二話 学校に行かなければなれません
「ねむい...」
あの事から翌朝、山田成狩はそう呟いて一階に降りてきた。昨日の夜から公海保守隊育成学校について調べていたのだ。
ピンポーン
ん?誰か来たのか。成狩が疑問に思うのもそのはず。成狩には友達もいないのだからインターホンを押す人なんてほぼいない。親も仕事でいないので仕方ないので応じることにした。
「一体誰でしょうか?」
そこにいたのは明らかにどこかの軍の制服を着たムキムキの男性。あ、思い出した。公海保守隊の制服だ。青を基調として女性なら白、男性なら黒のラインが入っている。
「公海保守隊、真守隊の中隊、海隊隊長の五十武南だ、ここは山田成狩のお宅で間違いないでしょうか?」
「はい、山田成狩は俺のことですけど」
「そうか、準備してきてくれないか、育成学校にいかないといけないんだ」
「わかりました」
俺は菓子パンを咥えながら戸締りをしようとするが。
(玄関のドア以外親がいつも閉めて行ってくれているじゃん)
そのことに気付き、菓子パンをもぐもぐしながら外に出て玄関のドアを閉める。
「行けるか?」
俺はコクンッと頷く。
「では乗ってくれ」
黒塗りの車の中に入るように促されて素直に入る。
その後に五十さんが運転席に乗り込んで車は進んでいく。
俺は窓の外の変わり映えない海の景色が見えてしまう。
「…あの」
俺は五十さんに声をかけた。俺にはいくつか気になっていることがある。
「なんだ?」
「普通は俺が学校まで行くのでは?」
「そうだな...山田君、君は特別な存在なんだ」
五十さんは少し考えた様子で言う。
「特別?」
俺が特別なわけがない。むしろ平凡なだけだ。
「そう、特別だ、初めて天川隊長が推薦した人物だからな」
「はぁ」
天川隊長がいかにすごいかは知らないが五十さんの言葉を聞く限り、公海保守隊の人からの天川隊長の評価が高いことはわかった、でも俺からすると全然だ。よくある話だ。その業界では有名でいくらすごかろうとも世間では誰?この人、一体なにがすごいの?みたいな話だ。
「実感は湧いていないようだな、まぁ仕方ないことだな」
五十さんもわかっているようだ。
「もうそろそろで着くぞ」
「はい」
レンガ状の大きな壁が見えてくる。そして大時計が今が何時何分何秒か示すしている大塔が4棟あった。
「ここが公海保守隊育成学校、またの名を海隊本部だ」
五十さんはそう言った。