表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WPM:能力探偵七加瀬の事件簿  作者: 空場いるか
八つ裂きジャックは誰だ
1/97

Prologue:姉弟会談

弟くん、二重人格って言葉、どう思う?


二重人格?思いつく限りではそうだな、程のいい言い訳、欺瞞、逃避、そこら辺の言葉が思い浮かぶな。


相変わらずネガティブな発想だねえ。その歳でひねくれすぎだよ。


仕方ないだろ、実際に会ったことは無いしな。

正直殺人の裁判とかで、無罪を勝ち取る為のもの位にしか思ったことは無いね。


そうだね、そういう使い方もされるね。でもさ、僕は二重人格って言葉はとてもロマンチックなものだと思うんだ。


出たよ。姉さん大好きだよね、ロマンチックとかドラマチックとかエチゾチックとかそういうの。


否定はしないが、まあ聴きたまえよ。医療が発展した現代では、その状態は二重人格という言葉は使われずに、統合失調症という“病気“で片付けられてしまうんだよ。


統合失調症か


そうさ、脳内神経伝達物質の放出の異常によって起こる病気。病気という言葉で片付けられてしまうんだよ。それと比べて二重人格って言葉の響きは、素晴らしい!

劣等感を抱かせる病名とは違い、特別感、唯一性を感じさせる二重人格という言葉は、まさに過去の化学が進んでいない時代。神や霊を信じていた頃の名残のようで、僕の耳にはとても心地いいし、なにより神秘性がある。


でももう医療化学で既に答えは出たものではあるんだろう?ならば神秘性のかけらもないじゃ無いか。


いやいや、化学で解明されていない“能力“なんて物を使っている身としては、その現象に少しでも可能性が有ると、気になる物なのさ。


可能性?


そう、卵が先か鶏が先かっていう話なのさ。

例えば一つしか無かった人格、スピリチュアル的にここは魂と呼ぼうか。一つの魂が入ってる器に、何らかの原因でもう一つ魂が入り込んでしまう。

そして入り込んだ結果、脳内神経伝達物質であるドパミンとセロトニンの放出異常が起こるとしたら・・・どうだい?

つまり結果がそうなるだけで、その過程で解明されていないブラックボックスが存在するかもしれないだろう?


なるほどね。オカルトとしては悪くない話だね。


そうだろうそうだろう。そして、気になるのは魂が二個入った器は、この“意地の悪い世界“から観たらどの様に映るんだろうか。

二つの魂と一つの躰。

もし途中から入った魂に元の躰の感覚が存在したら、僕の様な能力の無制限使用による幻肢痛(ファントムペイン)が起こりえるんじゃないんだろうか。


なるほど。幻肢痛の代償に、五体満足で超能力が使いたい放題か。そうだった場合、能力によるけど、そいつは正に最強の存在になれるんだろうな。


最強か。弟くんは少年心が溢れていて、僕は眩しいなあ。僕はね、ただそいつに聞いてみたいんだよ。


何を?


“世界“から異常扱いされ、“全身“を焼かれる感覚を味わいつつも、躰に異常が現れない。その二律背反の気分って奴をさ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ