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美談∬wårld
こうして美術島を巡る“美談”は、島民が誰もいなくなる形で幕を閉じた。
何?
全く美しくない?
こんなのは美談じゃない?
美術島の話だから美談。
ただ、それだけだ。
それに美談が美しい?
物語の主人公を気取るのも大概にしろ。
美談が美しいのは主人公にとってだけだ。
光には必ず影が生まれる。
成功者の裏には必ず失敗者が存在する。
美しい物が生まれた影には・・・必ず醜い物が生まれている。
つまりは、得をする者が居れば損をする者も居るのだ。
これは、そういう物語だ。
何?
犯人が分かってから出てきて偉そうに?
何様だ、だって?
全く分かっちゃいない。
・・・いや、全く変わっちゃいない。
前にも言っただろう?
犯人など重要ではない。
今回の犯人は三戸森宝景。
ただ、そうなっただけだ。
ただ、そう観測しただけだ。
それに、まだ物語は終わってはいない。
何故ならば・・・いつだって物語を締めくくるのは犯人ではなく、探偵であるべきなのだから。




