第20話「涙味のシェフと、感情のスフレ」
浮遊庭園《セラフの感涙》
第三戦の舞台は、雲海に浮かぶガラスの庭園。
空と光に包まれたその場所は、**“感情を共鳴させる調理台”**と呼ばれていた。
解説者「このステージでは、料理人の“心の波動”が食材に影響を与える!
心が乱れれば料理も崩れ、心が澄めば味は研ぎ澄まされる……!」
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感情調理師サーシャ
サーシャ・メイリス
・“涙味”のシェフ。
・幼少期から感情共鳴魔法を持ち、料理に“感情の残響”を宿す特異体質。
・審査員に「感動」や「怒り」「切なさ」を食わせる魔性の料理人。
サーシャ「私の料理は……“感情を料理する”の。
それが幸せでも、絶望でも、ちゃんと味になるのよ」
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サーシャが作り始めたのは、ほんのりと淡いピンクに染まる一皿──
サーシャの料理《涙香スフレ ~消えかけた想いの泡~》
・感情魔法で“過去の切なさ”を素材に転写
・スフレが膨らむたび、調理場に「昔の恋の匂い」が立ち込める
・口にすれば、誰もが“何かを思い出して”泣く
審査員「懐かしい……これは……! もう二度と会えない、大切な人の……!」
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対してユウトは、自分の過去に向き合うように、ゆっくりと語る。
ユウト「過去の涙は、確かに味になる。
でも、俺が届けたいのは……“これからの希望”の味だ」
ユウトの料理《芽吹きのロールキャベツ ~風の約束~》
・若芽キャベツに希望を象徴するスパイス「フェリオの芽」を使用
・“これから芽吹く感情”をテーマに、素材の優しさを重ねる
・一口食べると、“前に進みたくなる”という心理作用を引き起こす
審査員「……食べた後、何故か泣くのをやめたくなった。
涙じゃなく、笑顔で思い出せるような……そんな味だ」
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結果、わずかな差でユウトが勝利。
サーシャは笑みを浮かべて、握手を差し出す。
サーシャ「あなたの料理……やさしかった。
私も、あんな味を作れるようになりたい……」
その瞬間、観客の少女が小さく拍手を送る。
それは──ユウトの双子の姉、セリオにそっくりな少女だった。




