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味噌汁飲みてぇと王子様が言ったから!〜料理令嬢になりますわ。オペラルートには進めません〜  作者: 城壁ミラノ


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おでかけの場所は

 晴れた朝の城〜


 綺麗な水色のワンピースを着て、手にはバスケット。

 中身は、オニギリ、タマゴヤキ、チキンボンボン、キッシュ。全部、上手に出来てる!


 王子様への愛情を込めて――フフッ


 ――馬車に揺られてグシャグシャになってないよね?


 ちゃんと、押さえてたけど一応確認。


「よし、大丈夫ですわ!」


 さぁ、城の中へ。

 門番さん相手にはもう顔パスですわ。

 玄関ホールに入ると、執事さんが近づいてきた。

 こちらとも最早仲良しな挨拶を交わすと、


「お手に持っていらっしゃる、それは?」


 執事さんの視線がバスケットに。


「これは、お弁当です。王子様に――」


 そういえば、私が何か持ってくるの初めてかも。

 食べ物は確実に……毒入りとか疑われる?

 検査とかあるのかしら?

 執事さんがジッと見てるのは、そういうこと?


「お弁当ですか」

「は、はい」


 執事さんが、ニコって笑った!?


「それはそれは、殿下が、お喜びになられることでしょう」

「あ、ありがとうございます!」

「どうぞ、キッチンのほうへ。殿下がお待ちでございます」

「はい!」


 にこやかに見送られて、執事さんとお別れ。


 ふぅ。

 バスケットの中、見ることもしなかったか。

 私の本性が性悪だったら、まずいわよ?

 ま、今さら惚れ薬とか? 怪しい薬入れる必要ないけどね。

 王子様が唯一、城に招く令嬢だもん。

 それだけに――もし、怪しい薬入れてバレたら言い逃れもできない。


 おいしいお弁当で王子様の胃袋を掴む。


 正統派ヒロインルートをひた走ろう……



 キッチン〜


「おはよう!」


 朝から眩しい笑顔の王子様が、出入りからバーン!


「おはようございます!」


 笑顔でバスケットを抱えて見せると。

 王子様の視線も即そっちに。


「これ、お約束の」

「お弁当!? ありがとう!」


 テンション跳ね上がって、飛び跳ねそう。

 王子様、可愛い!

 これだけで、作ってよかったと思えてくる!


「お昼が楽しみだな!」

「フフッ」


 今すぐ、食べてほしいくらい!


「今すぐ、食べたいけど」


 王子様まで……

 バスケットを私の手から取ってどうするの?


「これは、キッチンに置いといて」

「あ、はい」


 そうよね。


「お昼まで、町にでかけない?」

「町に、ですかぁ!?」

「うん!」


 思わず、前のめりになってしまった。

 王子様も、にっこにこ!


「どちらに、ですか!?」

「もてなし料理用の食器を買いに!」

「食器ですか!?」

「うん、城にも食器は沢山あるけど、ウタカタリーナと私で料理に合うのを選んだらいいんじゃないかって。コック長が」


 王子様が目をやると、コック長さんが来た。


「おはようございます、ウタカタリーナ様」

「おはようございます、コック長さん」


 にこやかに挨拶して、話を聞こう。


「殿下がお話の通り、食器は一応ご用意してありますが――」


 テーブルに並べられた食器類。

 どれも新品みたいにピカピカで豪華で申し分なさそうだけど……


 コック長さんが、白い皿を指さした。


「メインのサバノミソニはソースでデコレーションいたしますので、シンプルな白い皿がよろしいでしょう。こちらでも問題ないと思いますがいかがでしょうか?」

「そうですね、それがいいと思いますわ」

「うん、それがいいね」


 メインの皿は決定!


「続きましてはライスの形ですが、オペラの妖精の型をご用意いたしました」


 コック長さんが手にしている型は――


 オペラの妖精が横向きに飛んでる。

 フチだけでなく、全体の型を取るタイプだ。


「ライスがありますので型に取ってみましょう――」


 炊きたてのゴハンが詰められて。


 金の皿に出された――


「とても、立体感がありますね」

「そうだね」


 横顔も体も羽根も表面に立体感がある。

 純白の宝石オメガみたいで綺麗でもある――

 食べるのが怖いくらい。


「凄いですわ……ありがとうございます。それにしましょう!」

「凄く、いいね!」


 王子様とテンション上げて、アハハですわ!


「こちらの妖精のまわりにジパングのタクアンなるツケモノで作った花を手に持たせてはいかがかと思います」


 妖精の手――片手を伸ばしてる。指差し確認。


「ここですわね」

「はい。黄色や赤など鮮やかなツケモノがありますので」

「綺麗ですわぁ! それ!」


 たくあんのお花!?

 私からは思いつかない、さすが城のコックさん!


「可愛いね! そうしよう!」

「ありがとうございます。皿によっては全体に散らしてもいいかと思いますが」


 コック長さんは別の皿を指し示した。


 金の皿、銀の皿、花が全体に散らばる絵皿。


「ライスが白ですので、皿は色付きか絵柄のあるものがよろしいのではないかと思います」

「そうですね」

「どれがいいかな?」


 一番に目を惹かれるのは、キンキラ……


「金の皿がインパクトありますけど」

「そうだね! けど?」

「けど、妖精に似合う絵皿があれば――」

「店に行ってみようか!」

「はい!」


 そうだ!


「この型を持って行っていいでしょうか? 絵皿と合うか確かめたいので」

「それでしたら、白い紙で妖精の型をお作りいたしましょう」

「お願いします!」


 待つこと少し〜


 妖精の型紙が手に入った!

 ライスの妖精に重ねてみても、ぴったり同じ。


「ありがとうございます!」


 折り曲げたり破れないように大事に持ってよう。

 まさか、オペラの妖精と行動を共にするとはね――

 良いお(みちび)きがありそう!


「いい皿が見つかるといいね!」

「はい!」


 王子様と笑いあって、次は?


「続きまして、オヒタシをいれる(うつわ)ですが」


 コック長さんが手で示したのは。


 ガラスの六角小鉢と、ガラスの台座付き小鉢。


「どれにする?」

「私は――」


 六角小鉢じゃなくて。


「こちらがいいと思いますわ」

「これか、お酒を飲むグラスにも見えるけど」

「そこが、お城っぽくていいような気がすると言いますか」


 洋風というか異世界っぽいというか、個人的な想像ですけど。


「そうだね!」


 王子様に、わかってもらえた!


 コック長さんも小さくうなずいてる。

 わかるような、わからないような?


「そちらも、店にあるものの中からも選ばれてはいかがでしょうか?」

「そうしますわ!」


 異世界のお店! 行ってみたい!


「続きましては、ミソシルを入れるスープ皿ですが」


 コック長さんが手にしたのは、木のカップ。


「以前ミソシルを入れていたカップを参考に職人に作らせてみました。食器に使う木の中でも最高級のものに艶を出したものでございます。いかがかでしょうか?」

 

 うずを巻いた木目のカップがツヤツヤしていて……

 高級感がある! 気がする!

 カップの丸みも綺麗。大きすぎず小さすぎず。

 よくある味噌汁の椀にも見えるけど、そこもいい!

 

「いいと思います」


 王子様は?

 味噌汁は王子様の思い入れの食べ物……

 私の求めているのは、こんなカップではないんだ!

 カップを床にパカーン!

 なんてことに――?


 満足そうにうなずいてる!


「いいね! それにしよう!」

「ありがとうございます」


 コック長さんがうやうやしくお辞儀した。


 拍手ですわ!


「続きましては、プリン・ア・ラ・モード用のデザートグラスでございますが――城にはフルーツを盛るこちらしかありません」


 コック長さんが手にしたのは。


 ガラスの横に広めの台座付きグラス。

 いかにも、フルーツが盛られてそう。

 これでもいいと思うけど……


「お店のも見てみようと思いますわ」

「そうなさってください」

「もし、いいのがなければ、ガラス職人に作ってもらうことにするからね。大丈夫だよ」


 王子様が大丈夫と言うなら、信じられるけど。

 ソプラノーラ様たちがくるのは、二日後だよね?

 間に合うかしら?

 王族が頼む職人さんなら、チートスキル持ってそうだけど……信じよう――


「そうですね。なかったら、お願いしましょう」

「それから、今日のお昼に食べるパフェ用のグラスも買おうか?」

「パフェのグラスも!」

「城には、こちらしかありませんので」


 コック長さんが見せてくれたのは、普通サイズ。

 私の想像してるグラスの半分しかない。


「お店で探してみましょう!」

「そうだね! それじゃあ、さっそく行こうか」

「はい! 行ってまいります!」


 コック長さんに見送られて――



 廊下〜


「気に入るのがあるといいね!」

「はい!」


 そうだ、


「お店は?」

「お店はね、王族御用達のところだよ」


 王族御用達! にやけてしまった。


 王子様もニヤリ。


「素敵ですねぇ」

「楽しみだよね」


 王子様と一緒に食器を選ぶのも……


「そこで見つからなったら、他の店にも行ってみよう。普通の、町の人が買う店に」

「大丈夫ですか? 王子様が行っても?」

「多分ね。服も普通の人っぽいのにしたし」


 確かに、いつもは光るような高級生地のだけど。

 今日は、普通のベージュのスーツに茶色いベスト。

 仕立てはいいけど、王子様! って感じはない。


「それでも、只者じゃないオーラ? みたいなのが出てますよ。わかる人にはわかるかもしれませんね」

「ははは、マイッタね」


 嬉しそうに笑ってらぁ。


 ま、私も――密かに気づいた人達から――


 あの人の隣、王子様じゃない?

 えっ、ほんとだ! お忍びデート!?

 いいなー! 羨ましいー!


 なんて、ヒソヒソされたくはあるし!!


「お忍びで、行きましょう!」

「うん、行こう!」


 フフッ、腕組みたくなっちゃう!


 いや、待て――

 町の人達がもしも……


 王子様の隣、ソプラノーラ様から王子様を略奪した女じゃない?

 よく、堂々と町を歩けるわね。

 最低ー! 最悪―!


 なんて、ヒソヒソされたら……


 違うんです!

 ソプラノーラ様のほうが先に精神的浮気を!!

 いや、落ち着け。

 オペラスタジオの人達の態度を見るに。

 私を略奪者、悪女と見なしている人はいなかった。

 なぜか? 多分、パーティーでのソプラノーラ様とテノールード様と私と王子様の恋愛のもつれのやりとりより、私のオペラ調の食レポのほうが人々の印象に残ったから。

 ――だと思う。そうだ、そうに違いない。

 私は、食レポ令嬢なんだ――!


 それと、王子様と良い感じの人!!


 よし、安心して行こう。


 でも、


「なるべく、目立たないようにしましょうね」

「そうだね」


 腕は組まないように我慢して。


 いざ、町へ――!

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