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第3話「少女と魔法とスープの奇跡」
ユウトが村での信頼を得始めた頃、焼けた森の外れでひとり倒れている少女を発見する。名はルミナ。強大な魔力を持つが、それを制御できず、暴走するたびに村々を追い出されてきたという。
彼女の魔力は制御不能レベルで、怒りや恐怖に反応し、周囲に雷を放つ危険な状態だった。
「食え。これは、“心”を落ち着かせる料理だ」
ユウトはルミナに、魔力調整に特化した“ミスティ・ハーブの白湯スープ”を振る舞う。魔物素材と魔力草を融合した、精霊系のレシピだった。
一口飲んだ瞬間、彼女の魔力が安定し、涙が頬を伝う。
「……こんなにあたたかいもの、初めて……」
ユウトは気づく。「料理は、魔法と繋がっている……?」
村を発つ決意を固めたユウトは、料理と魔法の真実を追う旅に出ることを決意。ルミナは彼に同行を申し出る。
その陰で、禁書を読み解く黒いフードの男が静かに笑っていた。
「始まったな、“料理による覚醒”……。次は、封じられし食材《竜の心臓》か……」
料理は、命を整え、世界を変える力になる。
だがそれは、過去に“世界を滅ぼした力”でもあった――