第37話「海底都市《ルカ=メア》と水神味《ディープブルー・ドロップ》」
壮絶な炎の対決を越えて──今度は“喪失の海”へ。
神が流した「涙」の味とは何か──
沈みし都《ルカ=メア》
・かつて水神を信仰し栄えた王国。
・神味の源泉とされる、海底深層に存在。
・“深い記憶”と“後悔”を抱えた者にしか入れない水中都市。
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ナレーション
「水は、すべてを包み、すべてを流す。
その神味は、“失った記憶”の味だった──」
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入場の条件:「最も忘れたい記憶」を差し出す
ミルティナ「水神の門は、過去を捨てねば開かぬ……。
ユウト、あなたは“何を忘れたい”のですか?」
ユウト(迷いながら)「……師匠セリオと最後に交わした言葉……。
あれだけは、今でも、喉が詰まるほど思い出す」
→ ユウトの記憶の一部が“雫”となって水門に吸い込まれ、門が開く。
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海底都市に眠る神味の欠片《深海の涙》
・《ディープブルー・ドロップ》は、調理過程で“記憶を媒介”に使う特異な素材。
→調理人の“もっとも深い後悔”が味覚として反映される。
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サーシャ(テレパス)「ユウト、気をつけて。
この都市の神味は“記憶そのもの”。もし失敗すれば、君の“存在理由”すら薄れるわ」
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試練:幻影の中の“姉・セリオ”
・ユウトの心に現れた、もう一人のセリオ。
・彼が最も許せなかった「自分を置いて先に逝った師」への本音が引き出される。
セリオ(幻影)「あの日、私は君を見捨てた。君にすべてを任せて……。
それでも君は、私の包丁を握るの?」
ユウト「違う……。あんたがいなくなったから、俺は料理を続けてるんだ。
忘れたくても、味が思い出させる──あんたが教えてくれたことを!」
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神味の調理法:
《涙の減圧煮込み》+《記憶抽出ミスト》
・超高圧下で素材を調理し、一定の温度で“記憶”を蒸発させず封じ込める手法。
・ユウトの“喪失感”を一滴のソースとして完成皿に転写。
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完成料理
【ルカ=メアの記憶蒸し《メモリア・スチュードロップ》】
・海神の魚と深海果実を使用した一皿。
・食べた者の“亡き人の記憶”を、数分だけ蘇らせる。
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ナレーション
「水の神味は、“癒し”ではなく、“向き合うための味”だった──」
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ユウトの完成料理を前に、幻のセリオが最後の微笑みを残す。
セリオ(幻影)「ユウト……やっと、本当の“別れ”ができたね」
(彼女は一滴の雫となり、皿のソースに溶けて消える)




