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味噌汁飲みてぇと王子様が言ったから!〜料理令嬢になりますわ。オペラルートには進めません〜  作者: 城壁ミラノ


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ばぁやとメイドさん

 朝〜


 朝だ。

 王子様いない……

 寝てる間に来てて "起きた?" って微笑まれて "はわわっ、寝顔見られちゃった!" とか、王子様がベッドに寄りかかって無防備な寝顔みせてたりとかないんだ。ちょっと、がっかり。

 ま、いっか。

 早く朝ご飯食べて用意して行こう。



 食堂〜


 まだ、お母様もお父様も起きてない。

 ばぁやとメイドさんは起きてくれてた。


「おはようございます、お嬢様」

「おはよう、ふたりとも」

「お早いですこと。すぐ、朝食を用意いたしますよ」


 ばぁやの言葉を聞いて、メイドさんが取りかかった。


「ありがとう」


 テーブルについて待とう。


「私どもも、今から食べるところですよ。先にホットミルクをどうぞ」


 ばぁやが湯気の出るマグカップを置いてくれた。


「ありがとう、一緒に食べましょう」

「恐れ多いことですよ。できません」

「え?」

「未来のお姫様とご一緒に食事なんて」


 未来のお姫様! へへっ


「いいじゃない。遠慮しないで」

「光栄なことでもありますものね。では、ご一緒させていただきますよ」


 ばぁやは考え直して笑顔をみせてくれた。


 パンとオムレツができて、三人で頂く。

 オムレツの具が野菜だけじゃなく鳥肉も入って豪華になってる。


「おいしいですわ」

「お口に合ってよかったですよ」


 向かいの二人が笑ってくれた。


 そういえば、この二人の名前はなんていうんだろ?

 私もウタカタリーナと無事呼ばれて長いし、名も無きばぁやとメイドさんじゃ悪いもんね。聞いてみよう。


「そういえば、二人の名前は?」

「私は、メゾですよ」


 ばぁやはメゾね。


「私はスーです」


 メイドさんはスーね。


「二人とも、私と王子様のこと聞いてるのね?」

「はい」


 メゾが答えて、スーがうなずいた。


「旦那様からも奥様からも色々と聞いておりますよ」

「そうなんだ」


 色々ってなんだろ? 今までの流れ全部?


「それに屋敷を訪ねてきた王子様を、この目で見ましたよ」


メゾが丸くした目を指さした。


「想像よりずっと素敵でした」


 スーがうっとりした。


「どんな感じですか? 王子様と一緒にいるって」

「そうねぇ――」


 改めて聞かれると、答えが難しい。


「とても光栄で素敵でキラキラしてますわ。王子様も、お城も」

「想像もできません」


 スーは興奮気味。一応想像するためか目を閉じた。


「オペラ劇場にも、ご一緒に行かれましたでしょ?」


 メゾが聞いてきた。


「ええ。オペラ劇場もキラキラしていて綺麗だったぁ」


 スーの想像に加えられるね。私も思い出すとうっとりしちゃう。


「王子様とオペラを観られるなんて夢のようなことです。その夢を現実にできているのは、この国でお嬢様だけですよ」


 そんな特別感ましましなこと言われると――


 ニヤつきが止まらない。

 いい気分にさせてくれて、ありがとう。メゾ。

 そうだ、


「オペラといえば、二人も観に行かない? お父様にチケットを取っていただくわ」

「まぁっ」


 二人は同時に驚いた。


「私どもは小間使いとメイドですよ」

「関係ないわ。二人とも私にとても良くしてくれてるし」


 ほんと、モブ令嬢だからって意地悪してこないし。


 親切に尽くしてくれてるから、お礼して喜んでもらいたい。それに――王子様とハッピーエンドのために徳を積んでおかないとね。打算的だけど、これは良い打算よね。


「ぜひ、観に行って!」

「ありがとうございます。お嬢様は国で一番、お優しい方ですよ」

「ありがとうございます、お嬢様。王子様に相応しい方です」


 二人は涙をエプロンで拭きだした。


「ありがとう」


 私も泣けてきた……


「お嬢様のおかげで何もかも順調に進んでいると、旦那様もおっしゃっていますよ」


 メゾは色々聞かされてるんだったか。


「そうなの」

「ええ。それはもう興奮なさっていますよ」

「そうね」


 笑っちゃうよね。


 メゾは笑わずに真面目な顔つき――


「奥様も」


 お母様の話ね。真面目に聞こう。


「以前は、お嬢様の将来が心配だと言って気鬱になっておられました」


 お母様、私のせいで鬱病になってたんだ……


 お父様の話では私もオペラルート挫折してモブになってたし、ヤバい状況だったんだわぁ――


「ですが、最近はお嬢様が王子様に会いに行くのを見送るのが楽しみだとおっしゃって興奮気味ですよ。気鬱も晴れてきているようです」

「よかったぁ!」

「ほんとに喜ばしいことばかりですよ」


 メゾは食堂を見回した。


 こっち見た。若干、身を乗り出して。


「昨晩、旦那様は "もうすぐ公爵になるのだ。もっと広い屋敷に引っ越さねばならんな" とおっしゃっていましたよ」

「そう……」


 笑えるほど気早くない? お金あるのかな?


 まさか、宰相様の屋敷レベルの豪邸に引っ越す気なんじゃ? お父様なら、あり得る。無理して破産したりしない?


「確かに、この屋敷は古くて狭すぎますからね。今の旦那様や奥様やお嬢様には不釣り合いですよ」


 前はお似合いだったよね……


「王子様の豪勢さなどにはもっと不釣り合いですよ。いくら、お玄関ホールを飾りたてましてもね」


 ばぁや結構言うやん。


「そうよね」

「王子様の他に、屋敷を訪ねてくる方も増えましたよ」

「そうなの?」


 私の出かけてる間にかしら。


「遠いご親戚だとか、先祖に血の繋がりがある方だとか。ジュディチェルリ家が公爵になるのを見越して良い思いをしようと寄ってきているに違いありませんよ。旦那様も奥様も相手にはしていませんけどね」

「そう……」


 それって――


 金持ちや有名になったら増える親戚やん。

 異世界にもいるのね。怖い怖い。

 私が王子様といい感じなの、知られてるのね。


「それに、怪しい輩も現れるかもしれないと旦那様は心配なさっていますよ。この屋敷なら侵入は簡単でしょうね」

「そうね……」


 ハシゴで簡単に入れるよね。


「お引越しなさるのがよいですよ」

「そうね! 引っ越さないとね。ここより広い屋敷で警備のしっかりしたところに!」


 どんな屋敷だろ?


 公爵様の広い屋敷か。きっと外観は普通の白壁じゃなくて城みたいな石造りで。中も暗くて古い木製じゃなくて明るくて白い大理石?の柱とかあって。

 使用人も増えるかもね。そうだ、庭も広くなるだろうからカッコいい庭師とか。執事もいるかも。

 あ、私は王子様と結婚するから住まないかもしれないか。残念ですわ。


「公爵様の広い屋敷など、想像もできません」


 スーがまた呟いた。妄想力が弱いのね。


「ここより広いお屋敷など」


 メゾが首を横にふった。


「私の老いた体ではとてもお勤めできませんから、お暇をいただこうかと」

「え!?」


 おひまって、辞めるってことよね? やだ!


 メゾは私にとって、おばぁちゃんみたいな人なのに!


「辞めてしまうの!?」

「お暇の話を奥様にお申ししましたら、私の話し相手だけでもいいから居てくれとおっしゃられましてね。奥様のお世話くらいならできましょうし、有り難いことですから新しいお屋敷にも喜んで、ついて行くことにいたしましたよ」

「そう、よかった!」


 安心した。パンがおいしい。


「スーは?」

「私は喜んでお勤めしますけど。実は、お嬢様が王子様とご結婚なされたら "お前の結婚相手も見つけてやろう "と旦那様からおっしゃっていただいております」

「そうなの!?」

「どんな人を見つけていただけるか、想像もできません」


 スーはうっとり、うつむいた。パンが喉を通らないみたい。


 スーの退職は祝福して見送るしかないか。

 ――私が王子様と結婚したらか。

 公爵邸での新生活もスーの結婚もその先の話。

 これは何としても。

 みんなまとめてハッピーエンドにしなきゃ――!

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