第32話「影の弟子レヴィ=ヴェルターと、魂の二重奏」
王都で開催される至高の料理大会。
1回戦を突破したユウトの前に現れたのは、亡き師セリオの“もう一人の弟子”──
影の調理師《レヴィ=ヴェルター》だった。
セレスティア・夜の調理舞台
夜間ラウンド限定の舞台。
月光が差し込むガラスの調理ステージで、感覚魔法が使いやすくなるという特性を持つ。
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レヴィの人物像
・黒衣の少年。15歳。
・感情の波が極めて薄く、無表情で淡々と話す
・セリオの「封印前」の記憶を知る数少ない存在
・“闇味覚術”を用いた独自の調理魔法を使用
・現在は帝国側の料理研究組織《黒餐会》に所属
レヴィ「ボクはただ、セリオの“完成形”を求めているだけ。
君は、その不完全な模倣だ」
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試合テーマ:「師への献立」
司会者「今宵のテーマは《師への一皿》!
師を想い、技を超える“追悼の料理”を作りなさい!」
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ユウト「……セリオは“味の意味”を教えてくれた。
だから俺は、食べた人が“生きよう”って思える料理を作る」
レヴィ「甘い。味には意味などない。
料理とは、“遺志を再現するための操作行為”だ」
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レヴィの料理:
【封印の冷菜】
・味覚を“消す”ことを目的とした、完全無味の前菜
・特級冷気魔法により、舌の神経を一時的に凍結
・食べた者は一瞬“無”に包まれ、深層記憶が呼び起こされる
審査員A「……っ、セリオ様の背中が……見える……!」
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ユウトの料理:
【魂結びのハーブシチュー《メモリア・ポタージュ》】
・セリオが最後にユウトに作ってくれた“弟子の味”をベースに、心と記憶を結ぶ香草で再構築
・焔竜の精髄を加え、炎と記憶の“揺らぎ”を再現する
・味覚と“心の輪郭”がリンクし、食べる者に過去と希望を同時に蘇らせる
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レヴィ「……どうして……ボクには再現できないんだ……」
ユウト「それは、料理は“操作”じゃないからだよ。
セリオは、最後に俺にこう言ったんだ。
“料理は、生きたいと願う者の灯火になれ”って──!」
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審査員「この勝負、ユウトの勝利──!」
レヴィ「……なるほど……
ボクが求めていたのは、“味”ではなく、“あの人の心”だったのかもしれない……」
ユウト「……いつか、お前の皿にも“ぬくもり”が宿る日が来るといいな」
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ステージから去る直前、レヴィは月下でつぶやく。
レヴィ「ボクが倒れても、《黒餐会》は……
“完全料理式”を世界に還す。それが……“セリオ計画”の本質だから」




