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一話 プスクとの戦闘。


「はぁ」


 授業の合間、窓の外を見ながらため息をついた。仕方ないことだろう。だって窓の外には海が見えているのだから。

 年々、海面上昇していき、いつの間にか世界の海と陸の割合が9:1になったのだから。

 ほぼ海でうんざりしてくる。

そしてプラ魚と呼ばれる新種の魚やプスクと呼ばれる新種の生物も現れているのだ。

 その二種類とも人類に凶暴的なのだ。毎年のように襲われて死者が出ている。


 ピィーーー!ピィーーー!


 けたたましい音が校内を埋め尽くす。これはプラ魚またはプスクの襲撃警報なのだ。


『プスク警報、プスク警報』


 …終わった。プラ魚とプスクには違いがある。見た目は魚とその他なのだが、凶暴的だとは言ってもプラ魚は時々、死者が出るのだが、プスクはほぼ死者が出るのだ。プスクが出て誰も死んでいないのなら奇跡であるのだ。その奇跡を何度も起こしている人もいるみたいだけれども。

つまりはこの周辺の誰か一人が死ぬことはほぼ確定というわけだ。


「なんであんたは余裕そうなんだ?」


 クラス内ではよく話す雨露うろ菅助かんたすけに話しかけられる。


「余裕ではない、ただこんなもので焦るほど弱くないだけだ」


「言うね~」


「あんたもそう、言えているだけましだな」


「他のやつよりもだ」


「そうだな」



「みんな!」


 菅助と話しているとクラス全体に呼びかけるように声を出した女子がいた。

 クラスの中心にいたのは俺となぜか幼馴染の江幌愛那(えっぽうあいな)だ。実のことを言えば地元は海の中に今あるのだ。昔、浸水することを知って、故郷の人々は皆、他のところへと避難することになったのだが、偶然、江幌さんと同じ都市に引っ越したのだ。

 江幌さんはクラス中に聞こえるように話していく。


「先生たちはきっとこの警報の対策を練るはず、だからみんなも先生たちの手伝いをしようよ!」


 まだ俺たちは1年生だ、そして5月。この頃から評価を上げようとするのは悪いことではないが、まだクラスカーストが形成されたところ、その評価上げはあまりにも無意味に近い。

 現在、警報があるのでそんな評価のことは考えきれていないのだろう。


 だけども江幌さんの声は誰も聞いていない。だって、


「アア」

「逃げないと」


 みんな、絶望している。まともに椅子に座っているのは自分だけか。俺の周りには腰が抜けて床に座りこんでしまった臆病者ばかり。それと比べたら菅助はマシなだけだ。


「逃げるよ!!」


 慌てて入ってきた担任はそう言い、先導して屋上に向かう。それに付いていくクラスメート。


「俺らも行こう」


「いや、俺は最後にする、さっさといけ」


 俺は菅助の背中を押す。


「おう」


自分は最後でいいか。そんなことを思い、みんながクラスから出ていくのを待っている。


「…」




 自分が最後列になって屋上に向かっていると背後から水の流れる音がした。

早くしないと!!そう思っても列はゆっくりしか進まない。そうしていると前から感触が伝わる。


 ドンッ


「ごめんね」


 江幌は俺にそう言い、俺のことを押す。くそが。


 バンッ!


俺は勢いよく廊下に打ちつけられる。

 体が痛い。それでも、

 

「チッ」


 俺は舌打ちして、近くのクラスに入る。避難することが間に合わないことを悟ったからだ。

 そして机の上に飛び乗る。


 椅子の高さまで浸水している。プラ魚やプスクは水の中で生活している。なので警報が出てこうして浸水して襲撃してくるわけだ。一説ではプスクは水を操っているとも言われている。警報が解除される条件はこの浸水が退くことだ、つまり今で言うなら、プスクを退かすことである。

 まぁ、無理だけどやるしかない。俺は腹をくくる。


 水面から影が見え、浮上してくる。俺はその姿を見る。ありの姿だった。



 よかった、蟻か。じゃないわ。プスクである時点で一般人の自分では勝てない。ただプスクの中で一番多く確認されているのはこの蟻の姿だ。俺はプスクが行動している動画を今までに見ている。

 だから時間稼ぎはする。


「ギヤヤャ!!」


 謎の奇声を上げ、俺に向かって飛び込んでいく。すぐに他の机の上に飛び乗る。間一髪のところで避けた。蟻の姿のプスクは知能がほぼなく、襲うということしかできないため、頭を使った小賢しいことはしてこない。でもプスクなので力は人と比べても圧倒的に高い。だから俺は攻撃を喰らったらその時点でゲームオーバーだ。

 でも俺は生きたい。生きてやる。


「ギヤヤャ!!」


 再び、また再びと俺のことを襲ってくる。段々と自身の動きが鈍くなっていくのがわかる。なぜなら水位が徐々に上がってきており、そのせいで靴下やズボンの裾先が水を吸って重くしているからだ。今の水位はクラスの机の天板より少し高く浸っているが、まだ机の上を踏めるぐらいにはある。


「チッ」


 俺はまだ死にたくない。


「ギヤヤャ!!」


 蟻の姿のプスクも俺の動きが鈍くなっていることに気付き、畳みかけるように隙もつかせず襲ってくる。

 何度も避けていくが、このことは俺にもわかっていた。

 自分が死ぬ可能性があるのはクラスの天井まで水位が高くなった時、そして行動が鈍くなるならそれに使う力も比例していくように大きくなり俺が避けきれなかった時だ。


 

 後者だった。足の大部分が浸水する。もう無理だ。水に浸かった天板の上に倒れる。


「ギヤヤャ!!!」


 今日大一番の奇声を上げてる..まるで獲物を確実に仕留めたときの喜びを表すように。

 この時の俺は忘れていた。奇跡を今までに起こした人のことを。ニュースなどでしか見ないからか遠い存在だと思っていた。


 ザシュ!!


 一瞬の出来事だった、蟻の姿のプスクが一刀両断された。

 

「え?」


 何が起きた?!徐々に引いていく水位、水の中から謎の人が現れた。


「レオ、避難している人のことを」


「はい」



軍隊かなにかの人たちは散らばっていく。

 俺はまだ濡れている床の上に立つ。

 なにか指令した人が俺の方に話しかけてくる。


「海に興味があるか?」


 開口一番にそんなことを言われた。

え?この人は何を言っているんだ?でも答えるか。


「あります」


 この世界はほぼ海しかないんだぞ。海に興味を持たざるおえないだろ。


「そうか...転校する気はあるか?」


 その女性は少し考えたようすで質問をしてくる。だけど俺はこの質問の答えは前から決まっている。


「ある」


 この質問は即答できる。むしろこんな学校いたくない。


「たとえ、転校先が公海保守隊育成学校であってもか?」


 思い出した。なんで俺はこんなにも大事なことを忘れていたんだ。公海保守隊、プラ魚やプスクなどの脅威から人々を守るために作られた組織。その中の中隊の柳隊はプラ魚やプスクの撃破任務の際の死亡率は97,5%という驚異の記録を持つのだ。そして俺に話しかけているのは柳隊隊長の天川早由里(あまかわさゆり)だ。


「はい」


「6月に入学式がある、来るように」


「はい?」


 話が分からない。もしかして俺、転校するのか?


「では」


 天川隊長はそう言い残しクラスを出ていった。俺は聞きたいことがあったが止めれずにいた。なぜなら、


「は...ぁ」


 俺は何がなんだがわからず呆けていたから。


 






「天川隊長!」


「なに?」


「なんであの人を推薦したのですか?」


「簡単だよ」


「え?」


「彼は化けるよ、私たちでも届かないほどにね、その資質が彼にはあるんだ、私たちは気付かせないといけない」



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