第6話「毒を喰らって命を救え!闇茸リゾットの奇跡」
王都へ向かう山岳地帯の中継都市・セイラン峠の町。ユウト一行は、ここで恐るべき事態に遭遇する。
宿屋も酒場も、町じゅうの人々が原因不明の毒に倒れていたのだ。
原因は、魔物“ナイトシェードマッシュルーム”の胞子による食中毒。街の料理人が誤って調理し、スープに混入させてしまったという。
「これは魔界茸だ……普通の解毒薬では間に合わない」
ルミナの魔法でも毒は中和できず、町の神官も匙を投げる。
だがユウトは違った。
「なら、俺が料理する。命を救う“一皿”を──!」
彼は、あえて毒茸を使い、“闇茸と朝露米の解毒リゾット”を創り出す。魔界茸の毒性は高いが、正しい下処理と調理法を用いれば逆に血液浄化・精神安定の効果を引き出せるという、かつて神の厨房で使われていた伝説のレシピだ。
調理中、意識を失いかけるユウト。それでも手を止めず、最後の仕上げを託したのはルミナだった。
「魔力を込める……味じゃない、“願い”を、だよね……?」
ルミナの成長とともに完成した一皿は、黒と白の美しいコントラストを放つ命の料理。
町の人々がそれを食べると、毒は消え、体が軽くなり、意識が戻る。
町の人々が泣きながら彼らに感謝する中、グレイスがぽつりと呟く。
「料理ってのは、胃袋だけじゃなく、“心”も支えるものだったんだな……」
ユウトたちは、王都への道を再び歩き出す。
だがその背後で、謎の少女がすべてを見ていた。
「“調理”によって毒を治すか……。やっぱりあの男、“覚醒しかけてる”」
彼女の手に握られていたのは、“神の厨房”の断片、《レシピの断章》。
そしてそのページには、次なる禁断食材の名が記されていた──
《空喰いの竜卵》
物語はついに、王都グランフェスト編へ突入する――!