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祭囃子✳︎wårld
こうして花火大会に駆け巡る爆破予告は阻止され、布連通町に平和が訪れる
玉屋家と鍵矢家の確執も解消され、物語は真のハッピーエンドを迎えた。
・・・なんだ?
不満そうじゃないか。
いや、少し意地悪だったな。
私は歓迎しよう。
ようやく私と同じ視点を持った、君という存在を。
つまり、物足りないのだろう?
苦難が足りない。
困難が足りない。
あまりにも、つまらない物語が過ぎている。
安心したまえ!!
特例措置すら与える程に愛している至高の探偵に、私がこの程度の事件を与える筈がない。
ほぅら。
祭囃子が聞こえてきた。
この世界に蔓延る悪が、岩陰より這い出てくる時間だ。




