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第6話

料理と魔法、そして絆が交差する魔法料理伝説。

これまでの激戦を経て、リュウとひびきの関係性にもわずかな変化が見え始めます。

そして第6話では、新たなる試練がリュウの前に立ちはだかる――それは、かつてないほどに「心」が問われる料理対決。

伝説の食材「星雫の果実」に関わる謎も、徐々にそのベールを脱ぎはじめます。

果たしてリュウは、その鍋の中にどんな答えを見出すのでしょうか。

――魔法料理学院の図書館。

陽光がステンドグラスを通して、虹のように机の上に降り注いでいた。


リュウは埃の匂いが立ち込める書架の隅で、分厚い古文書をめくっていた。

その名も『星の台所と魔法の実』――伝説の食材について記された古文書だ。


「これが……“星の果実”か」


ページの中央に描かれた銀色の実。その表面には星のような光が瞬き、ただの果実とは思えない神秘的な気配を放っていた。

解説にはこうある。


『星の果実とは、遥か古代、空より降りたる魔法の樹が実らせた唯一の果実。

食した者は、命の真理に触れると言われている。』


「命の……真理……?」


リュウの眉がひそまる。

ただの伝説かもしれない。だが、なぜか胸の奥がざわついた。まるで、自分がこの果実と関わる運命にあるかのように。


「リュウ、こんなところにいたのね」


エリカの声が背後から響いた。

白金の髪が光を反射し、彼女はまるでその“星の果実”の化身のように見えた。


「見て。これが“星の果実”の伝説……」


リュウは興奮気味に説明を始めたが、エリカは静かに頷く。


「その果実はね……実は、私のおじいさまが若い頃に一度だけ手にしたことがあるの」


「えっ……そうしはんが!?」


“そうしはん”とは、魔法料理学院の創始者・エルデン=アルトの敬称。伝説の料理魔導師であり、エリカの祖父である。


「彼は若い頃、南方の“星雨ほしあめの谷”でその果実を偶然見つけた。でも……二度と見つけられなかったと話していたわ」


「……本当にあったんだな、“星の果実”は」


リュウは拳を握りしめる。だが、そんな彼にエリカはにやりと笑った。


「そんなに知りたければ、まず私との“試練”に勝ってからにしなさい。あの日の対決、あなたが勝ったとは思っていないもの」


「えっ、まだやるのかよ!?」


「次の課題は、“天空卵”を使った料理よ。準備はいいかしら?」


リュウは一瞬たじろぐが、口元には熱い決意の笑みが浮かんだ。


「……やってやるさ。エリカ、今度は本当に俺が勝つ!」


学院中に響く調理の鐘が鳴った。

“天空卵”――空中に浮かぶ神秘の鳥が産む、希少な魔法卵。火の魔法で扱うには緻密な魔力操作が必要な上、割り方ひとつでも味が大きく変わる、最上級の試練食材だった。


「さあ、魔法料理対決・第二幕、開幕ね!」


二人はそれぞれの鍋と火を前に立ち、まるで決闘者のように視線を交わした。


――そして、始まった。天空卵を巡る、新たな熱き戦いが。

ご覧いただきありがとうございました!

今回のエピソードでは、リュウの料理に対する「信念」がテーマでした。技術だけでなく、誰かのために作るという想い――それが魔法料理においてどれほど力を持つのかが試される一幕でした。

また、ひびきとの関係にもわずかな火種が灯り、恋と料理、そしてライバルたちとの競争の行方がますます気になる展開に。

次回、第7話ではついに“伝説の料理人”のひとりが登場予定! お楽しみに!

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