60/97
祭囃子✳︎conviction
「リーダー。脅迫状をしっかりと届けました」
「・・・そうか」
そんな物騒な会話が行われているのは、寂れた大きな空き倉庫だ。
リーダーと呼ばれた男は、大きなコンテナの上に一人座り、コンテナ前に並ぶ数十人を見下ろしている。
その集会は、集まった彼らの物騒な見た目にだけ目を瞑れば、まるで宗教の様であった。
コンテナに座っていた男は、無言でコンテナの上で立ち上がり、辺りを満たしていた静寂を破る。
「今日集まってもらったのは、前々から言っていた事を実行するからだ」
そんなリーダーと呼ばれた男の言葉に、数十人の信者達は歓声を上げる。
「周りから見れば、何故そんな事をするのだと、そんな感想が浮かんでくるだろう。しかし、俺は知っている。薄汚れた繁栄を。そして、身に染みている。この町の花火の穢れを」
再度上がる歓声。
その一体感は、コンテナ上の男のカリスマ性を示していた。
「俺は必ず、今年の花火を破壊する。これは、俺の成し遂げるべき・・・信念だ」
辺りを包む歓声に当てられるも、男の表情は憤怒に彩られていた。




