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WPM:能力探偵七加瀬の事件簿  作者: 空場いるか
花の咲く街
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動かない爆弾

長い事休んでましたが、連載再開します。


午後19:00


花火が打ち上がる時間まで、後一時間。

祭りの街である布連通町は本日の午前中よりも更に観光客が増え、道は人で埋め尽くされていた。


「これ程までか」


俺はその人の海を掻き分けながら、大通りを進んでいた。


『こうなる前に動く爆弾を全て抑えられたのが救いだね』


「だな」



トランシーバーから玉屋華の声が響く。

朝から初めていた人狩りによって、何とか太田焔の仲間達の身柄を全て捉えることに成功していた。


「だが・・・」


『動かない爆弾・・・だね』


「ああ」


人狩りと同時に探していた固定されているであろう動かない爆弾については、未だに見つかっていない。

すでに花火組合による人海戦術により、町の北側は勿論、今日は花火の上がらない南側もほぼ全ての催し物や店、ゴミ箱に至るまで確認済みだ。


「こうなったら、本当に動かない爆弾は無かったのか?」


そもそも動かない爆弾は俺達の想定での物だ。

その存在がただの空想、悪いケースを想定しすぎた可能性も勿論ある。


『そう、思いたいね』


このまま何事もなく、花火の始まりを迎えられると良いのだが・・・。

そう考えたときだった、トランシーバーから大きな声が響く。


『み、見つかった!!!見つかったでさぁ!!!!』



それは何度も聞いた、阿佐見の声だ。


『でかした!!阿佐見!どこにあったんだい!?』


『一番西にある、橋の灯台でさぁ!!』


「クソっ!灯台かよッ!!」


それは、もし爆破されたとしても人的被害は無いとして最後まで後回しにしていた場所。

しかしながらそれは、祭り中に爆発すると一番目立つ場所であった。


「阿佐見!何でもいい、爆弾の特徴を教えろ!」


『と、兎に角デカいでさぁ!野郎どもが持って歩いてた奴とは比較にならねえ!それに、タイマーみたいな液晶が付いてる!!』


「タイマーは何時になってる!?」


『そ、それが、まだ起動してないかは分からねえが、真っ暗でさぁ』


真っ暗?まだまだ爆発しないのか?


「兎に角すぐ向かう!阿佐見は残って、その灯台に居る組合員に他の灯台も調べさせてくれ。他の灯台にも爆弾があるかもしれない」


『りょ、了解でさぁ!』


阿佐見の返答を聞き、俺はすぐに西の灯台へ向けて動き出すも、人混みに流されてすぐには辿り着けそうに無い。


急がねば。


タイマーが起動していないとしても、花火大会直前までに起動する可能性は高い。

なぜなら爆弾を爆発させるならば、人が今か今かと空を見上げて花火を待っている開始直前が一番効果的なのだから。


「有利、幸子。今どこだ!?」


俺はトランシーバーに向かって叫ぶ。


『い、今近いから西の灯台に向かってる!』


『私は西の灯台は遠いので、取り敢えず近い東の灯台に向かいます。爆弾が無ければそのまま真ん中の灯台に向かう予定です』


「了解だ」


東側と真ん中の灯台の捜索は、取り敢えず有利と組合員に任せよう。


爆弾があった西の灯台は太田焔の妨害があるかもしれない。

俺と幸子で万全の体制で向かおう。



そうして俺が西の橋にたどり着いた時には、既に19:30を回ってしまっていた。


無人の橋を走り、塔の入り口へと向かう。

入り口には組合員数名が待機していて、俺を顔を見るや否やすぐに入り口を開き、俺を爆弾の元へと案内する。


灯台の内部は、想像していた物とかけ離れていた。


通常の灯台のような内部に階段が設置されている簡素な作りでは無く、階層ごとに大きなホールが存在し、階段の他にエレベーターも稼働しているようだ。


「七加瀬さん!こっちでさぁ!」


そうして組合員に案内された先は三十五階もある灯台の屋上。

そこには阿佐見と、既に到着していた幸子が居た。


「な、七加瀬!こ、コレを見てくれ!」


阿佐見と幸子に手招きされて屋上の隅に置かれた大きな段ボールを開く。

そこには大人一人でギリギリ持ち上げられる程の、とても大きな爆弾が仕掛けられていた。


「これは・・・」


「あ、ああ。こ、コレだけの大きさと火薬があれば、この灯台の屋上と、更に屋上の上にある光を放つ投光器も吹っ飛ばせる」


灯台という名前の通り、屋上の真ん中にある大きな柱の上には、強い光を放つ投光器が存在していた。

ソレは屋上から伸びる柱の長さもあってとんでもなく高く、手入れをするにも大変な程の位置にある。

勿論、ソレを支える柱は太い。太いが、その柱すら土台ごと吹き飛ばせる程の威力が、この爆弾には有る。


「阿佐見、本当にこの爆弾のタイマーは動いてなかったのか?」


「へ、へい。見つけた時から真っ暗でしたでさぁ」


「・・・タイマーが真っ暗でも、実は起動してましたなんてこともあり得る。取り敢えず無力化しておこう」


俺は爆弾解除くんを取り出し、爆弾に押し当てる。

すると爆弾はショートしたような音を出すも、特に外見的な変化はない。

どうやら本当に起動していなかったようだ。


「・・・何で起動していなかった?今日爆破する予定じゃなかったのか?でも、それならワザワザ今日に動く爆弾の部隊を動かす必要はない。一体、何の為に・・・」


そんな疑問が頭を巡った時、トランシーバーから有利の声が響いた。


『爆弾、発見しました!!』


やっぱり他の灯台にもあったか。

腕時計を見てみると、時間は19:40。

何とか花火大会までに間に合った。


「でかした有利。ちなみにその爆弾は、タイマーが作動しているか?」


「作動してます。ちょうど花火大会が始まる時間です」


という事は、こっちの爆弾は祭りの二日目か三日目用だったのか?

しかしそれだと・・・。

まあいい。兎に角、目の前の問題だ。


「有利。取り敢えず、その爆弾を解除してくれ」


『それについてなんですが、困った事になりました』


「困った事?」


『爆弾・・・解除、出来ないんです』

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