二
山崎side
……!?
時雨、目が……!
それに、あれは……鱗、かいな……??
「ごめんなさい、鱗が、っ生えてるとか、気持ち悪い、……ですよね、っごめんなさい……あと、しばらくは治らないと、思います……っ、ごめんなさい…………、嫌いにっ、ならないで……っ……ごめんなさい……っ、ごめ、なさい……ごめ、なさ…………っ」
「「「「時雨??」」」」
時雨の瞳には光がなくなっとった。
時雨……どないしたんやろ?
急に、様子が変になった……
カタッ……スタッ
「時雨は、誰に謝っとん?」
俺は上から降りて、時雨にそう、問う。
「え……?」
お前は……一体誰に謝っとるんや……?
「や、山崎……!?」
土方はんが急に登場した俺に驚いとった。
でもそれに構わず俺は時雨に近づく。
……やけど、
時雨は、俺の顔を見て、怖がっとった。
「……っみな、見ないでっ……!!いや、いやだっ……!っおね、がい……見ないで……!
ごめん、なさい!見ないでっ!嫌いにならないでっ……!!ごめんなさい……!ごめん、なさい……!!」
なんでそないな顔するん……?
なんでそないなこと言うん……?
なんで……、なんで……?
「なんで、謝るん?時雨は何も悪いことしとらんやろ?」
お前は何で謝るんや……?
それはそんなにやっちゃいけないことなんか……?
「いや、でも……勝手に龍人化しちゃったから……きら、われる??……たた、かれちゃう、よ……?」
そう言った時雨の顔はひどく怯えてゆがんでおりいつもよりも幼く見えた。
龍人化したら嫌われる??何でそないなこと言うんや??俺はどんなお前でも好きやで……?
いったい誰がお前を叩いたんや?
母親か?
……そいつ、俺が殺しちゃるから。
「な、殴られる……?ぁ、あれ……?痛い?痛いの、……いやだ……たす、けて、ぁ、……いやだ、いやだ、いやだ、よ……っ…………っ、痛いの、怖いよ……「時雨……」助けてっ……っぁあ、……ごめんなさい、ごめん、なさい……もう、なら、ないで、す……「時雨」……ら、っか、ら、叩か、ないで……カヒュッ、は、はっ……っは……っ、き、斬ら、っは、っはぁ、は、……はっ……ない、で……!もう、や……!はぁ、はっ、はぁ……っま……っいや、いやだ……っ!!」
時雨が過去を思い出したんやろう、過呼吸になる。
「時雨ッッ!!!」
三回そう、時雨に呼びかけても気付かへんかった……
やから……
ぎゅうっ
俺は咄嗟に時雨を抱きしめた。
そうでもせんと、時雨が俺の前から消えていなくなってしまうんやないか……俺の腕ん中から消えてしまうんや無いかと、怖かったから。
「時雨、大丈夫や、俺らは殴らんから……!!絶対に……!!嫌いにもならん……!!!!」
俺らはお前を絶対殴ったりせぇへんし、大切にする。
その姿を見たってここの奴らは誰も嫌いになんかならへん。
……逆にまた一つ時雨のことを知れてうれしいくらいなんやから。な?
……せやから、そんなつらそうな顔せんでや……
「っは、っ、はっ、、はっ……は……すす、む、さん?ここ、は………………あ、そう……か、ここは、もう、昔じゃ、なかったっけ……」
そう言って疲れたんか時雨は眠ってしまった。
昔って……虐待を受けてた時……か……?
お前は今、何を思っとるんや……?
お前の目には今何が映っとるんや……?
何でそないな悲しそうな顔をするんや……?
お前は何を、どんだけ背負っとるんや……?
俺は……お前の力になれるやろうか……?
その時俺は初めて気づいた。
――――――時雨のことが好き、ってことに。
好き……俺が……時雨のことを……そう、か。
心ん中でやけど、言葉にすると、思ったよりもそれを自覚しとる自分がおった。
なんや、妙に心にストンっと落ち着いた……っちゅうか。
妙に腑に落ちた……っちゅうか。
思えば最初に時雨と会った時から俺は変やった。
下の名前を呼ぶんを許したんはここに来て初めてやったし、
こんなに|他の人《沖田とか沖田とか沖田とか》に妬くんは初めてやった。
俺は他の人を部屋に入れるんもあんませんかったのに……時雨のことは普通に入れた。
それどころか、自ら同居を許可して……
……そして、
お前が傷つかんように俺の胸の中に大事にしまっておきたいくらい、
お前のその綺麗な金色の瞳のような色の大きな鳥籠ん中でお前の白くて細い綺麗な首に鎖を繋いで閉じ込めて大事にしまっておきたいくらい、
お前をグッズグズのとろっとろに甘やかして俺のことしか見られへんようにしたいくらい、
考えられへんようにしたいくらい、
昔のことなんて忘れさせてやりたいくらい、
そんで食べちゃいたいくらい、
かわええ。
……そんなことを思ったんも初めてやった。
さっき、時雨が苦しんでるんを見て、俺も苦しかった……抱きしめて、俺で安心して欲しかった。
お前の居場所になりたかった。
お前が唯一、心休めることができるとこになりたかったんや……。
もう二度と、お前にはそないな思い、させんから。
早く……
―――――俺んとこに、堕ちてこんかなぁ?
山崎side (終)




