第28話「黒の都と、“味覚を喰らう者”」
魔法都市
空中に浮かぶ黒き学都。
千の魔法と万の禁書が封じられ、料理すら“魔術”の一分野として扱われている。
セリーナ「ここでは、“味覚の魔術”が王の座とされているわ……」
ユウト「……俺が目指してる料理とは、まるで違うけど──逃げないよ」
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ギル・ダークレイン
ギル
・セリオの元・弟子。かつて“味覚支配術”を追究しすぎて破門された男
・食べた相手の「味覚」そのものを奪い、自分の料理に“快楽”として加える禁術使い
・現在は《黒味覚評議会》の筆頭
ギル「ユウト。お前の“味”は、まだ“感情”に頼ってるだけ。
本物の料理は、“絶対的快楽”だ──違うか?」
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ユウト「俺は、感情を大切にする。
喜びも、悲しみも、全部“その人の味”なんだ!」
ベルデリウムの闇市で情報を集める中、ユウトは“味覚を奪われ廃人になった元料理人”たちに出会う。
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天空料理闘技場
観客の味覚をリアルタイムで共有し、
“最も快楽度の高い料理”が勝者とされる。
ギル「ここが、真の料理人が立つ場所──“味覚の神”に挑む檀上さ」
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ルール:三皿勝負(前菜・主菜・締め)
【第一皿:前菜対決】
・ギル:味覚奪取サラダ《トリップ・オブ・シンセス》
見た瞬間に視覚・嗅覚を奪い、味だけが暴走する幻惑前菜。
・ユウト:記憶トマトの和風マリネ《はじまりの味》
食べた瞬間に“懐かしさ”が溢れる家庭の味を再現。
観客「……涙が……。これは……昔、母に作ってもらった味……」
ギル「感傷で勝てると思うな。これは“戦争”だ」
→ 判定:ユウト優勢(観客の心を動かす)
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【第二皿:主菜対決】
・ギル:究極の依存料理
味覚をリセットし、強制的に“この味しか受け付けない体”に変える魔法肉。
・ユウト:魂焼きステーキ《セリオの型・改》
セリオ直伝の炎調理を応用し、肉の芯まで“心のぬくもり”を届ける。
ユウト「奪うんじゃない、“分かち合う”味で勝つ!」
→ 判定:引き分け(魔力勝負ではギル、情感ではユウト)
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【第三皿:締めの一品】
ユウトが選んだのは、あえて“味覚を抑える”料理。
心が疲弊しきった観客に、“静けさ”と“余韻”を届けるスープ。
・ユウト:無音のスープ《静寂と再生のポタージュ》
・ギル:快楽脳天フィナーレ《アルティメット・スイートブレイン》
ギル「最後に残るのは、“強烈な甘さ”だ!」
ユウト「……いや、最後に残るのは、“優しさ”だよ」
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観客の反応が二分する中、ある少女が震えながら叫ぶ。
少女「私……久しぶりに“普通の味”が、美味しいって思えた……!」
魔法観測装置が反応し、ギルの味覚魔法が一時崩壊。
観客の心がユウトに傾き──勝負は決着。
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ギル「……俺は、“感情”に救われるのが怖かったんだ。
セリオが俺に与えた“失敗”……ようやく、わかった気がするよ」
ユウトは静かに手を差し出す。
ユウト「それでも料理人なら、また作れる。
“奪う味”じゃなく、“届ける味”を──」
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ベルデリウムの空に、黒い羽根が舞い始める。
“影を喰らう神獣”の予兆──その名は《オルヴィエ・ノクターン》。




