爆弾解除君
「でだ。気合い入れたは良いが、実際の所、爆弾はどうするんだ?対策とか言ってたが」
「対策は、コレさ」
そう言って、玉屋は懐から膨らんだ巾着を取り出す。
・・・この人、懐から何でも出てくるな。
そして、その巾着から何十枚もの写真が出てくる。
「その写真は?」
「太田の仲間の写真さ。犯人が分かってるんだ、突き止めるのは簡単だったよ」
「成る程。つまり対策というのは、その写真をもとに、祭りの日に太田の仲間を全員捕まえる事なのですね?」
「ああ、そうさ。爆弾を運ぶ奴らさえ捕まえりゃ、動く爆弾は成立しなくなる。後は事前に奴らが仕掛けた爆弾を解除するだけでいい」
「でも、その作戦も太田にバレるんじゃないか?」
「それに関しては、花火大会前に太田以外の組合員に、この作戦と太田の仲間の写真を伝えれば良いだけだよ」
「太田がスパイだと、俺達にバレていないと思ってるからこそ出来る作戦だな」
「アンタ達には、見つけた爆弾の解体を頼みたい。出来るかい?」
当然の質問だろう。
爆弾の解体は、本来ならば警察の特殊部隊が担当する様な案件だ。
しかし、それについては既に対策を打ってある。
「勿論出来るさ。有利。アレ、持ってきているか?」
「はい!持ってきてますよ〜!」
有利は持ってきていた大きなカバンから、細長い筒状の謎の機械を取り出す。
「それは、何だい?」
「コレはですね、私と葉連さんの共同開発品の『何でも爆弾解除君』です!」
「名前があまりにもそのまんまだな!」
良い作品が出来たとは聞いていたが、まさかそんな突っ込みどころの多い名前をしているとは思わなかった。
「・・・葉連爺には悪いが、本当に解除出来るのかい?」
その質問に、有利は自信たっぷりに答える。
「はい!どんな爆弾でもバッテリーが付いているものならば、先っぽを機械部分にブッ刺すだけで、爆弾を強制シャットダウンさせて解除出来ます!それが、『何でも爆弾解除君』です!」
「胡散臭いから、あまり名前を連呼しないでくれ・・・。」
「ち、ちなみにそれは、実際に使ってみたものなのか?」
事務所の仲間である筈の幸子が、不安そうな顔をしながら有利に話しかける。
同じ事務所の仲間が不安そうなのだから、玉屋は内心さらに不安にさせられるだろう。
「はい!勿論です!ちゃんと成功しましたよ!・・・・・・99%ボソッ」
「最後になんかボソッと怖い事言ったな!」
「そんなことないですよ!!絶対に解除出来ます!!99%コソッ」
「コソッと言っても変わんねーよ!!」
「いやー初期は実際に失敗しましたけど、ちょっと改良したので大丈夫ですって〜。もう、心配性なんですから〜」
「・・・ちなみに、その初期の頃はどんな失敗が起きたんだい?」
そう有利に質問する玉屋は、今まで見た事が無い引き攣った表情をしていた。
「なんか直ぐに起爆しました」
「「ヒョ、ヒョエ〜」」
爆弾解除を担当するであろう俺と幸子が、情けない声を上げる。
「大丈夫ですって〜。1%ですし、改良してますから〜」
有利の聴けば聴くほど恐ろしい言葉に、場は静まり返る。
「・・・まあ、私は爆弾を解体しないから良いよ」
玉屋は、俺達を見捨てた。
「それより、アンタ達。土地勘を得るためにも今日の内に、この町の祭りでも楽しんで来な。あと、晩飯はこのバーに行くと良い」
そういって玉屋は懐から、何やら店の名刺の様なものと封筒を取り出す。
「晩飯はこの旅館で食べようと思ってたんだが」
「理由があるのさ。そのバーの店主はこの町で一番の情報通だ。色々と話を聞いてくると良い。私から店主に向けた手紙もやるよ。これを見せれば、飲食代はタダになるはずさ」
「話が聞けるなら、そうしよう」
別に、タダに引かれたわけじゃない。
そう、話が聞けるから、行くのだ。
勘違いしてもらっちゃ困る。
俺は、玉屋の気が変わらない内に、店の名刺と封筒を手早く受け取った。
「それじゃあ、行こうか」
そう言って俺は、玉屋の気が変わらない内に、素早く広間から出ようとする。
「な、なんて下心が見え見えな人達なんだ」
俺だけじゃなく、俺の後ろにピッタリとくっついて部屋から出ていこうとしていた有利を見て、幸子は目を見開く。
「・・・危険物を持ってるアンタが一番まともなんて、先が思いやられるよ。というか、アンタ置いてかれてるよ」
「あ、ま、待ってくれーーー!」
広大な広間から既に出かけている俺と有利を、幸子が走って追いかけてくる。
「はぁ・・・。人選、失敗したかもねぇ・・・」
そんな心無い言葉を背中に受けながら、俺達は町に繰り出した。




