この後の予定!
食後のお茶を飲んで、ピクニックも一段落。
「この後の予定なんだけど」
「はいっ」
この後……
おもてなし料理のことでやることがあるかしら?
王子様は仕事があるかしら?
「実は……」
「え?」
王子様の笑顔がぎこちなくなった?
「この後というか、夜に会えないかな?」
夜!?
ほのぼのピクニックからいきなり――
大人の雰囲気に!?
なぜ!?
「ど、どうしてですか?」
落ち着いて聞かなきゃ。
王子様の表情も笑顔が消えて真剣というか困ったように……?
「実はね、セリアー王国の王族にオペラを披露する人達、デスピーナさん達を激励するために今夜、城で晩餐会が開かれるんだ」
「晩餐会ですか」
おいしい料理を食べてもらって、応援してるよ頑張ってっていうのかしら。
「それに俺も出るように父上から言われたんだけど、オペラの話をしなきゃいけないだろうから気が進まなくてさ」
うんうん。
オペラの話をしながら料理を食べるなんて、この王子様には無理よね。
「そこでさ、ウタカタリーナに会う約束があるからって断ったんだよね」
「な、なるほど」
そこで私を出したか。私を上手く利用して――?
そんな打算的な顔してない、王子様……
まっすぐな瞳と照れたような笑顔――
「君に会うって言えば、父上も母上もすんなり納得してくれるからさ」
「そ、それはっ……」
どうして!?
「実際、会ってたほうが良いと思うんだよね……会いたいのもあるし、どうかな?」
どうしてと問いかけた瞳に答えはなかったけど。
キラキラしてる王子様の瞳は私の欲しかった答えをくれてる。
私も王子様の欲しがってる答えをあげよう――!
「もちろん、お会いしましょう!」
「ありがとう!」
王子様の弾ける笑顔、私も!
「急に、ごめんね」
「いえいえ」
王子様と急に夜に会うなんて!
ロマンチック……嬉しいですわ!
「どこで会おうか? 城は都合が悪いよね」
「そうですね」
城に居て晩餐会に顔出さないのは感じ悪いわよね。
様子も気になるし。
出かけないと。
どこへ? 王子様も考えてる。
「城から出るとしても、王子と令嬢が夜に出かけるのは危ないかな?」
「うーん、そうですね……」
危ないかも。
賊に襲われたりして。
王子様が守ってくれて絆を深めるイベントが起きそうだけど……
「ウタカタリーナの家に行っていいかな?」
「えっ!?」
私の家で絆を深めるイベントが?
「どうかな?」
来てほしいけど私の部屋……
「私の家は狭いしボロいですしっ」
お父様がはっちゃけるままに、早く豪邸に引っ越しておけばよかった――!
「気にしないよ!」
「そ、そうですかぁ?」
「うん。いいかな?」
「はいっ、ぜひ!」
「それじゃあ、晩餐会が18時からだから、その頃家に行くね」
「はいっ」
それまでに――
メゾとスーにちょっと掃除してもらっとこ。
お母様も驚くだろうけど喜んでもくれるわよね。
お父様は居るかしら?
「テラー、ウタカタリーナの家に行くことになったから」
いつの間にか近くに居た宰相様がこっちに来た。
「馬車の用意よろしくね」
「かしこまりました。それから、この後のご予定についてですが、殿下」
「うん?」
「ウタカタリーナ様」
「はい?」
なにかしら?
「陛下と王妃様がウタカタリーナ様が城においでなのを知り、会いたいとおっしゃっておられます。これからいかがでしょうか?」
「えっ! 今からですか!?」
急に!!
王様と王妃様に会うの!?
「はい。ただいまからでも」
宰相様の冷徹な表情、断れない。
王子様は……
「急だね」
やっぱり、そう思うよね。
「ウタカタリーナと会って何を話したいのかわかる? テラー」
そこ、重要よ。宰相様。
「具体的にはわかりませんが、お話したいことや、お聞きしたいことは色々とおありのようです」
「色々かぁ……」
色々か。
聞きたいよね、色々。
お城に料理しにやってくる令嬢、謎だよね。
「会ってくれるかな?」
王子様、前向きな笑顔。
応えたい。
それに、王様と王妃様に会えば "私と会うなら王子様が晩餐会を断ってもすんなり納得してくれる" 理由がわかるかも。
だけど、
「緊張します」
王子様のお父様とお母様だもん。
気に入られるかどうか……
「お二人の様子を見るに、そう緊張されて恐れることはないかと」
宰相様の冷静な意見、安心してきた。
「ウタカタリーナは唯一、仲良くしてる大事な令嬢と言ってあるから大丈夫だよ」
王子様……!
唯一、仲良く――大事な令嬢!?
それなら――
「お会いいたします!」
みんな、笑顔で決まった!
王子様の笑顔、安心する。そばにいてほしい。
「王子様も、ついてきてくれますか?」
「うん! 一緒にいるよ」
よかったぁ。
「それじゃあ、行こうか」
「はい、あっ、服はこれでいいですか!?」
ピクニックメインに用意したワンピースよ?
「それでいいと思うけど……」
王子様はいいみたい、宰相様は?
「ウタカタリーナ様のためにポール•ベルーガが仕立てたドレスが何着か用意されております。そちらに着替えられますか?」
ポールのドレスが!?
私のために城に……
「それを着る? せっかくだから」
「はい、せっかくですから」
綺麗なドレス着たいし……
それから、挨拶の仕方も!
お辞儀お辞儀で済ませてきたけど。
しっかりカーテシーしなきゃ。
完璧なカーテシーで圧倒させるのですわ!
いやいや、失礼のないようにして。
王子様と一緒に居ること認めてもらわなきゃ――
婚約者候補……とかはさておき。
楽しく料理ルートを進み続けるために!




