エピローグ 再び独りになった家にて
あの後、汐咲さんを無事に駅まで送り届け、現在僕は家で洗い物を片付けていた。
駅から家までは大丈夫なのかと聞いたところ、
「そっちは安全な道を知ってるから大丈夫!」
とのことだった。
いつもバイトの後に通ってるらしいし過度に心配する必要もないか。
そう納得した。
そういえば、なんでこんな家から離れたところでバイトしているのか聞いたところ
「私、家の近くだとちょっと有名だから...」
と少し言葉を濁しながら答えてくれた。
彼女にもまだ僕の知らない側面があるのだろう。
今日一日で、高嶺の花だった汐咲心美という女性のことをよく知ることができた。
思っていた感じとはちょっと、いや、かなり異なってはいたが。
思い返してみると随分幸せな時間を過ごさせてもらった。
いつも教室の隅で目立たない僕が汐咲さんと夕飯を共にするなんて、きっと昨日の僕が聞いたら鼻で笑うだろう。
まあでも、きっと明日からはまたいつも通りの日常に戻る。
きっと一生分の運を使い果たしたんだ。
そう思うことにして今日の思い出を大事にとっておこう。
いつもより多い洗い物をすべて洗い終え、明日に備えてもう寝ようとした時、
(そういえばお礼ってなんだろう。)
彼女が去り際に残した言葉をふと思い出した。
「お礼は明日学校でね!」
彼女はそう言っていた。
なんだろう。材料費とかかな。
眠気で正常な思考ができていなかった僕は気づいていなかった。
学校で彼女と関わる、その事の重大さを。
第一章 はじめての食事会 ─完─
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