祭囃子✳︎ Faith
「ケケケ。大きな花を咲かすんだぞ、我が息子よ」
深夜24時。
普段ならば真っ暗なこの町も、祭りの日だけはこんな時間も明るい。
いわば、眠らない町となる。
そんな明るい出店の光でも届かない、町の闇にその若い男女は居た。
「爆弾を撫でるナ。気持ち悪イ」
「いやいやいやいやいやいや。愛を持って生み出した我が子を愛さない親なんていないだろうよ」
「変態メ。早く次の場所に行くぞ」
「はいはいはいはいはいはい。わかりましたよ」
そうして、その場から立ち去ろうとする男女。
しかし、女の方の携帯が震える。
「なんダ。・・・ナニ?次の設置場所に人がタムロしてル?ちょっとマテ。・・・だそうだ、どうスル?リーダーに連絡スルカ?」
女の言葉に、男は顎に手を当てて考えるそぶりを見せる。
「いんや、人がいるなら。とりあえず諦めよう」
「お前、爆弾が壊されるのがイヤだからダロ」
「それもそうだが、今はまだその時じゃないだろうよ。それに・・・今バレたら俺らのリーダーの計画がパーだ」
「・・・そうだナ」
そして男と女は目を合わせ、軽く手をあげ互いの腕を交差させる。
「「我らがリーダーの信念の為に」」
見つめ合う二人の瞳は、お互いの狂信というに相応しい表情を映し出していた。




