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第16話 大ピンチ!!田中、レギュラー剥奪の危機!!

その夜、はじめは練習試合後の自主練習を終えて帰宅すると、リビングに見慣れない花束が飾ってあった。



はじめ「なにこれ?」



いおこ「祐衣ちゃんからよ」



はじめ「祐衣から?」



宗一郎「なんだお前。祐衣ちゃんとは会わなかったのか?」



はじめ「会うも何も、今日は練習試合だったし、その後も自主練してたから……あ!アイシングサポーター忘れた……ごめん母さんアイシングサポーター明日2日分出しても良い?」



いおこ「えぇ。それよりも祐衣ちゃんには会ってないのね。はじめを見に行ってきたって言ってたわよ」



はじめ「えぇ~。声掛けてくれればよかったのに」



宗一郎「お前のファンたちに気付かれるのが怖かったんだよ。で、お前今日ホームラン打ったそうじゃないか、3本も!しかもピッチャーでも活躍したらしいな?」



はじめ「大したことないよ。練習試合だし」



いおこ「あんたからしてみたら大したことなくても、祐衣ちゃんには最高にかっこよく見えたみたいよ。だから初ホームランとピッチャーとしての初登板を祝って、それ持って来てくれたの」



はじめ「それは嬉しいけど、祝いならチューとかして欲しかったなぁ……」



宗一郎「ハッハッハ!お前ってやつは、本当に祐衣ちゃんが好きなんだな!」



はじめは夕食を終えると、自室ですぐに勉強の予習を始めた。



はじめ「sin²θ+cos²θ=1…なるほど、この公式を当てはめれば……」



リビングでは晩酌をしながら、宗一郎といおこが会話していた。



宗一郎「しかし、あれだけ野球に夢中なのに勉強もしっかりする姿勢は親としては嬉しい反面、無理しすぎてないか心配になるな」



いおこ「そうね。勉強してる時間は体が休めるのに丁度いいって言ってたわ。それに最近は食事も拘りが凄くてね。サプリメントは高いし信用できないとか言って、栄養素の高い物ばっかり作らされるのよ。親として頼ってくれるのは嬉しいんだけどね。結婚する前に栄養士してて本当に良かったわ」



宗一郎「そういうことか。はじめは本気で世界を見据えてるってわけだな」



学校生活でもはじめはスポーツ科でありながら、授業中も居眠りする事なく毎回興味津々になりながら取り組んでいた。



“キーン、コーン、カーン、コーン”



はじめ「あぁ~楽しかった!」



慎太郎「お前よく授業中も楽しんでられるな。俺なんて眠気と戦うのがやっとだよ」



はじめ「俺は覚えるのが楽しいから勉強してるだけだよ。勉強が嫌いなら留年しない程度にやってりゃ文句言われねぇよ」



田中「………zzz」



はじめ「あーあ、アイツ野球じゃ1番伸びてるのに、授業中完全に寝てやがったな……仕方ねぇな」



はじめは田中のノートに授業中に学んだ事をまとめて記した。



はじめ「ふぅ…これで最低限提出物は何とかごまかせる……おい!いつまで寝てんだよ!練習行くぞ」



田中「……!!練習!!早よ行こう!!」



はじめ「嘘だよバーカ!お前授業中寝すぎだっつーの。先生お前の事ちらちら見てたぞ。気をつけろ。そーゆーことでもレギュラー剥奪される高校だってあるんだからさ」



田中「あぁ、そうか。だからグラビアアイドルは可愛い子がいっぱいおるんか……zzz」



慎太郎「どんな夢見てんだよ…」



呆れた慎太郎がイタズラを仕掛ける。



慎太郎「あ!監督!おはようございますっ!!」



すると田中も飛び起きて挨拶する。



田中「…!!おはようございますっ!!………あれ?」



慎太郎「どこまで寝ぼけてんだよ!まったく!笑」




すると館内放送が流れる。



“野球部1年の沖田、武市、田中。野球部1年の沖田、武市、田中。今すぐ生徒指導室まで来るように”



はじめ「生徒指導室だと?」



慎太郎「心当たりなんてねぇぞ」



田中「心当たりしかないわ……」



3人は生徒指導室に行くと、そこには赤木監督がいた。



赤木監督「おう。お前らを呼び出したのはスポーツ科1年で、ずぅーっと眠っていたヤツがいるって聞いてな。心当たりないかと思って呼び出したんだが…」



赤木監督の顔は怒りに満ちているように見えた。



田中「”ビクっ!!”」



はじめ「ははっ!監督!俺毎日授業が楽しくて仕方ないんですよ!俺が知らなかった事とか、予習で分からなかった事とかを教えてもらえるので!!あんな素晴らしい先生方に出会わせてくれて本当に感謝してます!!」



はじめの目は本当に楽しんでいるような目をしていた。



これには赤木監督も拍子抜けだった。




赤木監督「そ、そうか、ならいいんだ。呼び出してすまなかったな。戻っていいぞ、田中以外は!」



田中「ひぃ!(完全にバレとる…やばい…レギュラー剥奪や………)」



はじめ「じゃあ、俺たちは行きますね。行こうぜ慎太郎!」



慎太郎「あぁ」



すると赤木監督は田中を睨みつける。



赤木監督「…さっきの授業で使ったノート持ってこい」



田中「は、はい!」



田中は凄まじいスピードで、完全に居眠りしていた授業で使うはずだったノートを赤木監督の元へ持っていった。



赤木監督がノートを開く。



田中「(終わった…さいなら、俺の高校野球)」



赤木監督「ん?…お前なかなかすごいじゃないか。よく授業を聞いて内容をまとめてる。線引きや色分けも丁寧だ」



田中「……え?」



赤木監督「いや、悪かった。どうやら人違いだったみたいだ」



田中「あ、あはは…(どういうことや?何も書いてへんのに)」



田中は教室に戻り、赤木監督から返ってきたノートを確認すると、そこには授業の内容が丁寧に書き記されていた。



田中「うそ…やろ?」



はじめ「馬鹿!だから言ったろ!これに懲りたら、二度と居眠りなんてするんじゃねぇぞ!こっちまでヒヤヒヤするんだからな!」



田中「もしかして、これ、お前が?」



慎太郎「まぁ、コイツは勉強も好きだからな。でも感謝しろよ」



田中「沖田……おおきに!!ありがとう!!」




はじめや慎太郎が学校生活をしている頃、祐衣はアルバイトしていた。



祐衣「ありがとうございました!また来て下さい!」



太田店長「祐衣さん!もう17時よ!上がってねー」



祐衣「はい!今日も1日ありがとうございました!」



太田店長「お疲れ様。気を付けて帰るのよ」



祐衣「はい!お疲れ様でした!」



祐衣はフラワーショップでアルバイトしていた。



母、留美子が鈴木に財産を奪われた為、祐衣は必死に働きながら1人で勉強もしていた。



留美子は元々保育士として働いていたが、鈴木と出会ったのが通っていた保育園の近所だった為、心機一転、今はウェディングプランナーとして働いていた。



祐衣は帰宅すると早速やる事がある。



祐衣「よし!出来た!」



程なくして留美子が帰宅した。



留美子「ただいま」



祐衣「おかえりなさい!」



祐衣は帰宅した留美子に優しく抱きついた。



留美子「……いい匂い!今日はカレーね!」



祐衣「ちょっと違うんだなー。今日はスープカレーだよ(笑)」



留美子「スープカレー!……お腹すいちゃったから、手洗ってくるわね!」



祐衣と留美子は食卓へ行き、祐衣の作ったスープカレーを食べていた。



留美子「美味しい!祐衣、毎日ありがとう」



祐衣「ふふ!これも花嫁修業だからね!お母さんには毎日付き合ってもらうよ」



留美子「花嫁修業ね。そう言えばこないだはじめ君と慎太郎君の試合見に行ってきたんでしょ?どうだったの?」



祐衣「2人共活躍してたよ!なんかね、はじめはホームラン打ってたし、慎ちゃんもヒット打ってたし、元気そうだった!」



留美子「え!?もう試合に出てたの!?あの甲子園の常連校で?……で、何か話したの?」



祐衣「いや、それがさ、はじめのファンの子達もいて近付けなかったの。それに、2人の邪魔、したくなかったし」



留美子「そう。はじめ君も慎太郎君も今は甲子園目指して頑張ってるんだね」



祐衣「違うよ。2人は絶対負けない為に全力でやってるんだよ。どんな相手にもね。あんな凄い彼氏と友達がいるなんて、私幸せ……うふふっ」



留美子「まぁ(笑)!この子ったら…」



祐衣と留美子は食事をしながら、怪物2人の話に花を咲かせていた。



翌朝、祐衣はいつものように早起きして朝食を作り、朝食を済ませると難舞高校の野球場の近くを通り通勤していた。



祐衣の働くフラワーショップ、実は難舞高校の野球場の近くにある為、毎日通勤でこの場所を通っていたのだ。



祐衣が入店して以来、祐衣の”噂”は広がりまくった。



”フラワーショップGirlsに明るくて元気な超絶美人の店員が入ってきた!”“ダイヤモンドの輝きが霞む程の美しい店員がいるフラワーショップ!”



この噂のおかげでフラワーショップGirlsは大盛況。



前年の総売上を1ヶ月で更新する程の賑わいっぷりだった。



しかし太田店長には嬉しい嘆きがあった。



太田店長「発注が間に合わない……どうしよう……」



祐衣「おはようございます!」



太田店長「…あぁ、祐衣さん!おはよう!大変よ…店開けられない……」



祐衣「え?!なんでですか?」



太田店長「ごめんね、こんなに忙しくなるなんて思ってなかったから納品が間に合わなくって……」



祐衣「えぇー!!」



祐衣は前年までの売上を知らない為、忙しいのが当たり前だと思っており、自分が客を呼んでいた事も気が付かなかったのだった。



祐衣は今出勤を減らされるのはまずいと思って、対策を考えた。



祐衣「それなら、予約制とかどうですか?」



太田店長「予約?」



祐衣「はい。例えば、誕生日やクリスマスみたいな特別な贈り物の予約を今から受け付けて、デザインを考えて売るとか……」



太田店長「それいいわね!祐衣さん!ありがとう!!あなたって人は本当すごいわね!!」



太田店長は祐衣の提案を練り込み、さらに祐衣にデザインさせたアレンジ花束の予約受け付けを開始した。



これが飛ぶように売れた。



今までフラワーショップとは無縁そうな男性客が急増したのだった。



はじめと慎太郎と田中はテスト期間中だった為、練習が早く終わり帰宅しようとすると、一軒だけ行列が出来ている店に気が付く。



はじめ「なんだ!?あれ!?」



慎太郎「ん?…うわ!すげぇ…なんか新しい飲食店でも出来たのか!?」



田中「どれどれ……フラワーショップGirls!?おい!あれ花屋やぞ!」



はじめ「花屋!?花屋に行列ができるなんて聞いたことねぇよ!!」



慎太郎「信じられねぇ…俺らには関係ないけど」



田中「ホンマにすごいわ…あ!今日は俺ちょっと用事あるんやった…」



はじめ「田中!!テメェ逃さねぇぞ!!明日は英語と数学と日本史の試験があるんだ!今日は、俺ん家に泊まり込みだ!!」



田中「えぇー……そんなぁ…」



はじめ「赤点なんて先生や監督や飯島さんが許しても俺が絶対許さねぇ!テメェは人一倍勉強が遅れてるんだ!覚悟しろ!!」



慎太郎「あーぁ、可哀想に。しかし今田中に抜けられると正直ヤバいからな…今後の野球人生の為に今は耐えろよ、田中…」



慎太郎は心の中で田中にエールを送った。



田中ははじめに首根っこ掴まれて無理やりはじめの家へ連行された。



はじめ「で、signと……」



田中「あ!そっか!これが俗に言う因数分解言うやっちゃな!!」



はじめ「ちがぁーーーう!どこまでバカなんだお前は!!真面目にやれ!」



田中「難しいねん!もっと優しく教えてぇな…」



はじめ「チッ!…公式覚えられないんなら、先に答え見ながら覚えるまでノートに書くんだ。数学は公式さえ覚えれば後は数字を入れていけば、答えは出る」



田中「公式覚えるまでノートに答え書けばえぇんやな?よっしゃ!やるでぇ!!……zzz」



はじめ「……こいつ!……お!き!ろぉぉ!!」

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