見ているだけで満足な姫と、死んでも触りませんと誓った剣士の、叶いそうにない両片思いの恋物語

　初めは見るだけでいいと思っていた二人が、少しずつ気持ちをかよわせて、とうとう結ばれます。自分なんて駄目だと思っていた二人が、周りの人に助けられて、少しずつ強くなっていく……そんなお話。
１８歳の剣士アツリュウは、ある日偶然に王子セウヤの事故に居合わせる。兄を助けようと高い橋から飛び降りようとする王女リエリーを見て、アツリュウは王女の代わりに堀に飛び込んで、兄王子セウヤを助ける。命を救ったことでセウヤ王子の護衛官に任命されるアツリュウ。遠くから見ることも叶わないと思っていた王女に、護衛官として王子の後ろから見つめることができるようになり、アツリュウと王女はそれからお互いに強く惹かれていく。しかし父王に閉じ込められ虐げられてきたリエリー王女は、言葉も話せなくなってしまう。妹思いの兄王子に、王女を癒しの馬に乗せる役を任されるアツリュウ。言葉を交わせないながらも、アツリュウと二人の時を穏やかに過ごし笑顔を取り戻していくリエリー王女。幸せな時が続くかに思えたが、妹思いの兄王子を狂わせる出来事が起きる。狂った兄にアツリュウは恐ろしい戦いに差し出される。「勝てたらリエリー王女の夫にしてやろう」と兄王子は約束するも、アツリュウに勝てる見込みはないのだった。