヤツは打たせて取るピッチングをしている。逆に言えば、バットに当てることができるってことだ。バットに当てることができれば、必ず何かが起きる!泣いても笑っても最後だ!気合入れていけ!」



慎太郎ははじめの投球練習を受けながら、少しはじめの投球に不満を感じていた。


はじめは目を閉じて何やら考え事をしている様子だった。


慎太郎“いいのか?はじめ……これで優勝して、お前は本当に満足できるのか……”


するとはじめは深く深呼吸をした。


そして、いきなり空を見上げた。


はじめ「うぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!!!」


笹山南工業ベンチ“!!!?”


赤木監督「!!!」


田中「ななな…な、なんなんや!!!」


保村「お、沖田さん!!」


慎太郎「な!は、はじめ!?」


はじめの突然の叫び声にその場にいた、いや、テレビで観戦していた人も全員が驚き、甲子園のスタンドの歓声は静まり返った。


そしてはじめの目は、今まで見たことがないような眼光で、キャッチャーの慎太郎すらが思わず息を呑んだ。


そしてプレイボール。


はじめの投じたボールに、球場全体がどよめく。


はじめ「うぉるぁーー!!!」



“ビュルルルルルルルルルルッ!!!!”


“スパァーーーンッ!!!!”


慎太郎「こ、この真っすぐは!!!」


球種はストレート。


球速はなんと、164キロ。


ど真ん中のボールだ。


慎太郎“はじめ……よし!わかった!!心置きなく、お前の自慢の球、投げてこい!!!”


続くボールも164キロのストレート。


今度は内角高め。


そして3球目。


またも164キロのストレートを内角低めに投じ、1回もバットを振らせずに三振を奪う。


これには相手ベンチどころか、球場全体、いや、テレビで見ている人たちも含め全員が驚かされた。


これまで打たせて取るピッチングに徹していたはじめが、ストレート1本で勝負したのだ。


それは前年の甲子園、そしてこの春からここまで見せてきたストレートとは段違いの球威とキレと伸びを備えた、まさに最強のストレートだった。


体感スピードはスピードガン以上のそれとは桁が違う。


続く打者にも、また次の打者にもストレートのみで勝負し、相手チームの打者はバットに当てるどころか、振ることすらできなかった。



その裏の攻撃では1番の田中、3番のはじめ、4番の慎太郎、5番の保村が連続で本塁打を放つなど、一挙10得点を奪う。


その後もコンスタントに点を奪い、迎えた最終回2アウト。


ここまではじめが投じたのは全球ストレートのみで26連続三振。


雄たけびを上げながら、72球全球ストライクゾーンへ投じ、全員バットに当てることすらできなかった。


最後の打者に対しても、簡単に2つの空振りを取り、3球目。


田中「……アイツには鳥肌立てられてばっかりや………ホンマとことん見せつけてきよる。俺が女やったら、確実に惚れとるやろうな……ホンマにゴツいで!お前は!!!」



はじめ「“祐衣。見てるか?お前の彼氏、本当にすげーだろ。帰ったらいっぱい、頭撫でてくれよな”」


慎太郎「よし、はじめ!!最後だ!全力で来い!!」


はじめの唸りを上げるこの試合81球目のストレートが慎太郎のミットに収まる。


“ビュルルルルルルルルルルッ!!!!!!!”


“スパァーーーンッ!!!!!!”


主審「ストライーク!ゲームセット!」球速は168キロ。


はじめと慎太郎はマウンド上で抱き合い、喜びを爆発させた。


はじめ「うぉっしゃぁぁぁぁぁ!!!!!」


慎太郎「よっしゃぁ!やったぞ!!!!はじめ!!!!」


田中「沖田ぁぁぁぁ!!!!」


この瞬間、はじめは夏の甲子園2年連続決勝完全試合を達成したのだった。


そして彼らの甲子園は幕を閉じ、それぞれの新たな道へ進もうとしていた。

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