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国王を殴り飛ばした竜夜

 男にはやらなきゃならない時がある!

 と、竜夜 (りゅうや) は拳を握り締める。

―――――――数十分前。

「あのさ……」

 坂本健が竜夜に言う。

「んだよ? 俺は女の子が笑顔でお前を諦めさす方法なんざ知らねえぞ」

 一見冗談とも取れる台詞。

 実は本気で言ってたりする。

 何故なら坂本健という男は性格、聖人君子。外見は、王道! と言ったようなイケメン。

 シャープで切れ長のブラウンの瞳。

 スラリとした高い身長。

 モデル顔負けしかも、性格は聖人君子。

 そんなこんなで女の子にモテる訳だ。

 あんな台詞が出てくるのも仕方ないと言えるだろう。

「あ~。そうじゃなくて、俺の足下」

 足下? と竜也は健の足下を見る。

 足下から半径一メートルにかけて青い光を発している。

「コッチに来るなよテメェ」

 竜也は冷たい一言を発する。

 そしてジリジリと後退り。

 健は、一つ獰猛に笑ってから。

「そんな冷たい事言うなぁぁぁぁぁ!」

 バッ! 竜也に飛びかかった。

 竜也は逃げようとしたが青い光がギリギリ脚に触れる。

 その瞬間。

 二人の視界は暗転した。

―――――――

「成功したぞ!」

「勇者様の召喚に成功しおった!」

「二人居ないかアレ?」

 どよめく魔法使いや、騎士や、臣など。

「失敗などする筈がないだろう」

 髭を蓄えている四十程の王が言う。

 赤いローブを着込んでいる。

 姫は、竜夜を恐る恐る揺り動かして起こしてみる。

 竜也は急に感じた温かみと揺れ動かされたので起きた。

 目に飛び込んできたのは少女。

 絹のような薄い青色の髪、大きな碧眼を持った可愛い少女である。

 白い修道服のような物を着ている。

 胸の辺りに金のペンダントを付けている。

 お姫様みてえだな。

 と竜也は思った。

 健が横でムクリと起き上がった。

 姫様は、緊張した面持ちで言う。

「えっ、とここはランバートって言う世界です」

 何か説明が始まった。

「あ、あなた達は勇者としてこの世界に召喚されました」

「「はあ……そうですか」」

「えっと……随分軽いですね反応が」

「つーかさ。勇者って何? 役目を教えろよ。それとお前誰?」

 と、竜也。

「はい。失礼しました。私は第十七代ラルバート国の姫。ファン・ブルゼムです。勇者様には魔王を倒して欲しいのです」

 慌てて言う姫様。

 つーことはここは異世界で、国の主要人物共が集まってる場所って事か。

「うわ、あの騎士もどき殺気立てすぎだろ」

 はあ、メンドクセェ。

 杖持ってる奴なんざ笑ってんじゃねえか。

 まあ、一枚岩なんざそうそうねえからな。

「魔王って悪いんですか? 悪い奴なら俺、勇者しますけど」

 と、健。

「はい。魔王は悪い奴です。あとそちらの勇者様は?」

「俺パス。つーか帰らせろ」

「それは無理だな」

 と国王。

 人の意向を完全に無視した言い方に腹が立った竜也は睨みつけながら言う。

「あ? ぼけてんのか糞爺」

「国王様に何を――!!」

 騎士もどきが殺気を振りまきながら突進しようとした所を隣に居る魔法使いに魔法で動けなくされる。

 国王は怒りで顔を引きつらせる。

「うっせえよ! 魔王も倒せねえ騎士もどきが!」

 竜也は怒りを隠さずに怒鳴る。

「なッ……!」

 騎士はガクリとうなだれる。

 国王は顔を怒りで引きつらせたまま、

「お前ら二人には勇者として、この世界を救う義務がある」

 偉そうに言う。

「義務だ?」

「そうだ。千年に一度現れる魔王を倒すのは毎回、異界の人だと決まっている。二人などは初めてだがな」

「糞爺。テメェらが魔王倒しに行って来いよ!」

「オイ。俺らが魔王倒しに行けばいいじゃん。悪い奴らしいし」

 健が竜也を落ち着かせようと試みるが、竜也は更に怒りがヒートアップする。

「オイ糞爺。俺らが召喚されたのってランダムか?」

 国王はもう我慢出来ないと叫ぶ。

「コイツを死刑にしろォ!」

「勇者なので我慢して下さい」

 と、臣。

 国王は渋々と言った感じで承諾する。

「勇者として相応しい奴が召喚されるそうだ」

「ふ~ん。なら、この国の金を十パーセントと兵を一万貰おうか」

 と、竜也は試すように言う。

「無理だ。兵を一万遣わした所で魔王に勝てる筈が無い。金も駄目だな。十パーセントは多すぎる」

「何にもくれねえでただ働きっつー事か?」

「いや、税金は取らないし、生活出来るぐらいの金もやるし、四、五人はお前らにやる。生かすも殺すもお前ら次第だ」

 ブチリ! と、竜也はキレた。

「つまりは、あれだ。お前らは性格の良い一般市民を勇者だなんだと祭り上げて魔王の元に少ない人数で行かしたって訳だ」

 勇者として相応しい奴――つまりは、国の思い通りになる奴って訳だ。

 魔王を倒せばラッキーで倒せなければ残念だったなぁ、で終わらせる訳だ。

「テメェらの国ぐらいテメェらで守れや糞共が!」

「勇者が代々魔王を倒して、国を守ると決めておる。魔王を倒せば、元の世界にも帰してやろう」

 他人任せの上、上から目線のこの国王に本気でキレた。

 竜也は拳を岩のように握り締め、ゆっくりと国王の元に歩き出す。

 男にはやらなきゃならない時がある。

 例え、相手が一国の王であろうが魔王であろうが、やらなきゃならない時がある。

「国王様?」

 怒りを押し殺して言う。

 あのムカつく面に一発ぶち込んでやる。

 瞬間、騎士が竜也の前に立ちふさがる。

 竜也は、国王を殴る為の右手に更に力を篭める。

「どけ」

「駄目だ」

 竜也は何も言わずに左手で騎士を押す。

 殴り飛ばしたいのはコイツじゃねえ。

 騎士はよろける。

「この勇者を言う事聞くまで調教しろ」

 国王が無慈悲に言う。

 竜夜は獰猛に笑いながら、騎士に言う。

「魔王より上の勇者に勝てると思ってんの?」

 ゴッ! 魔力が風のように祭壇中に行き渡る。

 騎士は魔力に当てられて固まる。

 ガタガタと震えながら騎士は言う。

「何て魔力だ……」

 冷静だったならば聞き慣れない単語に首を傾げていただろう。

 しかし、今の竜夜はそんな言葉は聞いていない。

 固まっている騎士を通りすぎる。

 ただのハッタリで騎士が固まった事に少し疑問を覚えたが、そんな事はすぐに霧散する。

 国王の元まで走る。

 国王は、逃げようとするが、竜夜の方が速い。

 肩を掴み、振り向かせる。

「ひやっあ! 止めろ! 王だぞ儂は! 勇者如きが王を殴るなど……!!」

 一国の王が半泣きになりながら竜夜に言う。

「うるせえよ」

 右腕を後ろに伸ばす。ギリギリ、と力が籠められていく。

「止めろ……ッ! お前ら止めさせろッ!」

 国王が必死に叫ぶ。

「何の覚悟もねえ奴に誰か着いてくると思ってんのか?」

「う、わ……ぁっ! 服国王の座をやろう!」

 ゴッッ! 竜夜の拳が国王の顔面に突き刺さった。

 国王は竹トンボのように回りながら頭から地面に激突した。

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