四
まじ、めっちゃびっくりしたよね。
そしてそしてなんとなんと
太陰様は私に蒼月という名前をくれた。
そして私に新しい家族を作ってくれた。
天皇家の次に位が高い公家の六家――通称、六華条とよばれている――のうちの一家、一条家に入ったのだ。
ちなみに種族はそれぞれ
一条家は白狼、
二条家は黒豹、
三条家は朱虎、
四条家は緑犬、
五条家は蒼狐、
六条家は灰山猫……という感じかな。
そしてびっくりしたのが、太陰は私が天皇の娘ということをわかっていたらしい。
だから太陰様は私が天皇の娘であることを公表してほしくない……つまり娘、しいては妹として迎えるのではなく、普通に従者としてそばにいるならできる、と言うとすごくしょんぼりしていた。
普通、奴隷……というか、売られた子?は下働きのはずだから最初はそれも拒否しようとしたんだけどね。
なんで気づいたのかと聞いたら、
「私のほうが蒼月より魔力が多いからね。」
と返ってきた。
私の目の色を変える魔法は自分より魔力が多い者にはきかないんだそうで、私の本当の姿をすぐに見破ってきたんだよ。
あ、マナってのはまぁ、魔力の別称? みたいなものだ。「まりょく」って一々言うの面倒でしょ?
で、えーと、つまり何が言いたいかというと太陰様とか他の皇子たちと私は腹違いの兄妹にあたるってこと。
ちなみにそのことを知っているのは太陰様を含む七人の皇子方とある五人の仲間だけ。
……あ、いや、天皇と妃達も知ってるか。
あの事件のせいで天皇たちにはバレたんだよね……
まぁ、そのおかげでなんとか色々と隠蔽出来て天皇家の一員になったわけだけど……
それに母の真相も知れたわけなんだが……
……天皇家ってやっぱりなんか、ねぇ?
めんどくさいんだよね、作法とかさ?
あと……
醜い嫉妬……たとえばどうせすぐ捨てられる、とか、
ただの平民の娘ごときが、とか、
顔で媚び売っただけだ、とか、
体でも売ったんだろう、とか、
そういう酷いことを言われることももちろんあった。
こういうのも正直言ってめんどくさかった。
媚び売ってんのはお前らだろって、
じゃあお前らはただの公家ごときだ、
って怒鳴ってやりたかった。
貴族ってこんなに醜かったんだなぁ、
ってこの時初めて知ったよね。
だけどイヤイヤながら入ることになったんだ。
……父上が譲らなくて。
……多分、私が母さんに似てるからなんだろうけど。
そして私は太陰様の役に立つべく(恩返しも含め)
誰よりも努力し(たはず)、
日本最強と謳われるまでになった。
満十二歳のことだった。
そして私は帝を守る禁裏御守衛の隊長にまでなった。
太陰様の小姓のような……側近のようなことや、
太陰様専属? 料理人もしていた。
太陰様、私以外が作ったものは信用できないとかで食べてくれないんだよね。
――――オモテの世界では。
裏の世界でも私は活躍していた。
まぁすることといえば暗殺とか……だよね
初めて人を殺したのは確か六歳? くらいだったはずだ。
初めて人を殺した時は苦しかったけど段々大丈夫になってきて今は仕事だと割り切っている。