第9話
ここで終わり…??
最後の謎
仮面の人物の手が、カードの山へ伸びた瞬間――。
「待って!」
さくらが叫んだ。全員の視線が彼女に集まる。
「8は……“絆”を意味するの!」
彼女は震える声を必死に抑えた。
「横にすれば∞。それは永遠。つまり、私たち五人の友情が続く限り、この物語は終わらない……。だけど、“第9話”に進むには、その絆を証明しなくちゃいけない。そうでしょ?」
仮面の人物は動きを止めた。無表情の仮面が、わずかにこちらを見据えたように見える。
「証明って……どうやって?」翔太が息を呑む。
さくらは赤い紐を握りしめ、仲間たちを見渡した。
「怖くても、不安でも……私たちは一緒に進んできた。だから、次も“みんなで”選ぶ。これが答え!」
恵が笑って紐を握り返し、タケルが力強くうなずいた。花音羽も涙ぐみながら手を重ね、翔太も短く「よし」とつぶやく。
五人の意志が一つに重なった瞬間、赤い紐はふっと光り、霧のように消えた。
仮面の人物はしばし沈黙し――やがてゆっくりと立ち上がった。
「……なるほど。お前たちの“答え”は受け取った。これで、この学校に囚われた謎は解かれる」
そう告げると、人物の姿はゆらぎ、霧散した。机の上のトランプも、すべて砂のように崩れ落ちる。
教室の窓から差し込む朝日。
気づけば夜は明けていた。
五人は互いの顔を見合い、安堵の笑みを浮かべた。
「……終わった、んだな」
タケルの言葉に、さくらは強くうなずいた。
こうして“学校の謎”は幕を閉じた。
しかし、彼らの心に残ったのは恐怖だけではなかった。
――どんな謎が待ち受けようと、自分たちは一緒に立ち向かえる。
その確かな絆こそが、最大の答えだったのだ。
ご愛読ありがとうございました!
このシリーズはここでひとまず幕を閉じますが、もし続きをご希望なら“彼らが次に挑む新たな舞台”も描けます。