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短編「恋愛物、令嬢物、その他の短編」

私と絵描きの男

作者: ヒトミ
掲載日:2025/07/20

ここは掃き溜めのような場所。


道端にゴミは散乱してるし、建物と建物の間には、沢山の人が、今にも死にそうな顔色でうずくまっている。


私には関係ないことだけど。


物心つく頃には、ここで残飯を漁りながら生きてきた。


綺麗で明るい場所には行かないようにしてる。だって、石を投げられたり、下手したら殺されそうになるから。


というわけで、今日もガサゴソとゴミを漁っていたら、よれよれの服を着た男に、話しかけられた。


「君の絵を描かせて欲しい。報酬は払うよ。どうかな?」


絵ってなんだろう。まあ、乱暴してくる様子はないみたいだし、好きにすればいい。


ゴミ山からシュタッと地面に着地し、伸びをした後、はいどうぞとその場に座った。


「描かせてくれるのかい? ありがとう」


手を伸ばして頭に触れようとしてきた男を威嚇する。


そこまで許した覚えはない。


「ああ、ごめん。もう触らないから、さっきの姿勢に戻って欲しいんだけど」


なんで言うこと聞かないといけないの? ここにいてあげてるだけで充分でしょ。


フンッと男から顔を逸らす。


「……まあいいか。しばらくそのままで居てくれよ?」


男が騒々しく動いている音が耳に入る。


少しすると、シャッシャッと何かをこする音だけが響き始め、眠くなってきた。


「できた。ほら、どうかな? 君の絵だよ」


うとうとと微睡んでいたから、男のその声に飛び起き、睨みつける。


驚かせないでよ。何? 終わったの? どうでもいいし、興味もないから、さようなら。


「待って、待って。これ、報酬だよ。また機会があれば、違う絵も描かせて欲しいな」


男が差し出してきた物は、私の好物だった。


残飯の中には、たまにしか入ってないのに!


まあ、お礼だけでも言っておこう。


「ニャー」


好物を口にくわえて、しっぽを揺らしながら、私は建物の陰に素早く移動した。


END

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