第19話「死の砂漠で、生を煮る」
《グランド・クックフェス》第二ステージ。
その舞台は、魔術によって一時的に砂漠化された特殊戦場──
調理ステージ《死者の鍋砂》
・極限の乾燥地帯で、素材の保存・火加減・水分管理が試される
・使用できる水は、限られた「命の瓶」に詰められた3リットルのみ
観客たちはざわついていた。なぜなら──
解説者「……次の対戦者は、禁忌の調理師。
“死肉調理師アゾルド”……彼の料理は“死者”から始まる」
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死肉調理師アゾルド
アゾルド・ガルマン(死肉調理師)
・死体と向き合うことで“生の意味”を逆説的に描く調理人
・使用食材は、古代竜の干し肉・ミイラ肉・腐敗寸前の保存食など
・“腐敗魔術”と“復元加熱術”を合わせて使う禁術的スタイル
アゾルド「人は皆、死を喰らって生きている……
君の料理に、“死の記憶”はあるかね?」
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アゾルドは、ミイラ化した巨大トカゲの尾肉を魔術で復元し、黒煙と腐臭の中で豪快に焼き始める。
彼の料理から立ち上る煙は、見た目すら“忌避感”を呼ぶ。
アゾルドの料理《屍焼きロース ~再生の焦げ目~》
・腐敗寸前の肉を高魔力で再活性化し、肉の“記憶味”を引き出す
・旨味と死臭が同居する、禁断の一皿
アゾルド「食べた者は、自身の死の記憶を追体験する……
生きているということが、より強くわかるだろう?」
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死肉を振るうアゾルドに対し、ユウトが取り出したのは──
「新鮮な、まだ温かい“砂トカゲ”……?」
観客が驚く中、ユウトは素材の“命”を静かに包丁で落とす。
ユウト「死は避けられない。だからこそ、丁寧に、“いま”を調理するんだ」
彼の選んだ調理法は──「命の煮込み」。
ユウトの料理《砂トカゲの命鍋 ~清き水と魂の煮出し~》
・調理前に命へ祈りを捧げ、素材の尊厳を保ったまま低温煮込み
・限られた3リットルの水を“二段濾過”し、澄んだスープに仕上げる
・味は“癒し”と“祈り”、香りは“慰霊”と“再生”
調理中、スープの湯気は観客席にふんわりと届き、誰もが心を落ち着かせた。
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料理を口にした審査員が、涙を流す。
審査員「これは……生きる味だ……
胃の中が、静かに“生”を喜んでいる……」
アゾルドは、静かに自分の皿を下げた。
アゾルド「敗けたよ。私は“死の記憶”を料理に宿したが、
君は“生の現在”を、ここに閉じ込めた。……美しかった」
アゾルド「この敗北は、誇りに思う。
いつか君の皿で、私はまた“生き直す”だろう」
ユウト、第二戦突破!
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ユウトが控室へ戻ると、彼を待っていたのは──
??「次は、私よ。あなたが命を讃える料理人なら……
私は、“感情”を喰わせる調理師」
薄桃色の瞳をした少女が、妖しく笑う。
第三回戦、対戦相手:「涙味のシェフ」サーシャ




